前営業日トピックス
東京市場では、序盤からドル円・クロス円は軟調な動きとなった。午後に入り、日銀の金融政策発表で利上げが発表されたことを受けて円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は下振れとなった。ただ、下値は限定的となり、その後は上昇に転じる場面もあり、乱高下となった。また、日経平均株価が終盤に上げ幅を拡大したことも下支え要因となった。
米国市場では、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、米経済指標が冴えない結果となったことも加わり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。その後は、低下していた米長期金利が上昇したことや、FOMCで政策金利が据え置かれたことを受けて、ドルは堅調な動きとなった。しかし、FRB議長が9月の利下げの可能性に言及したことを受けて、米金利低下とともにドルは主要通貨に対して下落となり、ドル再び下落した。
米株式市場では、主要株価指数は序盤から底固い動きが続いた。そして、FOMCでは政策金利が予想通り据え置きとなったものの、会見でパウエルFRB議長が9月の利下げの可能性に言及したことを受けて買いが優勢となった。上昇一服後は、利益確定の動きも見られ、上げ幅を縮小した。ただ、米長期金利が低下したことも加わり、金利動向に敏感なナスダックは2.6%超の大幅上昇となった。 ダウ平均は、序盤から底固い動きが続き、一時前日比455ドル高まで上昇し、18日に付けた史上最高値に迫る場面もあった。ただ、その後は利益確定の動きなどに押されて上げ幅を縮小し、99.46ドル高(+0.24%)で終了。一方、ナスダックは451.98ポイント高(2.64%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、日経平均株価が下落して始まり、一時前日比571円安まで下落したことも圧迫要因となった。ドル/円は、序盤の153.13から152.10まで下落したものの、日銀の金融政策発表を控えて下値は限定的となった。
(2)午後に入り、日銀が利上げを決定したことや、国債の買い入れ減額を発表したことから、ドル/円は下振れとなり、一時151.58まで下落して4/9以来の安値を付けた。しかし、その後は上昇に転じて153.89まで上昇するなど、乱高下となった。また、日経平均株価が終盤に上げ幅を拡大して662円高まで上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。しかし、植田日銀総裁の会見での発言がタカ派寄りと受け止められたことで円買いが優勢となった。さらに、海外勢の円キャリートレード解消の動きが活発化しドル円・クロス円は一段の下落となった。
(3)米国市場では、日銀の追加利上げへの思惑を背景に円買いとなった流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、米ADP雇用統計12.2万人(予想15.0万人)、雇用コスト指数が0.9%(予想1.0%)と、ともに冴えない結果となったことも加わり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ドル/円は、序盤の150.33から149.63まで下落した。その後は、低下していた米長期金利が上昇したことや、FOMCで政策金利が据え置かれたことを受けて、ドル/円は151.27まで上昇した。しかし、FRB議長が「利下げの時期は近づいている、9月かもしれない」「9月のFOMCでは利下げが選択肢になる可能性がある」との見解が示されたこと受けて、米金利低下とともにドルは主要通貨に対して下落となり、ドル/円は149.62まで下落して3/19以来の安値となった。
本日のトピックス
昨日の日銀の金融政策発表で利上げを決定したことで円買いが優勢となった。9月には自民党総裁選や、FRBの利下げが予想されており、その後も衆議院解散の可能性など政治情勢を考えると、タイミングはここしかなかったか。後は年末のあと1回の利上げがあるのかどうかが焦点となるだろう。
日銀が利下げを決定したことで、円買いの動きが鮮明になるとの見方もある。9月には米国の利下げ、ECBも年内の追加利下げ、英中銀はいよいよ利下げが予想されていることから、ここまで拡大した金利差を背景とした円安から、金利差縮小による主要通貨売り・円買いのとなる可能性が考えられる。ただ、急速な金利差の縮小は考えにくいことから、時間をかけて徐々に縮小すると見られており、円も徐々に買われる展開となる可能性も考えられる。
本日の海外市場では、英中銀の金融政策発表、チャレンジャー人員削減数、非農業部門労働生産性、新規失業保険申請件数、ISM製造業景況指数など重要な経済指標の発表が予定されている。英中銀の金融政策では、利下げの予想も出ており、マーケットでの0.25%の利下げの折り込み度合いは60%となっており、いよいよ利下げに踏み切るのか注目したい。一方、米国の指標は雇用関連の経済指標が多く、米雇用統計を控えて注目されている。
8/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
20:00 | 英国 |
政策金利
金融政策委員会(MPC 〜Monetary Policy Committee)は、イングランド銀行に設置されている委員会であり、総裁、副総裁(2名)、チーフ・エコノミスト、エグゼクティブ・ディレクター、4名の外部委員からなる9名の委員で構成されている。毎月上旬に開催され、政策は木曜日の会合後に発表を行う。
|
5.00% | 5.25% |
6月の英CPIは前月から横ばいとなり、2021年7月以来の低水準が維持された。ただ、MPCが注目するサービスインフレは5.7%と高水準を維持したことから、利下げ観測が後退した。しかし、労働市場の鈍化が示されて再び利下げ観測が高まっている。金利先物市場での0.25%の利下げの折り込み度合いは、現在は60%まで上昇しているが、一部インフレの高止まりなどもあり、前回の7対2から逆転するほどに変化するのか注目。 | ||||
23:00 | 米国 |
7月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
|
48.8 | 48.5 |
前回は市場予想を下回り、3ヵ月連続の低下となった。また、製造業の拡大・縮小の判断基準となる50も3ヵ月連続で下回っている。今回は、小幅上昇が予想されているが、引き続き50を下回ると見られている。 |