NYダウが、乱高下しています。5/2(月)・5/3(火)に計151.58ドル上昇した後、5/4(水)に932.27ドル高と大幅続伸しましたが、5/5(木)には1,063.09ドル安と大幅反落し、直前3営業日の上昇をほぼ帳消しにしてしまいました。
5/4(水)結果発表のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備制度理事会)が、市場に根強かった次回6月会合における0.75%の利上げについて否定的な見方を示したことで、「本年最大の上げ」となりました。しかし、5/5(木)に原油先物(WTI)相場が4/18(月)の短期的高値水準を突破してきたことや、労働生産性の低下を受けて、この日は「2020/6/11(木)の1,861.82ドル安以来の大幅下落」となりました。
改めて、FOMCおよび直後のパウエルFRB議長の会見の要旨を整理すると以下のようになります。
(1)FRBは政策金利(上限)を、現状の0.5%から0.5%引き上げて1.0%とした。・・・市場の予想通り。
(2)6月および7月のFOMCにおいても、政策金利を0.5%ずつ引き上げる意向。・・・3ヵ月で1.5%利上げなら1982年以来。
(3)0.75%の利上げについては「活発に論議されてはいない」とし、否定的な見方を示した。
(4)6月からQT(量的引き締め)を開始・・・6月〜9月は月間で国債300億ドル、MBS(住宅ローン担保証券)175億ドル削減。9月以降は月間で国債600億ドル、MBS350億ドル削減。
5/4(水)の米国株式市場では、(3)の部分に強く反応し「過度な利上げ加速懸念」から、株価の大幅高につながりました。しかし、原油価格の上昇や、労働生産性の低下が市場のインフレ懸念に再び火を付ける形になりました。FRBの姿勢は基本的にはタカ派的との見方も加わり、5/5(木)の大幅下落につながりました。
インフレ指標の目立った低下が見られない限り、当面米国市場は不安定な状態が続きそうです。ナスダック総合指数は5/5(木)現在で、52週高値からの下落率が23%に達し、テクニカル上は「弱気相場」の形になっています。
今後注意すべきことは、米国の金融引き締めが強すぎて、景気後退に陥ることです。さらに、株価変動率の拡大自体、株式投資のリスク増大とみなされる可能性があり、注意が必要です。
また、世界的な基軸通貨であるドルを発行している米国が急速に金融引き締めを行うことで、新興国の実質的債務負担が増加することや、新興国から資金が流出しやすくなることです。今後、新興国への投資の可否を判断する材料としては、経常収支や外貨準備高等の指標が一層重要な判断材料になるとみられます。
こうした中、5/6(金)の東京市場は、米国株の乱高下を考慮すれば、落ち着いた動きにみえます。5/5(木)の米国株終値は、前月末比ではほぼ横ばいとなったためです。ただ、米国株を中心に海外の株式相場が不安定であり続ける可能性があること、当面は5/6(金)米雇用統計発表、5/9(月)のロシア「対独戦勝記念日」等の重要日程があること、週明けから国内の決算発表が佳境に入ること等、目を離せない材料が多く、神経質な展開が続きそうです。
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