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2022-05-26 02:09:52

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<波乱の株式市場>5月に株価反発のキッカケになりそうな材料は?

2022/5/10

投資情報部 鈴木英之

世界的に株式市場が波乱の展開です。米国では、NYダウが5/9(月)までの3営業日で1,815ドル超下落し、主要3株価指数が軒並み年初来安値更新となっています。米国市場に連れ、東京市場の日経平均株価も再び下落基調となっています。

ウクライナ・ロシア間の戦争長期化や、インフレ・金利上昇懸念、都市のロックダウンや行動規制による中国景気鈍化懸念等の悪材料が噴出する形になっています。5月相場も波乱となることが警戒されます。

しかし、5月相場において、日本株を下支え、反発のキッカケになりそうな材料も潜んでいるように思われます。それは一体何でしょうか。後述にて、ご紹介させていただきます。

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1悪材料噴出で内外株式市場が波乱に

日経平均株価は4月第4週(4/25~28)に、前週比257円36銭(0.9%)安と週足ベースで反落した後、5月第1週(5/2~6)は155円66銭(0.6%)高と反発しました。しかし、5/9~10は続落し、再び下落基調となりました。


直接的には米国株の波乱が続いていることが、日本株の下げにつながっているようです。NYダウは5/2~4で合計1083.85ドル高の3営業日続伸となりましたが、翌5/5には1,063.09ドル安と大幅反落し、直前3営業日の上昇をほぼ帳消しにしてしまいました。結局、5/5~9で1,815.36ドル安し、年初来安値更新となりました。

5/4(水)結果発表のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備制度理事会)が、市場に根強かった次回6月会合における0.75%幅の利上げについて否定的な見方を示したことで、同日のNYダウは「本年最大の上げ」となりました。しかし、5/5(木)に原油先物(WTI)相場が4/18の短期的高値水準を突破してきたことや、労働生産性の低下を受け、NYダウは「2020/6/11以来の大幅下落」となりました。5/6(金)には4月米雇用統計が発表され、労働参加率の低下や賃金の増加が、インフレ・金利上昇への懸念を継続させる要因となりました。

市場が心配しているのは、米国の金融引き締めが強すぎて、景気後退に陥ることです。4/26発表の米GDP(2022年1-3月期)は予想外のマイナス成長となり、ISM製造業指数も下振れました。一方で、住宅価格は上ぶれが続いており、インフレ懸念と景気後退への懸念が混在している状態です。また、世界的な基軸通貨であるドルを発行している米国が急速に金融引き締めを行うことで、新興国の実質的債務負担が増加することや、新興国から資金が流出しやすくなることも想定されます。今後、新興国経済の悪化を通じて世界経済が混乱し、株安につながるリスクにも注意が必要です。

さらに、上海ロックダウンの影響で、中国の景気減速懸念が強まっていることや、ロシアにおける対独戦勝記念日が節目とならず、ロシア・ウクライナ間の戦争が長期化しそうなことも、世界経済に濃い霧となって覆いかぶさっています。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

  日経平均株価(終値) 前日比 NYダウ(終値) 前日比 国内株式市場の動き 米国株式市場の動き
4/25(月) 26,590.78 -514.48 34,049.46 +238.06 大幅続落。
・22日の米国株式市場やアジア株式市場に連れ安。
・中国での需要悪化懸念が拡大し、商品先物が下落。資源関連や海運が大幅続落。
反発。
・テスラCEOによる買収合意が伝わったTwitterが大幅高。
・北京のロックダウン強化懸念で中国ADRや原油価格が下落。反面、長期金利は低下。大手ハイテク企業が決算発表を控えていることもあり、グロース銘柄が中心に物色される。
26(火) 26,700.11 +109.33 33,240.18 -809.28 反発。
・米国市場の連れ高と、買戻しが入った。
・前25日と同要因で、資源関連と海運の下落が目立つ。(3営業日で鉱業10.87%安、非鉄金属9.65%安、海運7.98%安)
恐怖(VIX)指数30越えの大幅下落。NASDAQは年初来安値更新。
・テスラが大幅下落。CEOがTwitter買収の為、保有株を売却するとの懸念が広まった。
・引け後に決算を控えたアルファベットやマイクロソフトが売られる。企業業績に関し、市場の根強い警戒感が伺えるとの声も。
・ロシアが、ポーランドとブルガリアにガス供給の停止を通告。地政学リスクが再燃。
27(水) 26,386.63 -313.48 33,301.93 +61.75 反落。
・26日の米国株安と、決算通過後にIT大手が時間外で下落しているのを受け、総じて軟調。
・売買代金は4兆円弱。連休前の持ち高調整と指摘する声も。
・海運株が特筆して大幅反発。割安感が意識されたとの見方も。
小幅ながら反発。
・企業決算通過後は、強弱まちまち。
・中国ADRや中国関連株が全面高。当局の相場支援表明が好感された。
28(木) 26,847.90 +461.27 33,916.39 +614.46 反発。
・大型連休前で見送りムード。
・日銀が大規模金融緩和の維持を示し、ドル円は約20年ぶりの円安。輸出関連が物色される。
続伸。NASDAQは大幅高。
・好決算を受け急騰したメタを筆頭に、グロース株が選好され全面高商状。
・1-3月期のGDPは市場予想を下回り、マイナス成長。
29(金) 休場(昭和の日) - 32,977.21 -939.18 大幅反落。
・前日引け後に決算を発表したアマゾンやアップルを中心に全面安商状。
・3月個人消費支出が市場予想を上回り、インフレ高進懸念が進行。長期金利が上昇。
5/2(月) 26,818.53 -29.37 33,061.50 +84.29 小幅続落。
・連休中の4日FOMCを控え警戒感が強い。手仕舞い売りか。
・ドル高円安は1ドル130円台前半まで進行。
・好決算企業や海運が買われた。
FOMCへの警戒感もある中、小幅反発。
・大型ハイテク株が物色される。押し目買いか。
・ゲーム大手のアクティビジョン・ブリザードが3.3%高。バークシャーハサウェイによる同株取得が30日に公表されていた。(合併裁定取引の一つとして投資)
3(火) 休場(憲法記念日) - 33,128.79 +67.29 小幅続伸。
・翌4日のFOMCを控え、金融株が上昇。
・ドル指数は総じて下落。FRBの大幅利上げを織り込み済みとした見方も。
・長期金利は、心理的節目である3%を一時上回った。
4(水) 休場(みどりの日) - 34,061.06 +932.27 大幅反発。
・FRB議長が次会合での75bp利上げの積極的検討を否定し、大幅利上げ懸念が後退。株式は全面高。
・FOMCにて50bp利上げと、6月のQT(保有資産縮小)が決定。
5(木) 休場(こどもの日) - 32,997.97 -1063.09 前日の上昇分を打消す急反落。VIX指数30は越え。
・OPEC+会合では、追加の増産要請に応じないことが決定。原油価格が上昇。
・資源高の中、スタグフレーション懸念が再燃。FRBの金融政策に対し、懐疑的見方が広がり、全体に売りが波及。
6(金) 27,003.56 +185.03 32,899.37 -98.60 反発。東証グロース指数は大幅安。
・原油価格上昇で、資源株が高い。
・中小型の高PER銘柄の売りが目立った。
小幅続落。NASDAQで売りが目立った。
・雇用統計が非農業部門雇用者数で市場予想を上回る。インフレ高進からの金融引締め加速に、警戒感が継続。
・ミネアポリス地区連銀が長期実質金利の収縮スタンスを示し、下げ幅が縮小。
9(月) 26,319.34 -684.22 32,245.70 -653.67 急反落。グロース売りが優勢で全面安。
・米長期金利の上昇が重しに。米金融引締め加速懸念が再燃。
・ロシアの対独戦争記念式典が開催。プーチン大統領の動向に警戒感が高まる。
大幅に3営業日続落。NASDAQは-4.3%。
長期金利が約3年半ぶりの水準まで上昇。
・スタグフレーション(インフレ且つ景気後退)懸念が強まる。市場は11日の消費者物価指数の発表に注目。
  • ※日経平均株価・NYダウ等各種株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。

図表2 日経平均株価

  • ※当社チャートツールを用いて作成。データは2022年5月10日11:30時点。

図表3 NYダウ

  • ※当社チャートツールを用いて作成。データは2022年5月10日11:30時点。

図表4 ドル・円相場

  • ※当社チャートツールを用いて作成。データは2022年5月10日12:30時点。

図表5 主な予定

月日 国・地域 予定 備考
5/10(火) 日本 3月家計調査  
    ☆決算発表 ソニーG、三菱商、出光興産、住友鉱、任天堂
11(水) 日本 3月景気動向指数  
    ☆決算発表 INPEX、トヨタ、味の素、ソフトバンク、武田
  中国 4月生産者物価指数  
    4月消費者物価指数  
  米国 4月消費者物価指数 今後のFRB金融政策に大きく影響か
    ★決算発表 ウォルトディズニー
12(木) 日本 日銀金融政策決定会合「主な意見」 4/27-28開催分
    4月景気ウォッチャー調査  
    ☆決算発表 ソフトバンクG、東エレク、資生堂、NTT、住友不
  米国 4月生産者物価指数  
  欧州 英 1-3月期GDP  
13(金) 日本 ☆決算発表 日本郵政、三井住友、東芝、ヤクルト
    SQ  
  米国 5月ミシガン大学消費者態度指数  
16(月) 日本 ☆決算発表 三菱UFJ、リクルートHD、アサヒ
  米国 5月NY連銀製造業景気指数  
  中国 4月小売売上高  
    4月鉱工業生産  
17(火) 米国 4月小売売上高  
  4月鉱工業生産  
  ★決算発表 ホーム・デポ、ウォルマート
18(水)   G7財務相・中銀総裁会議(-20日  
  日本 1-3月期GDP  
  米国 4月住宅着工件数  
19(木) 日本 3月機械受注  
  4月貿易統計  
  米国 4月中古住宅販売件数  
    5月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数  
20(金) 日本 4月消費者物価指数  
    ☆決算発表 東京海上、MS&AD

※各種報道、WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

  2022年
日銀金融政策決定会合 6/17(金)、7/21(木)、9/22(木)、10/28(金)、12/20(火)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 6/15(水)、7/27(水)、9/21(水)、11/2(水)、12/14(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 6/9(木)、7/21(木)、9/8(木)、10/27(木)、12/15(木)

※日米欧中銀WEBサイトを基にSBI証券が作成。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。
なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しています。日付は現地時間を基準に記載しています。

図表7 日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(5/2〜5/9)

コード 銘柄 業種 株価(5/9) 株価(5/2) 騰落率(5/2〜5/9)
9501 東京電力ホールディングス 電気・ガス業 525 456 15.1%
9503 関西電力 電気・ガス業 1,252 1,165 7.5%
9107 川崎汽船 海運業 7,720 7,200 7.2%
5019 出光興産 石油・石炭製品 3,615 3,440 5.1%
1605 INPEX 鉱業 1,598 1,524 4.9%
4902 コニカミノルタ 電気機器 486 465 4.5%
9532 大阪ガス 電気・ガス業 2,403 2,302 4.4%
7211 三菱自動車工業 輸送用機器 340 327 4.0%
5020 ENEOSホールディングス 石油・石炭製品 477.4 460.1 3.8%
4506 大日本住友製薬 医薬品 1,216 1,173 3.7%

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
※5/9終値を5/2終値と比較し、値上がり率の大きい日経平均採用10銘柄を掲載。

図表8  日経平均株価採用銘柄の下落率上位(5/2〜5/9)

コード 銘柄 業種 株価(5/9) 株価(5/2) 騰落率(5/2〜5/9)
5631 日本製鋼所 機械 3,025 3,625 -16.6%
4911 資生堂 化学 5,308 6,063 -12.5%
2413 エムスリー サービス業 3,887 4,241 -8.3%
5411 ジェイ エフ イー ホールディングス 鉄鋼 1,481 1,594 -7.1%
9766 コナミホールディングス 情報・通信業 7,610 8,150 -6.6%
6098 リクルートホールディングス サービス業 4,471 4,776 -6.4%
4755 楽天グループ サービス業 863 918 -6.0%
5541 大平洋金属 鉄鋼 3,485 3,705 -5.9%
6645 オムロン 電気機器 7,215 7,666 -5.9%
9984 ソフトバンクグループ 情報・通信業 4,989 5,290 -5.7%

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
※5/9終値を5/2終値と比較し、値下がり率の大きい日経平均採用10銘柄を掲載。

25月に株価反発のキッカケになりそうな材料は?

5/10(火)の日経平均株価も、取引開始後約10分で26,000円を割る波乱の展開が続いています。日経平均株価の26,000円は昨年9/14の戻り高値(終値基準)30,670円10銭から15%下げた水準です。ちなみに、グロース株やハイテク株の多い米ナスダック指数は5/9(月)現在、52週高値(終値基準)から27.6%も下げた「弱気相場」になっています。テクニカル的には、株価の本格的な反転までは時間がかかりそうな様相です。

しかし、5月の日経平均株価を下支えし、反転のキッカケになりそうな材料も出てきました。それは、自社株買いを発表する上場企業が目立ってきたことです。2022年になって自社株買いを発表した企業は480社(4/26時点)で、すでに昨年(743社)の6割に達しています。特に3月決算企業の決算発表シーズンを迎え、決算発表とともに自社株買いを発表する企業が多くなっています。

最近では富士通(6702)が、発行済み株式数の6.11%に相当する1,200万株の自社株買いを発表し、株価上昇につながっています。また、ヤマダホールディングス(9831)に至っては、5/6(金)に発行済み株式数の23.9%にも達する自社株買いを発表し、5/9(月)にはストップ高水準まで買われました。

自社株買いは、上場企業が文字通り、自社株を市場等で買いつける行為であり、株式の需給好転につながるとみられます。発行済み株式数が減ればEPS(1株利益)が増え、PER低下につながり、割安感が強まる要因にもなります。また、ROE(株主資本利益率)の向上にもつながります。昨年度は買い入れ枠ベースで8兆円を超える自社株買いが行われました。今年度も同様の規模に達するとの予想もあり、日本株の下支え材料になりそうです。

米国でも、活発な自社株買いが株価上昇の要因であったことは知られています。しかし、自社株買いの活発化をもたらした金融緩和は終わりを迎えはじめ、米国株には逆風となりそうです。一方で、日銀は金融緩和を継続する方針であり、日本株の自社株買いに対する環境は、それほど悪化しないと考えられます。

なお、自社株買いは株主への利益還元という側面もあります。ESGの観点から考えれば、利益は株主だけでなく、社会や環境、企業統治のためにも使われるべきとみられます。企業が設備や人材への投資を怠れば、将来への成長は危ういものになるでしょう。自社株買いだけに偏った利益配分は、今後評価されなくなる可能性もあるでしょう。

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