2015年11月相場が終わりました。日経平均株価の月末終値は19,747円47銭となり、月間上昇率は10月の+9.7%に続き、11月は+3.5%となりました。12/1には8/20以来の2万円大台を回復し、年末(12月)相場では日経平均株価のレンジが「20,000円〜21,000円」へ切り上がっても不思議ではないとみられます。
11月末、日経平均採用銘柄の業績の方向感を示唆する予想EPS(一株利益)が1,275円台と、7/9の水準を超えて最高水準まで上昇してきました。その面では、日経平均株価が8月高値をトライする条件が整ったと言えそうですが、果たしてどうでしょうか。今回の「225の『ココがPOINT!』では、そんな日経平均株価の年末相場における動きを予想します。
年末相場本番へ!好悪材料をチェックする。 |
11月相場が終わりました。日経平均株価は上昇し、上昇率は10月の+9.7%に続き、11月は+3.5%となりました。また、9/29に16,901円49銭の安値を付けた後の日経平均株価上昇率は17.6%に達しました。この間の外部環境の動きを整理すると以下のようになります。
(1)中国株が落ち着きを取り戻し、同国経済への不安感がいったんは後退しました。
(2)11/6に発表された米雇用統計(10月)で、非農業部門雇用者数が27.1万人も増えるなど、米政策金利の引き上げに向けた環境が整ってきたことで、米国株は素直に上昇しました。また、外為市場では緩やかな円安・ドル高となりました。
(3)日経平均株価の予想EPSは10月末の1,236円台から、11月末は1,275円台へと上昇しました。新興国経済の減速を受け、伸び鈍化も警戒された上場企業の利益ですが、拡大傾向の継続が確認されました。
(4)11/13に「イスラム国」によるとみられるパリでの同時テロが起きましたが、その後の世界の主要マーケットは総じて落ち着いた動きを維持しました。
12/1には8/20以来の2万円大台を回復し、年末(12月)相場では日経平均株価のレンジが「20,000円〜21,000円」へ切り上がっても不思議ではないとみられます。
ただ、中国経済の不安は「後退」したもの、「解決」した訳ではないことや、テロへの恐怖がなくなった訳ではないこと等、波乱要因がいくつか存在していることも確かです。後に述べるように、米FOMC後のマーケット動向についても、一応の注意は必要だと思います。3月決算銘柄の決算発表シーズンの終了は、予想EPSの上昇が止まりやすくなることも意味しています。
反面、安倍政権は「1億総活躍社会」の確立に向けて経済対策を固めている他、法人税率の20%台への引き下げなど、株価浮揚をもたらす材料も少なくありません。12月の東京株式市場は様々な強弱材料が引っ張り合う中で、翌年への展望をどんな形で示すのか、興味深い展開となりそうです。
図1:徐々に上値を切り上げてきた日経平均株価(日足)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成。2015/11/30現在。
12/4発表の米雇用統計に向け、米国経済をウォッチすべき期間に |
株式市場を取り巻く外部環境の中で、金融政策の変化は最も重要な材料のひとつだと考えられます。日本時間の12/17未明(米国時間では12/16)に結果が判明する米FOMC(連邦市場委員会)では、「政策金利の引き上げ」がコンセンサスとなっています。このため、利上げそのものが相場に与えるインパクトは限定的になりそうですが、FRB(米連邦準備制度理事会)が何を示唆するかは、非常に重要です。それに向け、同国では重要な経済指標の発表が続くため、目の離せない状況が続くと考えられます。
中央銀行の当局者たちは、金融政策の対象として公言することはないとみられますが、「為替」についても重大な関心をもっているとみられます。欧州や日本が緩和的金融政策を取り続ける中で、FRBによる急ピッチな利上げとそれに伴う急激なドル高は、企業業績等への影響を考えれば選択肢としては取りにくいとみられます。FRBは「緩やかな利上げモード」を志向していると思われますが、それが確認されれば為替市場も落ち着き、米国株高につながるとみられます。
世界一の経済大国である米国の政策金利の引き上げは、投資家のリスク許容度を低下させ、新興国市場や株式市場からの資金流出を招く要因になります。しかし同時に、米国経済が利上げに耐えられるだけの強さを回復してきたことの証明にもなります。米出口戦略は、バーナンキ前FRB議長が量的緩和縮小の方針を明らかにした2013/6に、実質的には始まっていると考えられ、既に相当織り込んでいるとみられます。その意味で12/17(米国時間12/16)を経過すれば、アク抜け感が台頭し、世界的に株価が上昇してくる可能性が大きいとみられます。
表1:「日経平均株価」を考えるうえで当面重要とみられるタイムスケジュール
月日 | スケジュール | ポイント・注意点 |
---|---|---|
11/30(月) | ◎10月鉱工業生産(速報) | 予想を上回る増加 |
◎10月鉱工業生産(速報) | 予想をやや下回るも増加を継続 | |
12/1(火) | ◎7〜9月法人企業統計 | 設備投資が予想を上回り大幅増 |
米11月ISM製造業指数 | ドル高や原油安で米企業は? | |
◎中11月製造業PMI | 予想を下回り、引き続き不調。 | |
12/2(水) | 11月ADP雇用統計 | 労働省雇用統計の前哨戦 |
12/3(木) | 米地区連銀景況報告(ベージュブック) | 米金融政策の判断材料 |
イエレンFRB議長議会証言 | ||
米11月ISM非製造業指数 | ||
ECB(欧州中銀)理事会 | 追加金融緩和はどの程度か? | |
12/4(金) | 米11月雇用統計 | 雇用者20万人増がコンセンサス |
12/8(火) | 11月中国貿易統計 | |
12/9(水) | 10月機械受注 | |
11月中国消費者物価 | ||
12/11(金) | メジャーSQ | |
12/17(木) | 米FOMC結果発表 | 米政策金利は引き上げられるのか? |
- ※Bloomberg、各種報道をもとに、SBI証券が作成。日程は日本時間で記載。予定は変更されることもあります。
- 2015/12/1午前現在の情報で作成しました。◎は当レポート掲載時点での発表済み経済指標です。
【ココがPOINT!】「予想EPS」が最高水準更新で、株価も高値トライ!? |
前回のレポートでもご紹介したように、日経平均採用銘柄の企業業績の方向感は、日経平均の予想EPS(一株利益)の増減に反映されると考えられます。図2に示したように、いったん低下した予想EPSは回復しつつあり、主力の3月決算企業の業績が懸念したほど悪くないことを示唆しています。
しかし、そうした日経平均予想EPSは11/30時点で1,275円台まで上昇し、アベノミクス相場での最高水準(7/9)をクリアしてきました。企業業績が頭打ちでは株価も頭打ちになるかもしれませが、企業業績のさらなる拡大(※注)が明確になってくれば、日経平均株価が6/24の取引時間中に付けた20,952円を超えていく条件がひとつ整ったと考えられます。
テクニカル的にも、11月後半に株価の変動率が低下傾向を辿ったことも手伝い、過熱感は後退しています。日経平均株価の25日移動平均は11/30時点、19,420円99銭に位置していますので、そこから5%上方乖離(このあたりから相場反転を警戒すべきとされる)の水準まで上昇したとして20,392円、また同7%乖離(ここを超えると過熱感が強いとされる)では20,780円と計算されます。さらに、上記したように日経平均株価の予想EPSは1,275円(図2)まで上昇してきましたが、それに予想PER16.5倍(最近の日経平均株価は予想PER15倍±10%のレンジ内で推移)を掛けると21,037円ですので、やはり21,000円は射程圏内に入っていると考えられます。
過去30年間のデータでは、日経平均の月別・平均騰落率は4月の1.65%に次ぎ、12月も1.55%と良好な成績です。年末相場は上昇することが多いというのが日経平均株価のアノマリーでもあり、ここは高値トライの展開を期待したい所です。
図2:7月の最高水準を更新してきた日経平均・予想EPS
- ※日経平均データをもとにSBI証券が作成。
(※注)日経平均株価の予想EPSや予想PERの計算には、「自社株を除く発行済み株式数」が用いられています。このため、日経平均株価予想EPSの変化は、業績の変化だけでなく、自社株買い等による「計算用発行済み株式数」の変化を反映している面もありますので、予想EPSの上昇が必ずしも、企業業績の向上を示しているとは限りません。ただし、自社株買いの増加で発行済み株式数が減り、EPSが拡大することも株価にとり好材料である点は変わらないと考えられます。
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