2022年最初の営業日となった1/4(火)の東京株式市場では、日経平均株価が昨年末比510円08銭高と大幅に上昇しました。
株高の背景としては、休み中にNY株式市場をはじめ、海外株式市場が堅調に推移したことが中心と考えられます。米国では新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」に対してワクチンや飲み薬等の効果が期待されていることや、政府が無症状の感染者について隔離期間を短縮(10日→5日)すると決めたこともあり、経済への悪影響は限定的だと考えられました。主要株価指数の中では、NYダウとS&P500が過去最高値更新となっています。
最高値を更新した米国株については、アップルの時価総額が、世界の上場企業としては初めて、一時3兆ドル(約345兆円)に乗ったことが話題になりました。これを受けて、1/4(火)の東京株式市場では、村田製作所(6981)や太陽誘電(6976)など、いわゆる「アップル関連株」が物色されました。米国でハイテク株の多いナスダック指数は過去最高値(2021/11/19更新)から1.4%低い水準にとどまっていますが、半導体SOX指数は12/27(月)に高値更新後も堅調で、東京市場でも東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)など半導体関連株が買われました。
個別材料としては、政府が再生エネルギーの普及に向け次世代送電網に2兆円超投資すると報道(1/3)され、古河電気工業(5801)、昭和電線ホールディングス(5805)などの電線株、電力インフラの東光高岳(6617)、電気工事の関電工(1942)等が買われました。反面、世界的なオミクロン株の感染拡大を受け、世界的な人流の本格的回復は先送りされると懸念され、日本航空(9201)は軟調でした。
なお、1/4(火)の「大幅高」が必ずしも、2022年の明るい先行きを示しているとは限らない点は注意が必要です。ここ数年大発会の日の取引は、「大幅高」か「大幅安」に大きく振れやすい傾向があるためです。東京株式市場が年末年始で休場の数日間、米国市場等海外市場は取引されており、その数日間の取引状況を東京市場で一気に織り込む傾向が強いためです。
ちなみに、年替わりを経て、何か重要な動きはあったでしょうか。
米国で経済回復期待が強まったことにより、米10年国債利回りが再び上昇してきたことは重要な変化とみられます。同利回りは12/3(金)の1.35%を当面のボトムとし、1/3(月)には1.63%まで上昇してきました。これを受けて外為市場では円安・ドル高が進展。12/3(金)には1ドル112円80銭台でしたが、1/4(火)には一時115円80銭台まで、およそ5年ぶりの円安・ドル高水準となりました。
こうした円安・ドル高を受けて、1/4(火)の東京株式市場では、トヨタ自動車(7203)や日産自動車(7201)、マツダ(7261)等の自動車株の上昇が目立ちました。反面、円安がデメリットになりやすい紙・パルプは冴えない動きとなりました。また、米長期金利の上昇で、総じてPER等の高い銘柄が多い東証マザーズ銘柄も冴えない動きになりました。
また、インドネシアが石炭の輸出を今月31日まで一時的に停止すると発表したことも注意すべきニュースとみられます。発電に使用される「一般炭」、製鉄に必要な「原料炭」ともに、日本にとってインドネシアは豪州に次ぐ大きな輸入先です。今後石炭価格等の上昇が長期化した場合、日本へのインフレ圧力が強まると考えられます。その場合、円安・ドル高も手伝って逆風が強まる輸入産業が増えてくる可能性もあり、注意が必要です。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。