前営業日トピックス
東京市場では、序盤からドル円・クロス円は堅調な動きとなったものの、460円超上昇した日経平均株価が一時マイナス圏まで下落したことや、米長期金利がやや低下したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、下値は限定的となり底固い動きとなった。その後、欧州時間では米長期金利が低下したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された4月の米消費者物価指数が前月比で市場予想を下回ったほか、米経済指標が軒並み冴えない結果となったことを受けて、米金利の低下とともにドルは主要通貨に対して下落した。ただ、安値圏では買い戻しの動きが見られたものの、その後に発表された5月の米NAHB住宅市場指数が4ヵ月ぶりの低水準に低下したことや、米金利の低下が続いたことからドルは主要通貨に対して軟調な動きが続いた。
米株式市場では、序盤に発表された米消費者物価指数が市場予想を下回ったことや、小売売上高なども冴えない結果となったことから、FRBの利下げ開始時期の後ずれに対する警戒感が和らいだことから買いが優勢となった。さらに、米長期金利の低下が続いたことも支援材料となり、主要3指数はいずれも過去最高値を更新した。 ダウ平均は、序盤から堅調な動きとなり、前日比376ドル高まで上昇し、史上最高値を更新した。引けにかけてやや上げ幅を縮小し、348.89ドル高(+0.88%)で終了し、終値ベースの過去最高値を更新した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、231.21ポイント高(+1.40%)で終了し、過去最高値を更新した。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤からドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、序盤に前日比460円高まで上昇した日経平均株価が下落に転じ、高値から300円超上げ幅を縮小したことや、仲値公示にかけて実需のドル売りが観測されたことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は、序盤の高値156.56から156.30まで下落したものの、下げ一服後は底固い動きとなり持ち直した。
(2)午後に入ると、日経平均株価がさらに上げ幅を縮小する動きとなったことや、円買いの流れからドル円・クロス円は軟調な動きとなり、ドル/円は156.16まで下落した。ただ、156円台前半では底固い動きが続いた。しかし、欧州時間に入ると、時間外取引で米長期金利が低下したことからドル売り・円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された4月の米消費者物価指数が前月比で市場予想の0.4%を下回る0.3%となったほか、小売売上高が0.0%(予想0.4%)となり、NY連銀製造業景気指数も-15.6(予想-10.0)といずれも冴えない結果となったことを受けて、米金利の低下とともにドルは主要通貨に対して下落した。ドル/円は、序盤の155.69から154.74まで下落し、1週間ぶりの安値となった。ただ、安値圏では買い戻しの動きも見られ、ドル/円は155.81まで持ち直した。
(4)上昇一服後、5月の米NAHB住宅市場指数が45(予想50)と4ヵ月ぶりの低水準に低下したことや、米金利の低下が続いたことからドルは主要通貨に対して軟調な動きが続き、ドル/円も154.68まで下落した。
本日のトピックス
昨日の米消費者物価指数や主要な経済指標の結果を受けて、FRBの利下げ開始時期の後ずれ観測が後退し、米金利の低下とともにドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。金利先物市場では、先月末時点で年内の0.25%の利下げの折り込み度合いは1回となっていたが、昨日の結果を受けて年内2回の利下げを織り込んでおり、9月に0.25%の利下げを織り込んでいる。
マーケットでは、先取りする傾向があることから、今後のFRB高官の発言などに変化があるのか注目したい。ただ、現状では経済指標の低下傾向が続くのか、インフレ率の低下が続くのかを見極めたいとの見方もあり、その結果次第で政策の方向性が変わる可能性もあるだろう。
本日も複数の主要な米経済指標の発表が予定されていることから、結果が注目される。前日の様に冴えない結果となる場合には、ドルの一段の下落となる可能性も考えられる。また、複数のFRB高官の発言が予定されており、発言の内容にも注目したい。
5/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
4月住宅着工件数 ![]()
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
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142.0万件 | 132.1万件 |
前回は市場予想を下回り、大幅な減少で昨年8月以来の低水準となった。米金利が再び上昇したことが影響しており、住宅需要が一服したことが示された。今回は、大幅減少の反動で前月から増加が見込まれているが、着工件数の先行指標となる許可件数が前月大きく減少していることもあり、増加は限定的との見方もある。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(5/11までの週) ![]()
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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22.0万件 | 23.1万件 |
前回は市場予想を大きく上回り、昨年8月以来の高水準となった。ニューヨーク市の公立学校が春休みだったことが関係しているとの見方もあった。今回は、前回から減少が予想されており、ここ3ヵ月のレンジ上限近辺まで改善すると見られている。 |