世界的な株式市場の波乱が続いています。3/13(金)の東京市場では、日経平均株価が急落して始まり、午前10時過ぎには前日比の下げ幅が1,600円を超え、17,000円を割り込む水準まで下げています。世界的なコロナウイルスの感染拡大にブレーキがかかっていないことが大きな要因です。3/12(木)には米トランプ大統領が演説し、英国を除く欧州からの入国を30日間停止すると発表しましたが、ヒトの往来が途絶えることで、ますます経済の悪化に拍車をかけるとの懸念につながっています。この日の米国株式市場ではNYダウが前日比-2,352ドルと10%近い下げとなり、過去最大の下落幅を更新しました。
これに先立ち、欧州ではECB(欧州中銀)が追加緩和策を打ち出しましたが、利下げは見送られたことで、金融政策の限界が露呈した形になり、欧州株は軒並み安となりました。この日の主要株価指数の下落率は伊で17%弱、独12%超、仏12%超に達しています。米国株の急落の背景には、これら欧州株の急落も強く影響していると考えられます。
新型コロナウイルスの感染拡大には、3つのステージがあると考えられます。第1ステージは、中国を中心に感染が急速に広まった段階です。第2ステージは、韓国やイラン、イタリアなど、中国以外での感染拡大が目立った2月下旬以降の段階で、現在進行形になっています。第3ステージは世界最大の経済大国である米国での感染が本格化し始めた3月以降の段階を指すと考えられます。すなわち、第2ステージと第3ステージは同時進行しており、後者は始まったばかりであるとみられます。
新型コロナウイルスの新規感染者数は、感染拡大本格化から1ヵ月程度でピークに達する傾向が認められ、イタリアでは3月下旬、米国では4月上旬頃がピークになると考えられます。株式市場で当面の悪材料が出尽くすのはその時期になるかもしれません。
さらに、金融緩和が株価下落の歯止めになりにくくなっている点に注意が必要です。世界的には、金融緩和でマネーが相当に余剰状態の中で起こった危機であり、打つ手が限られるとみられることは、これまでの株価下落局面と大いに異なる点です。
とはいえ、冷静に考察すべき動きも出てきています。ひとつは、テクニカル指標が「下げ過ぎ」を示唆し、かつ歴史的な数値に達している点です。すでに日経平均株価の騰落レシオは2000年以降で過去最低に達しているようですが、RSIや25日移動平均線からのかい離率も、リーマンショックや東日本大震災時と比較できる水準まで下げてきています。3/12(木)時点のBPS(20,853円)を基準として計算すれば、リーマンショック後に付けたPBR(1株純資産)の過去最低水準である0.81倍は16,890円で、すでに3/13(金)の安値水準では到達しています。
なお、3/12(木)の海外市場では、資金逃避先であるはずの金先物価格が急落し、米10年国債利回りは低下したものの、いったん付けたボトムである0.31%よりは高い水準である0.79%での取引になっています。ドル・円相場も落ち着いています。株式市場以外の動きは、市場の転換を示唆しているのかもしれません。日経平均株価は当面、下げ止まってもよいタイミングが接近していると考えられます。材料的には「東京五輪延期」が決断された場合、現状の株価はそれを織り込みつつあると思われるため、逆に悪材料出尽くしになる可能性があります。
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