現地時間4/26(火)の米国株式市場では、NYダウが前日比809ドル安と再び急落しました。ハイテク株の多いナスダック指数に至っては、3/14(月)安値を下回り、年初来安値を更新しました。それを受けて、4/27(水)の東京株式市場も取引開始直後から売りが加速し、9時42分現在で日経平均株価は649円安となっています。
日米で株価が急落している理由は、おもに以下の4点であると考えられます。
(1)スタグフレーションへの懸念
(2)北京・上海でのロックダウン強化の動き
(3)下げ止まらないハイテク株、企業業績への不安
(4)ウクライナ・ロシア間の戦争が長期化、激化する不安
(1)については、4/21(木)の討論会で、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長がタカ派的な発言をしたことで、さらに深化したとの印象です。米国の政策金利は年内、0.5%の利上げが複数回実施されるのみならず、0.75%の利上げも1〜2回絡んでくるというのがコンセンサスになりつつあります。ただ、急速な利上げが前倒しされることで、米国景気が近い将来、後退し、インフレと景気減速・後退が並行するスタグフレーションの懸念が強まっています。
(2)については、人口2,600万人超(東京の約2倍)を抱える上海でロックダウンが長期化している他、北京にもロックダウンが波及しつつあります。上海・北京のロックダウンで中国経済が悪化し、中国を生産拠点とする内外のグローバル企業の業績悪化、供給減少が懸念されます。
(3)について、企業業績に対しては楽観的な印象が強かった米国ですが、決算発表で予想外の会員減少を発表したネットフリックス株が4/20(水)の米国市場で35%も急落し、52週高値からの下落率(4/26現在)は71.7%に達しました。業績好調なテスラ株ですら、マスクCEOがツイッター株購入の資金手当てのために売却するとの観測から急落しています。主力株の急落、企業業績への一部不安で、米国市場の地合いも悪くなりつつあります。
(4)については、5/9(月)の対独戦勝記念日に向けてロシアが攻勢を強める可能性もあり、正念場が接近しています。
報道等を見る限り、足元の株価急落については、直接的には(1)と(2)が要因との印象です。ただ、ロシア・ウクライナ間の戦争にとどまらず、インフレ・金利上昇、中国のロックダウン等、外部環境の急変を企業が読み切れないため、業績予想は慎重にならざるをえず、今週以降本格化している日米の決算発表に対し、投資家の警戒心は強まるとみられます。
なお、スケジュール的には、今週の営業日は4/28(木)までで日本はゴールデンウィークに入り、取引日は少なくなります。しかし、4/28(木)米国1〜3月期GDP速報発表、4/30(土)中国PMI、5/2(月)米国4月ISM製造業指数、5/4(水)米FOMC結果発表およびパウエルFRB議長会見と、重要日程は目白押しです。4/28(木)にかけて東京市場では、持ち高を減らす動きが強まる可能性が大きく、乱高下に注意したい所です。当面は、慎重な投資スタンスがのぞまれるところです。
ただ、前向きな動きとしては、4/27(水)の取引で、JR東海(9022)の業績予想が市場の期待を大きく下回っているにもかかわらず、売り一巡後上昇に転じたことで、経済再開関連株の値動きを注視する必要はありそうです。
なお、インフレと株価の動向については、SBI証券金融調査部北野チーフストラテジストによる
ストラテジーフラッシュ(4/22付)・・・「本当に怖いのは物価上昇&株安(2)」
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