前営業日トピックス
東京市場では、序盤から円買いが先行し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、その後は下げが一服したことや、植田日銀総裁らのハト派発言を受けて円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、1-3月期の米単位労働コストの改定値が速報値から下方修正されたことや、新規失業保険申請件数も増加したことから、ドルは下振れとなる場面もあった。ただ、下値は限定的となりその後は米金利が上昇したことからドルも反発となったものの、終盤にかけて米金利が低下に転じたことから、ドルは主要通貨に対してやや軟調な動きとなった。
米株式市場では、FRBの利下げ開始期待を背景に、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ただ、前日に続き雇用関連の指標が冴えない結果となったこともあり、上値の重い動きとなった。また、前日に史上最高値を更新したナスダックは利益確定の売りが出たことや、前日大幅高となった半導体大手株が下落したことが圧迫要因となり、反落となった。ダウ平均は、序盤に前日比196ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて一時71ドル安まで下落した。ただ、終盤には再び堅調な動きとなり、78.84ドル高(+0.20%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、上昇して始まったものの、その後は下落に転じて上値の重い動きが続き、14.78ポイント安(-0.09%)で終了した。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、円買いが先行しドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ドル/円は、序盤の156.11から155.54まで下落したものの、下げ一服後は日経平均株価が前日比521円高まで上昇したこともあり、ドル円・クロス円の下値は限定的となった。
(2)午後に入り、植田日銀総裁が「現実のインフレ予想はまだ2%に達するには少し距離がある」としたことや、中村日銀審議委員が「当面は政策の現状維持が妥当」、「来週の会合で利上げや公債購入の話題が出ると思うが、利上げは早い」などハト派的な発言を受けて円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。ドル/円は、156.38まで上昇した。
(3)米国市場では、序盤に発表された1-3月期の米単位労働コストの改定値が速報値の4.7%から4.0%に予想外の下方修正となったことや、新規失業保険申請件数も前週の21.9万件から22.9万件に増加したことから、ドルは下振れとなる場面もあった。ただ、下値は限定的となりその後は米金利が上昇したことからドルも反発となった。ドル/円は、序盤の156.26から155.87まで下落したものの、その後は156.44まで上昇した。しかし、終盤にかけて米金利が低下に転じたことから、ドルは主要通貨に対してやや軟調な動きとなり、ドル/円も155.47まで下落した。一方、ECBは市場の予想通り政策金利の引き下げを発表したものの、スタッフ予想で今年と来年のインフレ率が上方修正されたことからユーロ買いに反応する場面もあった。しかし、その後は上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
昨日、ECB理事会で市場の予想通り政策金利の引き下げが決定されたことから、FRBも利下げを開始するとの期待が一部で強まっている。そのため、思惑などもありドルはやや上値の重い動きが続いている。ただ、現状では早くても利下げ開始は9月以降との見方がコンセンサスとなっている。
FRBの利下げ時期を見極める上では経済データが重要であり、本日の米雇用統計や来週の消費者物価指数の結果が注目されている。米雇用統計では、このところ発表されている米雇用関連の経済指標が冴えない結果が続いており、労働市場の減速が示されていることから、雇用統計の結果が注目される。雇用統計が冴えない結果となる場合には、利下げの思惑が高まり、ドルの圧迫要因となる可能性も考えられる。一方、良好な結果なら利上げ時期の後退観測からドルの下支え材料となる可能性もあるため、結果を見極めたい。
6/7の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
5月非農業部門雇用者数 ![]()
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
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18.5万人 | 17.5万人 |
前回は市場予想を下回り、6ヵ月ぶりの低い伸びとなり、労働市場の鈍化傾向が示された。今回は、前月から伸び幅の拡大が予想されているものの、伸び幅は小幅に留まり、安定的な伸びとされる+20万人を引き続き下回ると見られている。 |