前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、実需のドル買いが一服すると、上値の重い動きとなる場面もあった。午後には、日経平均株価が上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなったものの、欧州通貨や資源国通貨が対ドルで下落したことから、対円でも上値の重い動きとなった。
米国市場では、パウエルFRB議長の発言がハト派的と受け止められたことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ただ、その後に発表された5月米JOLT求人件数が市場予想を上回る結果なったことから、ドルの買い戻しが優勢となった。終盤には米金利が低下したことから、ドルも上値の重い動きとなった。
米株式市場では、欧州株が軟調な動きとなったこと受けて、米主要株価指数も売りが先行した。ただ、その後は米長期金利の上昇が一服したことや、割安感のあるIT関連株が買われたことが押し上げ要因となった。ダウ平均は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比83ドル安まで下落した。その後は堅調な動きが続き、終盤には170ドル高まで上昇し、162.33ドル高(+0.41%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、149.47ポイント高(+0.84%)で終了し、終値ベースの最高値を更新した。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤から円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたことも加わり、ドル/円は序盤の161.40から161.64まで上昇した。ただ、仲値通過後は上値の重い動きとなり、161.45まで下落したものの、再び底固い動きとなり161.66まで上昇した。
(2)午後に入り、日経平均株価が一段の上昇となり、前日比482円高まで上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は161.74まで上昇して1986年12月以来約37年半ぶりの高値を更新した。ただ、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで軟調な動きが続いたこともあり、対円でも上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、パウエルFRB議長が「予想外の労働市場の軟化は行動のきっかけになり得る」「物価はディスインフレ傾向再開を示すようになった」と発言したことを受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ただ、その後に発表された5月米JOLT求人件数が市場予想の794.6万件を上回る814.0万件となったことを受けて、米長期金利が上昇に転じたことから、ドルの買い戻しが優勢となった。ドル/円は、序盤の161.62から一時161.27まで下落したものの、その後再び161.62まで上昇した。終盤には米金利が低下したことから、ドルも上値の重い動きとなった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。
本日のトピックス
昨日のECBフォーラムで、パウエルFRB議長が「予想外の労働市場の軟化は行動のきっかけになり得る」と発言したことを受けてドルが下落したが、米求人件数が増加したことから、一転してドルは上昇となった。ただ、JOLTの求人件数は5月の結果で有ることから、やや過敏に反応したと見られる。
政策を変更させる(=行動)可能性があるとすれば、重要視されている米雇用統計の結果だろう。週末の米雇用統計の結果が市場予想を下回る場合には、今回の発言が意識されて、FRBの利下げ観測の高まりから米金利の低下とともに、ドルの下振れとなる可能性が考えられる。
また、本日の米国市場では、チャレンジャー人員削減数、ADP雇用統計、新規失業保険申請件数、ISM非製造業景況指数など、雇用統計を予想する上で参考にされる経済指標であることから、本日の結果を受けてマーケットが敏感に反応する可能性もあり、結果とマーケットの反応に注目したい。
7/3の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:15 | 米国 |
6月ADP雇用統計 ![]()
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
|
16.5万人 | 15.2万人 |
前回は市場予想を下回る結果となり、2ヵ月連続で伸び幅の縮小となった。製造業での減少が影響して労働市場の鈍化傾向が示された。今回は、3ヵ月ぶりに伸び幅の拡大が予想されており、特に前回減少幅が拡大した製造業の結果が注目される。 |