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≪株価急落≫中国恒大集団(エバー・グランデ)の過剰債務問題について

2021/9/21

投資情報部 鈴木英之

日経平均株価は8/20(金)の安値26,954円をボトムに、9/14(火)の30,794円までは短期間で14%も上昇。31年ぶりの高値水準を回復しました。

こうした中、中国の不動産開発大手である恒大集団の過剰債務問題が深刻化し、連休明け9/21(火)の東京株式市場は大幅安となりました。
市場の一部では「リーマンショック並みの信用危機」の再来を心配する声も出ていますが、果たしてどうなるのでしょうか。

なお、今回は臨時でSBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。
225のココがPOINT!
※YouTubeに遷移します。

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1一時31年ぶりの高値水準を回復

日経平均株価は、9月第3週(9/13〜9/17)終値が30,500円05銭、前週末(9/10)比で118円21銭(0.4 %)高、週足ベースで4週続伸となりました。

一方、NYダウは9月第3週(9/13〜9/17)終値が前週末比0.1%安、週足ベースで3週続落となりました。
9/15(水)はNY連銀製造業景況指数が改善し、米景気の底堅さが意識されて景気敏感株を中心に買いが広がりました。
9/17(金)は株式指数先物・株式指数オプション・ストックオプション・個別銘柄のオプションの4つの取引が同時に期限を迎えるクアドルプル・ウィッチング・デーとなった中、FOMCを前に買いが手控えられるなど、景気敏感株の一角が売られる展開となりました。
9/20(月)は3日続落となり、およそ2ヵ月ぶりの安値となりました。下げ幅は一時971ドルに達する場面も。中国の不動産開発大手、中国恒大集団の過剰債務問題をきっかけにリスク回避の動きが広がり、世界的な株安となりました。

図表1 日経平均株価の値動きとその背景

  日経平均株価 株式市場の動き
終値 前日比
9/14(火) 30,670.10 222.73 3日続伸。
2/16に付けた年初来高値を更新し、取引時間中ベースでは1990/8/2以来およそ31年ぶりの高値。
国内で新型コロナウイルス向けワクチンを2回接種した人が5割を超えたことや、新規感染者数が減少傾向にあることから、経済正常化期待が高まる。
引き続き、次期政権に対する期待感高い。
自社株買いを発表した東京海上HD(8766)が大幅高。
9/15(水) 30,511.71 -158.39 4日ぶりに反落。
下げ幅は一時300円超となる場面も。
前日におよそ31年ぶりの高値を付けたことで、幅広い銘柄で利益確定売りが優勢に。
また、米株の下落も重荷となった。
半導体関連銘柄が上昇基調で東京エレクトロン(8035)は15営業日続伸。
9/16(木) 30,323.34 -188.37 続落。
高値圏にあって利益確定売りに押される。
東京エレクトロン(8035)やソフトバンクG(9984)など、値がさ株が下落して指数を押し下げた。
一方、依然として次期政権への経済対策等の期待が高く、押し目買いが相場を下支えした。
TOTO(5332)が大幅安。
9/17(金) 30,500.05 176.71 3日ぶりに反発。
SOX指数が連日最高値更新。東エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)など、半導体関連の一角が買われた。
海運株が高く、日本製鉄やJFEなど鉄鋼株の下げが目立った。
東証1部売買代金は4兆3205億円で、5/27以来およそ4ヵ月ぶりの高水準。
9/20(月) 休場(敬老の日) - -
  • ※日経平均株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。

図表2 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールをもとに作成。データは2021/9/21時点。

図表3 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールをもとに作成。データは2021/9/21時点。

図表4 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールをもとに作成。データは2021/9/21時点。

図表5 主な予定

月日 国・地域 予定 備考
9/21(火) 日本 日銀金融政策決定会合(〜22日)  
    ★決算発表 ツルハHD
  アメリカ FOMC(〜22日)  
    4-6月期経常収支  
    8月住宅着工件数  
    ★決算発表 アドビ、フェデックス
  その他 国連総会一般討論(〜27日)  
9/22(水) 日本 黒田日銀総裁会見  
  アメリカ パウエルFRB議長会見(経済見通し)  
  香港 休場  
9/23(木) 日本 休場(秋分の日)  
    総裁選候補者のオンライン政策討論会  
  アメリカ ★決算発表 アクセンチュア、コストコ、ナイキ
  イギリス 金融政策発表  
9/24(金) 日本 8月消費者物価  
  アメリカ 8月新築住宅販売件数  
9/27(月) アメリカ 8月耐久財受注  
    超党派インフラ投資法案の採決期限  
9/28(火) 日本 日銀金融政策決定会合議事要旨公表(7/15・16開催分)  
  アメリカ 7月S&Pコアロジック住宅価格  
    9月コンファレンスボード消費者信頼感  
    ★決算発表 マイクロンテクノロジー
9/29(水) 日本 自民党総裁選投開票日  
  アメリカ 8月中古住宅販売成約  
9/30(木) 日本 8月鉱工業生産  
  中国 9月製造業・非製造業PMI  
  アメリカ 新規失業保険申請件数  
    実質GDP(4-6月期、確報値)  
    ★決算発表 カーマックス
10/1(金) 日本 日銀短観(7-9月期)  
  アメリカ 8月個人所得・個人支出  
    8月個人支出物価指数  
    9月ミシガン大学消費者マインド(確報値)  
    9月ISM製造業景気指数  
    9月自動車販売台数  
  中国 休場(1、4〜7日)  
  • ※各種報道、WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

  2021年 2022年
日銀金融政策決定会合 9/22(水)、10/28(木)、12/17(金) 1/18(火)、3/18(金)、4/28(木)、6/17(金)、7/21(木)、9/22(木)、10/28(金)、12/20(火)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 9/22(水)、11/3(水)、12/15(水) 1/26(水)、3/16(水)、5/4(水)、6/15(水)、7/27(水)、9/21(水)、11/2(水)、12/14(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 10/28(木)、12/16(木) 1/20(木)、3/10(木)、4/14(木)、6/9(木)、7/21(木)、9/8(木)、10/27(木)、12/15(木)
  • ※日米欧中銀WEBサイトを基にSBI証券が作成。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。
    なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しています。日付は現地時間を基準に記載しています。

図表7 日経平均株価採用銘柄の上昇率上位 ※株価が急落した9/21(火)終値を前週末と比較しました。

コード 銘柄 東証33業種 株価(9/21) 株価(9/17) 騰落率(9/17〜9/21)
4568 第一三共 医薬品 3,020 2,804.5 7.7%
9022 東海旅客鉄道株式会社 陸運業 16,365 15,865 3.2%
9021 西日本旅客鉄道 陸運業 5,192 5,052 2.8%
9202 ANAホールディングス 空運業 2,710 2,643 2.5%
9020 東日本旅客鉄道 陸運業 7,088 6,958 1.9%
9001 東武鉄道 陸運業 2,978 2,938 1.4%
8801 三井不動産 不動産業 2,522.5 2,494.5 1.1%
9007 小田急電鉄 陸運業 2,575 2,554 0.8%
4151 協和キリン 医薬品 4,130 4,100 0.7%
9005 東急 陸運業 1,608 1,597 0.7%
  • ※日経平均株価データをもとにSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表8  日経平均株価採用銘柄の下落率上位 ※株価が急落した9/21(火)終値を前週末と比較しました。

コード 銘柄 東証33業種 株価(9/21) 株価(9/17) 騰落率(9/17〜9/21)
5332 TOTO ガラス・土石製品 5,580 5,940 -6.1%
6305 日立建機 機械 3,190 3,375 -5.5%
6301 小松製作所 機械 2,714.5 2,868 -5.4%
3659 ネクソン 情報・通信業 1,748 1,841 -5.1%
9984 ソフトバンクグループ 情報・通信業 6,329 6,661 -5.0%
6367 ダイキン工業 機械 26,680 28,000 -4.7%
5401 日本製鉄 鉄鋼 2,056.5 2,153 -4.5%
6302 住友重機械工業 機械 3,025 3,165 -4.4%
6506 安川電機 電気機器 5,870 6,140 -4.4%
5301 東海カーボン ガラス・土石製品 1,534 1,601 -4.2%
  • ※日経平均株価データをもとにSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

2「恒大集団」過剰債務問題で今後どうなるのか?

9/21(火)の東京株式市場は売りが大きく先行しました。
日経平均株価は取引開始直後に29,832円(前週末比667円安)まで下落し、その後下げ渋りましたが、午前の取引は601円安で終わりました。

中国の不動産開発大手の中国恒大集団(エバー・グランデ・グループ)の過剰債務問題をきっかけに9/20(月)の香港株や米国株が大きく下げ、リスク回避の売りが拡大したことが大きな要因と考えられます。
同社は不動産開発事業をメインに、食品や観光、インターネットなど他業種へも進出し、急速に業務を拡大させてきました。しかし、サプライヤーへの返済が滞り、今月に入っておよそ33兆円の負債総額を公表。債務不履行(デフォルト)の懸念が高まっています。

中国政府は同社が与える金融システムの安定や実体経済への影響を重視するとみられますが、同社の存続は不透明であり、予断を許さない状況です。

仮に恒大集団(エバー・グランデ・グループ)が経営破綻した場合、同社に貸出を行った中国の金融機関に影響が出る可能性があります。ただし、期間収益の枠内で吸収できる範囲内であるとみられます。また、最終的には政府当局が金融システムに公的資金を注入するシナリオもあることから、リーマンショックのような金融システムの危機には繋がらないとの見方が有力です。

ただし、日経平均株価は中国恒大集団の利払いを巡り、リスク回避の売りに押される可能性もあるため、短期的には動揺が続く可能性があります。
9/21(火)の東京株式市場では、中国での営業利益構成比が大きく、中国住宅・不動産市場が混乱した場合の影響が大きいとみられるTOTO(5332)の下げが目立っています。この他、中国株式市場の変調が逆風となりやすいソフトバンクグループ(9984)、建機の大手メーカーであるコマツ(6301)、日立建機(6305)などの下げが目立ちました。

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