9/21(水)昼頃にいよいよ、日銀金融政策決定会合の結果が発表されます。日本時間9/22(木)早朝にはFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表されます。市場の関心は「日銀は追加緩和を実施するのか」および「FOMCは大方の市場の見方に反して利上げを決断するのか」等に集まっています。
日銀金融政策決定会合やFOMCはどのような結果になるのでしょうか。それを経て日本株は上がるのでしょうか、下がるのでしょうか。
<今週のココがPOINT!>
強弱拮抗状態で2大イベントを迎える東京株式市場 |
9/21(水)昼頃にいよいよ、日銀金融政策決定会合の結果が発表されます。日本時間9/22(木)早朝にはFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表されます。市場の関心は「日銀は追加緩和を実施するのか」および「FOMCは大方の市場の見方に反して利上げを決断するのか」等に集まっています。
これらの重要日程を控えた東京株式市場では、日経平均株価が揉み合いとなっています。米国の労働市場は完全雇用状態に近く、「FRBは少なくとも年内には再利上げに踏み切りそうだ」との見方がドル高・円安方向への支援材料となり、日本株にもプラス材料になっているようです。反面、米金利上昇や原油価格の下落を嫌気して米国株が下げる場面が目立ち始めており、それが日本株にも逆風になっていると考えられます。日経平均株価は7/21および8/12の高値を抜け、一時は「上放れ」したかのような形になりましたが、「ダマシ」となり、再び保ち合い相場のレンジ内に押し戻されてしまった格好です。
もっとも、日銀金融政策決定会合やFOMCの結果によっては、債券市場や外為市場に動揺が生じ、日本株も大きく動く可能性があるので、市場参加者はポジションを「強気」または「弱気」のどちらかに傾けきれないというのが実情だと思われます。3連休明けとなった9/20(火)の東京市場でも日経平均株価は売り先行後、買い戻される場面も来るなど、基本的には方向感に乏しい展開です。株式市場は強弱材料が拮抗した状態の中で、日銀金融政策決定会合やFOMCを迎えることになりそうです。
図1:日経平均株価(日足)〜「上放れ」は「ダマシ」となり、再び保ち合い相場に
- ※当社チャートツールもとにSBI証券が作成。データは2016/9/20終値現在。
図2はドル・円相場(日足)の動きです。株式相場のこう着状態をもたらしているのは外為相場なのかもしれません。ドル・円相場に方向感が生じていない現状では、物色対象を定めきることもできないと考えられます。ただ、テクニカル的には典型的な三角保ち合いが形成されており、上下どちらかに放れる可能性が強まっています。
こうした中、米10年国債利回りのチャートは、金利上昇方向へ「上放れ」となる様相が強まっています。より長期的なチャートでみた場合、2012/7と2016/7に1.3%台で「Wボトム」形成済みとなったようにも思われます。潜在成長率が2%前後あり、コア消費者物価指数が年2%を超える上昇率を示す米国の長期金利が1%台というのは「低すぎる」との見方もあります。米10年国債利回りが上昇してくれば、ドル高・円安となり、日本株高につながる可能性があります。
図2:ドル・円相場(日足)・過去3ヵ月
図3:米10年国債利回り・過去6ヵ月
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2016/9/20(日本時間)取引時間中
当面のタイムスケジュール〜2016年度上半期相場が終盤に |
表1は、当面の重要なタイムスケジュールをご紹介したものです。この中でもっとも重要なスケジュールは、9/21(水)に予定されている日銀金融政策決定会合の結果発表、および米国時間では同日(日本時間では翌日早朝)に予定されているFOMCの結果発表であると考えられます。
それらが終了すると、結果いかんにかかわらず「重大イベント通過」となり、ポジションは取りやすくなると考えられます。しかし、3月決算企業にとっても重要な「上半期末」の権利付最終日が9/27(火)に控えていますので、ポジションを取りにくい状態がさらに続く可能性も残っています。
なお、10/3(月)には日銀短観(9月調査)、10/7(金)には9月の米雇用統計が発表を控えています。上半期を無事に通過しても、市場参加者に休む暇はなさそうです。
表1:当面の重要なタイムスケジュール〜市場の関心は日米の金融政策決定会合に
月日(曜日) |
国・地域 |
予定内容 |
ポイント |
---|---|---|---|
9/20(火) | 日本 | 8月日本製半導体製造装置BBレシオ | 3ヵ月移動平均で発表。6月1.33、7月1.23 |
米国 | 8月住宅着工件数・建設許可件数 | 市場コンセンサスは前月比-1.5% | |
9/21(水) | 日本 | 日本銀行金融政策決定会合結果発表 | 総括的な検証を実施。マイナス金利の深堀りに加え、長めの金利上昇容認も? |
日本 | 8月訪日外客数 | 前年同月比で6月は+23.9%、7月は+19.7% | |
米国 | FOMC結果発表 | 9月利上げの可能性は20% | |
9/22(木) | 日本 | ◎東京市場は休場(秋分の日) | |
米国 | 7月FHFA住宅価格指数 | 前月比+0.3%が市場コンセンサス | |
米国 | 8月中古住宅販売件数 | 前月比-0.1%が市場コンセンサス | |
9/26(月) | 日本 | 臨時国会召集 | |
独 | 9月Ifo景況感指数 | 8月は100.1 | |
米国 | 8月新築住宅販売件数 | 市場コンセンサスは前月比9.1%減 | |
9/27(火) | 日本 | 日銀金融政策決定会合(7/28・29)議事録 | |
日本 | 東京市場9月末権利付最終日 | 9月末付の配当、株主優待の権利を確保したい投資家は注意 | |
米国 | 7月S&PコアロジックCS住宅価格指数 | 20都市では前年同月比+5.13% | |
米国 | 9月消費者信頼感指数 | 市場コンセンサスは98.7 | |
9/28(水) | 米国 | 8月耐久財受注 | |
9/29(木) | 米国 | 4〜6月期GDP確報値 | 市場コンセンサスは前期比・年率+1.4% |
米国 | 8月中古住宅販売仮契約 | 仮契約は通常1〜2ヵ月以内に本契約となる。7月は過去2番目の高水準 | |
9/30(金) | 日本 | 日銀金融政策決定会合(9/21・22)主要意見 | 注目された日銀会合でメンバーの見方は? |
日本 | 8月消費者物価指数 | 7月のコアコア指数は前年同月比0.3%増 | |
日本 | 8月失業率/有効求人倍率 | ||
日本 | 8月鉱工業生産 | 8月は前月比0.4%減 | |
米国 | シカゴ購買部協会景気指数 | ||
10/3(月) | 日本 | 日銀短観(9月調査) | 大企業・製造業の業況判断指数は3月、6月ともに+6 |
10/7(金) | 日本 | 9月雇用統計 |
表2:日米中央銀行会議の結果発表予定日
2016年 | 2017年 | |
---|---|---|
日銀金融政策決定会合 | 9/21(水)、11/1(火)、12/20(火) | 1/31(火)、3/16(木)、4/27(木) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 9/21(水)、11/2(水)、12/14(水) | 2/1(水)、3/15(水) |
※各種報道等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは2016/9/20現在。予定は予告なく変更される場合がありますので、あくまでもデータ作成段階のものです。
【ココがPOINT!】日銀会合の結果が発表される9/21(水)が分岐点に? |
さて、日米の「2大イベント」の結果はどうなるでしょうか。このうちFOMCについては、一時40%台まで上昇した「9月に利上げ」の確率が足元では20%まで低下しています。したがって仮に「現状維持」でも市場は「織り込み済み」となりやすく、発表後は「重大イベント通過」として前向きにとらえられる可能性が大きそうです。特に日本市場にとって「救い」なのは9/22(木)が休場(秋分の日)になっていることです。仮に米国時間9/21(水)に「利上げ」や「米国株安」等の波乱があっても、9/22(木)に冷静さを取り戻すチャンスを与えられていることになります。
したがって、市場参加者にとってより重要になるのは、日銀金融政策決定会合になりそうです。同会合では、
(1)「総括的な検証」が実施される見込みであること
(2)マイナス金利が「深堀り」される可能性があること
(3)短めの金利と比べ、長めの金利を高めとすることで、金融機関に利ザヤ確保を容易にさせること
等が検討されているとみられます。
このうち、(2)と(3)が何らかの形で実施されれば円安・株高となり、「ゼロ回答」ならば円高・株安になると予想されます。(1)は日銀が今回実施する金融政策(現状維持を含む)の説明する手段のひとつになりそうです。
ただ、実際にはより複雑な展開になる可能性もあります。(3)の政策については異を唱える向きもすくなく、実施される可能性が大きめであるものの、(2)については意外に実施の可能性は小さいと考えられるためです。マイナス金利は、銀行、とくに地方の金融機関へのマイナス面の影響が大きいとみられるので、深堀りするならば、慎重を期さねばならないと思います。言い換えれば、日銀がマイナス金利を深堀する場合は、銀行株やその収益にたいする何らかの手当てが必要になると思います。
すなわち、(2)が実施されない場合、短期的には株価が下がるリスクがあるものの、銀行や保険等が上昇する可能性が膨らむことで、日本株全般の下げは限定的になると考えられます。ただ、その場合は、「日経平均株価」よりも「TOPIX」の方が相対的に強くなる可能性があります。
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