9月の東京株式市場は波乱のうちに終わりそうです。9/8の取引時間中に17,415円61銭の安値を付けた日経平均株価は、その後一時的に値を戻す場面もありましたが、9/29にはその安値どころか、17,000円大台をも割り込む展開になってしまいました。
日経平均株価の下落は今後も続くのでしょうか。当面は、日経平均株価でいくら程度を下値メドと考えたらよいのか?さらに、日経平均株価が当面の下値メドに届いた後、株価は反発に転じるのか?今回の「225の『ココがPOINT!』では、その辺りに焦点を当てて、書き進めたいと思います。
![]() |
波乱の9月相場、日経平均株価は17,000円大台割れ |
---|
9月の東京株式市場は波乱のうちに終わりそうです。9/8の取引時間中に17,415円61銭の安値を付けた日経平均株価は、その後の9/9に18,770円51銭まで値を戻す場面もありましたが、9/29には9/8の安値、さらには17,000円大台を割り込む展開になってしまいました。
引き続き中国をはじめとする新興国経済への不透明感が逆風となっています。それを受けて米国でも、株価が上値の重い展開になりました。そうした中、下旬にはドイツの世界的自動車メーカーであるフォルクスワーゲンが排ガス規制への対応で不正をはたらいたことが明らかとなり、欧州経済にも不透明感が台頭し、世界的な株価波乱を助長する要因となりました。
さらに、安倍首相が「我が国の携帯電話料金が高過ぎ、それが家計の負担になっている」といった趣旨の発言をしましたが、それが契機となり、ソフトバンク(9984)やKDDI(9433)、NTTドコモ(9437)等の株価が下落基調となってしまったことも、日経平均を押し下げる要因となりました。
注目材料としては9/16〜9/17に開催された米FOMC(米連邦公開市場委員会)があり、FRBが政策金利を11年ぶりに引き上げるかどうかが注目されました。しかし、結局FRBが「現状維持」を決め、年内利上げの可能性についても明確な示唆を与えなかったことから、むしろ世界経済を覆う不透明感が再認識される形となり、株式市場への逆風になってしまいました。
今後の日経平均株価はどう推移するでしょうか。図1は、過去2ヵ月間の日経平均株価の推移をみたものです。チャート的にみると現在は、9/18までの三角保ち合いを下放れ、9/8の安値を割り込んだ直後であり、売りが加速しやすい状態とみられます。米国の金融政策を占う意味でも注目される米雇用統計(2015年9月)の発表を10/2(金)に控え、ポジションを取りにくい状態も続きそうです。当面は、波乱含みの展開が続くことを警戒する必要がありそうです。
しかし、株価的には重要な下値支持ラインとなる株価の節目に近づいてきたことも確かですので、次項ではそれをご説明したいと思います。
図1:9月も波乱相場が続き、9/8の安値を割り込んできた日経平均株価

- ※当社チャートツールをもとに、SBI証券が作成(2015/9/29現在)
![]() |
【ココがPOINT!】日経平均はすでに重要な下値支持ラインに到達か!? |
---|
日経平均の下値ラインについてはどう考えるべきでしょうか。表1は、想定される日経平均株価の下値支持ラインについて列挙したものです。ご存知の通り、9/29の段階で一時的に到達している下値支持ラインもあります。
ここで強調しておきたいのは、日経平均株価の予想PERが9/29の段階ですでに「アベノミクス相場」(野田・前首相が解散表明をした2012/11/14以降を指す)開始直前水準である13.6倍や、2014/5/12の最低水準13.46倍にほぼ到達しているという点です。予想PERが、「企業業績(予想EPS)の何倍まで株価を評価するのか」という「市場心理」を表していると考えるならば、これ以上株価が下落し、予想PERも低下するということは、「アベノミクス相場でもっとも弱気な局面」に入ってくると表現できるかもしれません。ただ、予想PERがアベノミクス以前の水準まで戻ってしまうことは「下げ過ぎ」ではないかと「ココがPOINT!」では考えています。
また、下値支持ライン2〜4でも示したように、日経平均株価が月足レベルのやや長期で見たテクニカル指標で見ても、「下げ過ぎ」を示唆する水準に届いてきたことも重要です。
なお、一般的に株価の下落が20%までにとどまるならば「上昇過程における一時的な下落局面(調整)」で、それを超えてくると「本格的下落」につながるとの見方があります。株式市場では、日銀による追加緩和への期待もあり、「アベノミクス相場」は継続していると考えるのならば、「下値支持ライン4」で示された水準以下への株価下落は考えにくいことになります。ちなみに、2013/5/23から6/13までの「下落率22%」がアベノミクス相場での最大下落率ですので、やはり「日経平均20%下落」はその意味でも重要な節目になると考えられます。
このように、日経平均株価はかなり重要な下値支持ラインに到達しており、「キッカケ」さえあれば、反発しても不思議ではない水準に達したと考えられます。それでは「キッカケ」は何になるのでしょうか。10/1に、相場が「年度下半期」に突入すること、同じ日に中国の大型連休がはじまり、同国から悪材料が出にくくなること、10/2に米雇用統計の発表が終わることなど、日程面では「アク抜け」となり、転機になりやすいと考えられます。
表1:日経平均株価の重要な「下値支持ライン」
下値支持ライン1 | 16,988円 | 予想PERでは、アベノミクス相場の最低ライン13.46倍に相当 |
---|---|---|
下値支持ライン2 | 16,915円 | 日経平均・月足で2年移動平均に相当※ |
下値支持ライン3 | 16,841円 | アベノミクス相場の最大上昇幅(2012/11/13の8,619円→2015/6/24の20,952円)の3分の1押し水準に相当 |
下値支持ライン4 | 16,757円 | 8/11高値20,946円から20%押し水準となる16,757円 |
- ※日経平均データをもとにSBI証券が作成。2年移動平均(24ヵ月移動平均)については、2015/9の月足を9/29終値より計算しています。
図2:予想PERがアベノミクス相場の「最低ライン」に届いてきた日経平均株価

- ※日経平均データをもとにSBI証券が作成。2015/9/29の予想PERは、計算に使う予想EPSに9/28のデータを使用しています。
先物・オプションの関連コンテンツ
【サキモノのココがPOINT!】
重要指標通過で日経平均の17,000円割れはあるか?