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2021年は波乱の可能性も?〜「辛丑」(かのとうし)相場の特徴は?

2020/12/29

投資情報部 鈴木英之

本年もいよいよ大詰めとなりました。
日経平均株価は11月に15.0%上昇した後、12月に入ってからは、スピード調整局面となりました。しかし、トランプ米大統領の署名により、米追加経済対策が成立したことを受け、12/28(月)は売買代金の回復を伴いながら上昇に転じ、12/29(火)には大幅続伸となり、典型的な保ち合い放れの展開になりました。なお、12/29(火)終値は27,568円15銭で、1990/8/15に付けた28,112円12銭以来、およそ30年4ヵ月ぶりの高値水準を回復しました。

では、2021年はどのような年になるのでしょうか。
今回は、年が替わるタイミングにちなみ、「十干・十二支」の考え方を参考に、「辛丑(かのとうし)」の株式相場を占ってみたいと思います。

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1“保ち合い放れ”でおよそ30年4ヵ月ぶりの高値水準を回復

日経平均株価は11月に15.0%上昇した後、12月に入ってからは、大幅高後ということもあり、典型的なスピード調整局面となりました。
11月末終値26,433円62銭に対し、12/25(金)時点の終値は26,656円61銭と、わずか0.8%の上昇にとどまっています。また、12/25(金)の東証1部・売買代金は1兆2,547億円と、実質的には前年同日の1兆992億円以来の低水準となるなど、クリスマス休暇時期の特徴とされる閑散商いになりました。

図表1は直近の日経平均株価の値動きを示したものです。
12月に入り、あたかも26,900円近辺に見えない壁でもあるかのように、同水準近辺で跳ね返され、株価がもみ合う展開となりました。しかし、トランプ米大統領の署名により、米追加経済対策が成立したことを受け、12/28(月)は売買代金の回復を伴いながら上昇に転じ、12/29(火)には大幅続伸となり、典型的な保ち合い放れの展開になりました。

日経平均株価は1991年の年間高値(終値ベース)が27,146円91銭であり、そこが現在の日経平均株価にとって、主要な上値めどになっていました。12/29(火)終値はそこを上回った格好であり、1990/8/15に付けた28,112円12銭以来、およそ30年4ヵ月ぶりの高値水準を回復しました。

なお、日経平均株価の最高値は38,915円(1989/12)で、最安値は7,054円(2009/3/10)です。この間の下落額に対する3分の2戻し水準は28,295円となるので、次の上値めどは、その辺になるかもしれません。前週の「225の『ココがPOINT!』」でも予想したように、高値は30,000円近辺まで伸びる可能性があるとの見方に変化はありません。ただし、十干・十二支の教える所に従えば、波乱が生じる可能性もあるようで、年間では前半高で後半下落のシナリオもありそうです。

図表1 日経平均株価の値動きとその背景(2020/12/22〜2020/12/29)

  日経平均株価 日米株式市場等の動き
終値 前日比
12/22(火) 26,436.39 -278.03 コロナ変異種の拡大で景気の先行きに不透明感。
12/23(水) 26,524.79 +88.40 4日ぶりに反発、売買代金は2兆円を下回る。
12/24(木) 26,668.35 +143.56 ワクチンの早期普及期待で続伸。売買代金は連日2兆円下回る。
12/25(金) 26,656.61 -11.74 3日ぶりに小幅反落。売買代金は2019年12月25日以来、1年ぶりの低水準に。
12/28(月) 26,854.03 +197.42 12/9以来の年初来高値更新。米追加経済対策の成立に期待感。
12/29(火) 27,568.15 +714.12 米追加経済対策の成立を追い風におよそ30年4ヵ月ぶりの高値水準を回復。

図表2 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2020/12/29取引時間中。

図表3 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2020/12/29現在。

図表4 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2020/12/29取引時間中。

図表5 当面の重要スケジュール

月日 国・地域 予定内容 ポイント
12/29(火) アメリカ 10月S&PコアロジックCS住宅価格指数  
12/30(水) 日本 大納会 2019年終値は日経平均23,656円62銭。
  アメリカ 11月中古住宅販売仮契約
12/31(木) 日本 大晦日  
  中国 12月コンポジットPMI
    12月製造業PMI 中国製造業のマインドは?
    12月非製造業PMI
  イギリス EU離脱移行期間が終了  
1/1(金) 日本 元日  
    日英EPA発効予定
    改正育児・介護休業法が施行
  海外 ニューイヤーズデイ  
1/4(月) 日本 大発会
    12月自動車販売台数
  中国 Caixin製造業PMI
1/5(火) 日本 マネタリーベース  
  アメリカ 12月ISM製造業景況指数 米製造業のマインドは?
    米連邦議会上院選挙、ジョージア州の決戦投票 結果により、上院の多数党が決定?
1/6(水) 日本 12月消費動向調査  
  アメリカ 12月ADP雇用統計
    11月製造業受注
    12月15・16日開催のFOMC議事録
    12月J.P.モルガン・グローバルコンポジットPMI  
1/7(木) 日本 11月毎月勤労統計調査  
  アメリカ 11月貿易収支
    12月ISM非製造業景況指数 雇用や新規受注等の指標にも注意か
1/8(金) 日本 11月家計調査
    11月景気動向指数
    オプションSQ
  アメリカ 12月雇用統計 市場コンセンサスは非農業部門雇用者数80千人増
    11月消費者信用残高  
  • ※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)

  2021年
日銀金融政策決定会合 1/21(木)、3/19(金)、4/27(火)、6/18(金)、7/16(金)、9/22(水)、10/28(木)、12/17(金)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 1/27(水)、3/17(水)、4/28(水)、6/16(水)、7/28(水)、9/22(水)、11/3(水)、12/15(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 1/21(木)、3/11(木)、4/22(木)、7/22(木)、9/9(木)、10/28(木)、12/16(木)
  • ※日米欧中銀WEBサイトを基にSBI証券が作成。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。 なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しています。日付は日本時間(ただし、ECBの結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。

2「辛丑(かのとうし)」の2021年は波乱となるのか?

古来、中国を中心とする漢字文化圏では、「十干(じゅっかん)」と「十二支(じゅうにし)」に「五行思想」を取り入れて暦を表現してきました。
すなわち、

十干・・・・・・甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、葵
十二支・・・・子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥

を組み合わせ、10と12の最小公倍数である60年で暦が1巡します。
そして、このことから“元の暦に還る”という意味で、60歳のことを「還暦」と呼びます。

2021年は十干の「辛」と、十二支の「丑」が組み合わされ、「辛丑(かのとうし)」という年になります。
「辛」は季節で言えば秋の終わりであり、植物は腐って地面に落ち、種を大地に還すという意味があるようです。また、「丑」は発芽直前の曲がった芽が種子の硬い殻を破ろうとしている状態を示すとされます。両者を合わせると、2021年は“古いことに悩まされながら”も、新しいことが始まる年となるのかもしれません。

図表7は、米国のペリー提督率いる黒船が浦賀に来航し、開国や江戸幕府衰退のキッカケになった1853年(嘉永6年)以降の「丑年」について、おもな出来事を記載したものです。丑年の歴史を記するだけでも、日本の近代史が理解できるくらい、大きな節目になる出来事が多かったように思われます。

特に株式市場に関係するところだけでも、1949年の東証再開、1961年の東証2部創設、1973年の石油危機と株価急落、1985年のプラザ合意からバブル相場、1997年は三洋証、山一証、拓銀が破綻する金融危機の前半、2009年の日経平均株価によるバブル崩壊以降の安値示現など、すべてが転換期のできごとと言えます。

2021年はどのような年になるのでしょうか。
“古いことに悩まされながら”ということは、新型コロナウイルス感染拡大の影響などに引き続き、世界経済が苦しむのでしょうか。また、市場参加者の大半が前提としている低金利が動揺すれば、世界の株式市場に悪影響が出る可能性もあります。

ただ、そうした波乱の中から、次世代の成長企業が誕生するのかもしれません。

図表7 「辛丑」に起きたおもな歴史上のできごと

「辛丑」の年 年号 月日 おもなできごと 備考
1853 嘉永6 5月26日 (日)黒船来航 江戸幕府を衰退に導き、明治維新の契機に
1865 慶応元 4月14日 (米)南北戦争。リンカーン暗殺 米国が内乱を乗り越え、世界列強のひとつに
1877 明治11 9月24日 (日)日本最後の内戦 武士階級が崩壊し、近代国家へ
1889 明治23 5月1日 (日)「東京市」の誕生 15区の区域をもって市域とした。
1901 明治35 9月7日 (中)北京議定書 欧米列強等による中国侵攻が激化
1913 大正2 11月22日 (日)徳川慶喜が死去 最後の将軍が亡くなる
1925 大正14 1月3日 (伊)ムッソリーニが独裁宣言 欧州でファシズムが台頭
(独)ナチ党が再建
(日)治安維持法/普通選挙法 民主化と同時に言論弾圧の方向
1937 昭和12 7月7日 (日)(中)盧溝橋事件 日中戦争が本格化
1949 昭和24 4月1日 (日)東証設立 立会再開は5/16
10月1日 (中)中華人民共和国が成立 中国内戦が終結し、共産党政権が成立
10月7日 (独)東西ドイツ分裂
1961 昭和36 1月20日 (米)ケネディ大統領就任 キューバ危機(1962)に対応
4月12日 (ソ連)ボストーク1号地球一周 人類初の有人宇宙船
8月13日 (独)「ベルリンの壁」建設 東西冷戦が激化
10月2日 (日)東証2部設立 同じ日に大鵬と柏戸が横綱昇進
1973 昭和48 10月6日 第4次中東戦争 第1次石油危機発生へ
1985 昭和60 9月22日 プラザ合意 円高・ドル安激化からバブルへ。
1997 平成9 11月3日 (日)三洋証が更生法 同月に山一証、拓銀も破綻。
2009 平成21 3月10日 (日)日経平均がバブル後安値 7,054円98銭が終値基準安値に
2021 令和3

図表8 2021年のおもな重要日程

1/1(金) 日英包括的経済連携協定(EPA)が発効
1/20(水) 米大統領就任式
2月(月内) FRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言
米大統領予算教書
2/4(木) USJに世界初となる任天堂エリア開業
2/18(木) 火星探査機「Mars2020」が火星に到着し探査開始予定
3月(月内) 厚生省が新型コロナウイルス向けワクチン接種開始
マイナンバーカードと健康保険証統一利用開始
3/11(木) 東日本大震災から10年
G7主要国首脳会議(G7サミット)が英国で開催予定
4月 日銀が中央銀行デジタル通貨(CBDC)実証実験を開始
7/22(木) 東京都議会が任期満了
7/23(金) 東京五輪開催予定(〜8/8)
8/24(火) 東京パラリンピック(〜9/5)
9/1(水) デジタル庁が設置される予定
9/26(日) ドイツ連邦議会選挙
9/30(木) 菅自民党総裁が任期満了
10/21(木) 衆議院が任期満了で、この日までに総選挙実施へ
11月 日本発売全新型乗用車に衝突被害軽減ブレーキ装着義務
12月 サッカーのクラブワールドカップ(日本)
  • ※報道・各種資料をもとにSBI証券が作成。将来の重要日程はあくまで当資料作成段階のもので、今後予告なく変更されることがあります。
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