20日のWTI原油先物価格の5月物が急落し、先週末の18ドル前後から、一時マイナス40ドル台まで急落しました。長年コモディティを見てきましたが、マイナス金利ならぬ、目に見える財の価格がマイナスになるのを経験することになるとは想像もできませんでした。マイナス価格ということは、原油生産者はコストをかけて採掘した原油に40ドルをつけて需要家に引き取ってもらうということです。どうしてこんな事態になってしまったのでしょうか?また、原油価格は今後どうなるのでしょうか?
結論から申し上げますと、マイナス原油価格はWTIというやや特殊な先物市場で、しかも5月限に限って、投機筋によって引き起こされた極めて一時的な現象だと思います。したがって、短期間(おそらくあと1日)のうちに解消すると思われます。ただし、原油価格が今回の下げで底を打ち、回復軌道に乗るとは言い切れないと考えています。
まず、WTI原油先物価格ですが、5月物はCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)では日本時間の4/21(火)9時過ぎには2ドル強まで回復しています。また、6月物に関しては21ドル強で取引されています。これは5月物の限月交代が21日(現地時間)に行われ、最終売買日となっていることが大きく影響しています。この時点で買いロングとなっている場合は、現物の原油を引き取り、ショートの場合は現物を引き渡さなければなりません。株式の信用取引の、現引き、現渡しと同じ仕組みですが、株式と違うのは実物である原油の受け渡しが必要になる点です。
現引きの場合は、原油を保管するタンクやタンカー(洋上在庫)を用意すれば良いのですが、米国の原油在庫は急増しており貯蔵施設を見つけるのが難しいと想定されます。また、現物の受け渡しは内陸のオクラホマ州クッシングから洋上在庫の手配も容易ではないと考えられます。このような物理的な制約を背景に、投機筋が大量の売りを行い、価格が急落し、買い手がパニック的に売り急ぎ、5月物だけがマイナス価格に突入したのではないかと考えられます。したがって、6月物が期近となればこの急落はただちに回復すると思われます。
今後の原油価格ですが、供給面では米国を含む産油国が大幅な減産実施で合意しましたが、世界的な需要の減少度合い、さらには今後の回復時期など、不透明要素が多く、今回の下げがセリングクライマックスと想定するのは、いささか時期尚早ではないかと考えます。また、原油先物価格の急変に伴いヘッジファンド等、投資家の一部で「2次災害」が起き、株式市場を含む他の市場に影響が起きる可能性もありそうです。
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