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日本株に追い風か。衆議院選挙や決算発表後の日本株の見通し

2021/10/26

投資情報部 鈴木英之・長谷川綾乃

日経平均株価は、10/6(水)の取引時間中安値27,293円62銭をボトムに、10/20(水)の同高値29,489円11銭まで反発しました。10/26(火)は米株高を受けて、大幅に反発となりました。

今後のポイントは衆議院選挙と決算発表(2021/7〜9期)になると考えられます。

それらを経て、日経平均株価はこのまま3万円台回復となるのでしょうか。

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1日経平均株価は29,000円台半ばで跳ね返される

日経平均株価の10月第4週(10/18〜10/22)終値は28,804円85銭となりました。前週末(10/15)比で263円78銭(0.9 %)安、週足ベースでは反落となりました。

一方、NYダウは10月第4週(10/18〜10/22)終値が前週末比1.1%高、週足ベースで続伸となりました。

10/19(火)から10/20(水)にかけては、J&Jなど市場予想を上回る好決算が相次ぎ、10/20(水)は一時3万5,669ドルを付け、8/16(月)に付けた過去最高値(3万5,625ドル)を上回りました。

10/22(金)は終値で8/16(月)以来、およそ2ヵ月ぶりに過去最高値を更新。アメリカン・エキスプレスが2021年7〜9月期決算発表を行い、市場予想を上回る好決算を発表し、1銘柄でダウを60ドル程度押し上げました。この他、中国の恒大集団が債務不履行を回避できる見通しとなったことなども好材料となった様です。一方、スナップの7-9月期売上が市場予想を下回り、その要因がアップルのプライバシー規約変更の影響であったことから、デジタル広告関連株が総じて安い展開となりました。

図表1 日経平均株価の値動きとその背景

  日経平均株価 株式市場の動き
  終値 前日比  
10/19(火) 29,215.52 190.06 反発。
米長期金利の上昇が一服して東京エレクトロンなど、値がさの半導体関連銘柄を中心に買われた。
一方、外国為替市場で円安・ドル高の流れが一服し、自動車など輸出関連株の一角に売りが出て重荷となった。
10/20(水) 29,255.55 40.03 9/30以来、およそ3週間ぶりの高値。
ただ、利益確定売りも出やすく、上値は限定的だった。
ソフトバンクグループやファーストリテイリングなど、値がさ株が上昇。
10/21(木) 28,708.58 -546.97 3日ぶりに大幅反落。
米長期金利の上昇でハイテク株が下がったことで、グロース(成長)株を中心に売られた。
オランダの半導体製造装置大手、ASMLホールディングが決算を発表。10〜12月期の売上高が市場予想を下回る見込みとなり、嫌気売り。東京エレクトロンやレーザーテックなど、半導体関連株に売りが波及した。
10/22(金) 28,804.85 96.27 反発。
中国の恒大集団による米ドル債の利払い報道を受け、投資家心理が改善。
ただ、主要企業の決算発表の本格化を控えて、様子見ムードもあり、上値は重い。
米ハイテク株高を受け、半導体関連の一角が高い。
10/25(月) 28,600.41 -204.44 反落。
米株式市場のハイテク株安を受け、東京市場でもハイテク株を中心に売りが優勢。
ファーストリテイリングが一時、年初来安値を更新した他、ソフトバンクグループなど、値がさ株が売られた。
SOX指数の下落を受けて、東京エレクトロンなど半導体関連も総じて安い。
一方、海運株が高い。
  • ※日経平均株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。

図表2 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールをもとに作成。データは2021/10/26時点。

図表3 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールをもとに作成。データは2021/10/26時点。

図表4 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールをもとに作成。データは2021/10/26時点。

図表5 主な予定

月日 国・地域 予定 備考
10/27(水) 日本 日銀金融政策決定会合(〜28日)  
    ★決算発表 エムスリー、信越化学、NRI、富士通、JR東海
  アメリカ 9月耐久財受注  
    ★決算発表 コカ・コーラ、マクドナルド、ボーイング、サービスナウ
10/28(木) 日本 黒田日銀総裁会見  
    日銀「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)  
    ★決算発表 ZOZO、武田薬、三菱電、パナソニック、ソニーG
  アメリカ 7-9月期GDP速報値  
    ★決算発表 アップル、メルク、マスターカード、スターバックス
  欧州 ECB定例理事会(ラガルド総裁会見)  
10/29(金) 日本 9月失業率・有効求人倍率  
    9月鉱工業生産  
    10月消費動向調査  
    ★決算発表 イビデン、メルカリ、NEC、レーザーテック、商船三井
  アメリカ 9月個人所得・個人支出  
    ★決算発表 アマゾン、アルファベット、アルトリアG、エクソンモービル、アッヴィ、モデルナ
10/31(日) 日本 衆議院議員選挙投開票  
  中国 10月製造業PMI、非製造業PMI、コンポジットPMI  
  国連 第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)開催(〜12日)  
11/1(月) 日本 10月自動車販売台数  
    ★決算発表 AGC、京セラ、TDK、塩野義製薬
  中国 10月Caixin製造業PMI  
  アメリカ 10月ISM製造業景況指数  
    ★決算発表  
11/2(火) 日本 9/21・22開催の日銀金融政策決定会合議事要旨  
    10月マネタリーベース  
    ★決算発表 三井物産、日本製鉄、丸紅、花王
  アメリカ FOMC(〜3日)  
    ★決算発表 ファイザー、コノコフィリップス、アカマイテクノロジーズ
11/3(水) 日本 休場(文化の日)  
  アメリカ 10月ADP雇用統計  
    10月ISM非製造業景況指数  
    パウエルFRB議長会見  
    ★決算発表 クアルコム、Tモバイル、トリンブル、アルベマール
11/4(木) 日本 ★決算発表 トヨタ自動車、ソフトバンク、日本郵船、任天堂
  アメリカ 9月貿易収支  
    ★決算発表 スクエア、モデルナ、イルミナ、フォーティネット
11/5(金) 日本 9月家計調査  
    ★決算発表 本田技研工業、伊藤忠商事、三菱商事、住友商事
  • ※各種報道、WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「E」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

  2021年 2022年
日銀金融政策決定会合 10/28(木)、12/17(金) 1/18(火)、3/18(金)、4/28(木)、6/17(金)、7/21(木)、9/22(木)、10/28(金)、12/20(火)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 11/3(水)、12/15(水) 1/26(水)、3/16(水)、5/4(水)、6/15(水)、7/27(水)、9/21(水)、11/2(水)、12/14(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 10/28(木)、12/16(木) 1/20(木)、3/10(木)、4/14(木)、6/9(木)、7/21(木)、9/8(木)、10/27(木)、12/15(木)
  • ※日米欧中銀WEBサイトを基にSBI証券が作成。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。
  • なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しています。日付は現地時間を基準に記載しています。

図表7 日経平均株価採用銘柄の上昇率上位

コード 銘柄 業種 株価(10/25) 株価(10/18) 騰落率(10/18〜10/25)
4519 中外製薬 医薬品 4,246 3,922 8.3%
4755 楽天グループ サービス業 1,249 1,158 7.9%
5202 日本板硝子 ガラス・土石製品 658 623 5.6%
6305 日立建機 機械 3,425 3,250 5.4%
6762 TDK 電気機器 3,980 3,785 5.2%
5631 日本製鋼所 機械 3,285 3,145 4.5%
9104 商船三井 海運業 6,720 6,440 4.3%
9101 日本郵船 海運業 7,850 7,540 4.1%
5301 東海カーボン ガラス・土石製品 1,504 1,453 3.5%
6752 パナソニック 電気機器 1,445.5 1,400 3.3%
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表8  日経平均株価採用銘柄の下落率上位

コード 銘柄 業種 株価(10/25) 株価(10/18) 騰落率(10/18〜10/25)
7012 川崎重工業 輸送用機器 2,403 2,762 -13.0%
4324 電通グループ サービス業 4,015 4,375 -8.2%
6178 日本郵政 サービス業 837.4 911.6 -8.1%
5703 日本軽金属ホールディングス 非鉄金属 1,916 2,067 -7.3%
4751 サイバーエージェント   サービス業 1,960 2,113 -7.2%
7202 いすゞ自動車 輸送用機器 1,492 1,601 -6.8%
4208 宇部興産 化学 2,111 2,258 -6.5%
4902 コニカミノルタ 電気機器 592 632 -6.3%
2531 宝ホールディングス 食料品 1,518 1,619 -6.2%
4043 トクヤマ 化学 1,978 2,109 -6.2%
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

2衆議院選挙や決算発表後、日本株は「追い風」か「逆風」か

衆議院選挙や決算発表を経て、日本株は上昇するのでしょうか。

まず、衆議院選挙については10/31(日)の投開票を経て、大勢が判明するまでは注意が必要でしょう。

自民党、公明党の与党で過半数は確保出来る見込みですが、自民党が単独過半数を維持できるかが焦点とされ、来年7月に予定されている参議院選挙を前に、首相の求心力が問われます。

なお、仮に自民党が単独過半数となって圧勝した場合、日経平均株価3万円台回復への期待が高まります。

次に決算発表については、10/29(金)に385社の発表が予定され、第1の山場を迎えた後、11/12(金)に705社の発表が予定され、最大の山場を迎えます。

図表9は日銀短観(2021年9月調査)の業況判断をグラフ化したものです。

9月時点の直近の業況判断指数から、6月時点の先行き見通しを引いた数字が大きい業種ほど、「6月時点で予想していたよりも、9月の業況は強かった」という推測ができ、「業績上方修正の可能性が大きい」と予想されます。

良い例となったのが王子ホールディングス(3861)です。

一般的に、円安・原油高が逆風となる業種ですが、同社が属する「紙・パルプ」の業況判断指数は6月時点での「先行き」+4に対し、9月時点の「直近」は+19と上振れていました。そうした中、10/22(金)の日経新聞で、同社の4〜9月期営業利益が予想を上回ったと報道されました。

なお、10/25(月)の東京株式市場は軟調な展開となった中、同社株価は横ばいを維持しました。

市場でインフレに期待が高まる中、紙・パルプにとどまらず、非鉄金属や化学、石油製品など、多くの素材産業で業績上振れが期待できそうです。また、半導体製造装置を含む生産用機械は、12月にかけて好調持続が期待されます。

逆に要注意とされるのは自動車、宿泊・飲食サービス、対個人サービス(旅行・娯楽等)です。新型コロナウイルスの影響が予想以上に広がり、業績に影響が出たとみられるためです。

ただ、新型コロナウイルスの影響による下方修正については、株価的には悪材料出尽くしになる可能性もあります。

衆議院選挙や決算を経て、株価が下落した場合、そこが買い場になる可能性も大きいでしょう。

図表9 日銀短観(2021年9月調査)の業況判断

  • ※日銀短観(2021/9調査)をもとにSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
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