前営業日トピックス
東京市場では、序盤は底固い動きが見られたものの、日経平均株価が大幅下落となったことからリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。また、欧州時間でもアジア時間の株安の影響を受けて、欧州株が軒並み下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された7月の米雇用統計が軒並み予想よりも弱い結果となったことを受けて、米金利の低下とともにドルは主要通貨に対して下落した。さらに、米主要株価指数が大幅下落となったことでリスク回避の動きから円が買われる動きとなり、クロス円も下落した。値を戻す動きが見られたものの、米金利の低下が続いたこともあり、終盤にかけて再び軟調な動きとなった。
米株式市場では、序盤に発表された7月の米雇用統計で、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回ったことを受けて米経済の先行き懸念が広がり、投資家のリスク回避の動きから主要株価指数は軒並み下落した。 ダウ平均は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比989ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小する動きとなり、610.71ドル安(-1.51%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、半導体やIT大手の決算が低調だったことが影響して下げ幅を拡大し、417.98ポイント安(-2.67%)で終了した。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の動きを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ただ、下げ一服後は、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたこともあり、ドル円・クロス円は持ち直す場面もあった。ドル/円は、序盤に148.87まで下落したものの、その後は149.77まで値を戻した。
(2)午後に入り、序盤から大幅下落となった日経平均株価が前日比2200円超下落となり、過去2番目の大幅な下落を記録したことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、円買いが優勢となった。さらに、欧州株も大幅安となったことから、ドル円・クロス円は軟調な動きが続き、ドル/円は148.63まで下落した。
(3)米国市場では、序盤に発表された7月の米雇用統計で、失業率が4.3%(予想4.1%)、非農業部門雇用者数が+11.4万人(予想+17.8万人)、平均時給が前月比0.2%(予想0.3%)、前年比が3.6%(予想3.7%)と、いずれも市場予想より冴えない結果となったことを受けて、米金利の低下とともにドルは主要通貨に対して下落した。さらに、米景気の先行き不透明感から主要株価指数が大幅下落となったことでリスク回避の動きも強まり、クロス円も下落した。ドル/円は、序盤の149.11から146.40まで下落し2/2以来の安値を付けた。その後は147.45まで値を戻す動きが見られたものの、米金利の低下が続いたこともあり、終盤にかけて再び軟調な動きとなり、146.43まで下落した。なお、米長期金利の指標となる10年債利回りは、一時3.78%台まで低下して昨年12月下旬以来の低水準、2年債利回りは一時3.84%台まで低下して昨年5月以来の4%割れとなった。
本日のトピックス
先週は、日銀が利上げを決定し、植田日銀総裁がタカ派寄りの姿勢を示したことで、追加利上げ期待が高まったことや、パウエルFRB議長が9月の利下げの可能性に言及したことで早期の利下げ観測が高まるなど、日米金融政策の方向性の違いから明確となったことで、ドル売り・円買いが優勢となった。さらに、英中銀が利下げを決定したことや、ECBの利下げ観測も影響した。また、世界的な株価下落が続いたことで、投資家のリスク回避の動きが強まったことも円買いにつながった。
先週までの4週間で、ドル/円は15.40円幅、ユーロ円は15.71円幅、ポンド/円は20.73円幅、豪ドル/円は14.04円幅それぞれ下落しており、値頃感の買いが入る可能性も考えられるが、金融政策の違いから金利差の縮小観測、株価下落が続いていることによるリスク回避の動きなどから、引き続き円買いが続く可能性が考えられる。ただ、株価が下落が止まり、値を戻す動きとなればドル円・クロス円も値を戻す動きとなる可能性も考えられるが、円売りが続くとは考えにくいと見られている。
本日の海外市場では、7月の米ISM非製造業景況指数の発表が予定されており、先週は米経済指標の冴えない結果が続いてことから、結果が注目されている。市場では改善が予想されているが、予想に反して冴えない結果となる場合には、ドルの下振れの可能性も考えられることから、結果に注目したい。
8/5の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
7月ISM非製造業景況指数 ![]()
ISM非製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数であり、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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51.0 | 48.8 |
前回は市場予想を下回り、2020年5月以来の低水準となった。また、2ヵ月ぶりに景気判断の基準となる50を下回る結果となった。景況感と新規受注の落ち込みが影響した。今回は、改善が予想されており、景気判断の基準となる50を上回ると見られている。 |