前営業日トピックス
東京市場では、序盤に上値の重い動きとなったものの、政府・日銀の動きがないこともあり、円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、155.74まで上昇したものの、その後は上値の重い動きとなり、欧州時間でも上値の重い動きが続いた。
米国市場では、1-3月の米GDP速報値が市場予想を大きく下回ったことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。しかし、個人消費支出(PCE)コア価格指数が市場予想を上回ったことを受けて、米長期金利の上昇とともにドルは一転して上昇となり、ドル/円は1990年6月以来の高値を更新した。ただ、日銀が国債買い入れ額の削減を検討しているとの報道を受けて再び下落するなど、序盤は乱高下となった。しかし、その後は終盤まで狭いレンジ内の動きが続いた。
米株式市場では、1-3月期の米GDP速報値が冴えない結果となったことや、PCEコア価格指数が市場予想を上回ったことを受けて、FRBの利下げ開始時期の後退観測から主要株価指数は軒並み大幅下落となった。しかし、その後は値頃感の買いも入り、下げ幅を縮小する動きとなった。ダウ平均は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比706ドル安まで下落した。ただ、その後は下げ幅を縮小する動きとなり、375.12ドル安(-0.98%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、100.99ポイント安(-0.64%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場で155円台乗せとなったことから、政府・日銀の円買い介入や、当局者の発言への警戒感からドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。しかし、仲値公示にかけてドル買い・円売りが強まると、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の155.18から155.45まで上昇した。
(2)その後、上値の重い動きが見られたものの、午後に入り再び円売りが加速すると、ドル円・クロス円は一段の上昇となり、ドル/円は155.74まで上昇した。ただ、155円台後半まで上昇したことで、介入への警戒感も高まり、その後は上値の重い動きが続いた。
(3)米国市場では、序盤に発表された1-3月の米GDP速報値が市場予想の2.5%を大きく下回る1.6%となったことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。しかし、同時に発表された新規失業保険申請件数が予想より強い内容だったことや、個人消費支出(PCE)コア価格指数が市場予想の3.4%を上回る3.7%となったことを受けて、FRBの利下げ開始時期の後退観測が意識され、また米長期金利の指標となる米10年債利回りが昨年11月上旬以来、約5ヵ月半ぶりの高水準となる4.73%台まで上昇したことから、ドルも一転して上昇となった。ドル/円は、発表直前の155.52から155.29まで下落した後、155.74まで上昇し、1990年6月以来の高値を更新した。
(4)高値更新後には、政府・日銀の介入警戒感が意識されたことや、日銀は国債買い入れ額の削減を検討しているとの報道を受けて再び155.36まで下落するなど、乱高下となった。しかし、その後は値動きも落ち着き、終盤まで狭いレンジ内の動きが続いた。
本日のトピックス
本日は、日銀の金融政策発表と植田日銀総裁の会見が予定されており、結果や発言の内容が注目されている。今回の発表では、展望リポートが発表されるが、注目されているコアCPIの見通しを上方修正した場合には、早期の利上げ観測が高まる可能性もあるだろう。その一方で、4月にドル/円は約5円上昇、約2ヵ月で9円超の上昇となるなど、ここまで円売りが進んでいるにもかかわらず、為替介入などを実施しなかったことに対する市スモンも予想されており、どのように回答するのか注目される。
米国市場では、3月の米PCEデフレーター、4月のミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されており、昨日発表された第1四半期のコアPCE価格指数が市場予想を上回ったことで、FRBの利下げ開始時期の後退観測が高まり、ドルの上昇につながったことから、デフレーターの結果には特に注目したい。
4/26の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
23:00 | 米国 |
4月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
|
77.9 | 77.9 |
前回の速報値は市場予想を下回り、期待インフレ率が上昇したことで、物価上昇に対して消費者が懸念を抱いていることが示された。今回の確報値では、速報から変わらず予想となっているが、期待インフレも含めて修正があるのか注目される。 |
気まぐれ投資コラム
日本政府・日銀の円買い介入のタイミングは?
ドル/円は、155円台乗せとなったが、152円台や154円台手前では日本の財務相や財務官の牽制的な発言などもあり、為替介入への警戒感が強まっていた。しかし、152円台や154円台乗せ、155円台乗せの場面でも、政府・日銀の動きが見られなかったために一段と円売りが進んだ。
日米の金利差が拡大する状況や、ドル/円の上昇が続く場面ではでは、円買い介入を実施したとしても効果は限定的と見られており、効果的なタイミングを計っているとの見方もある。
政府・日銀は、2022年9/22にドル/円が145円を超えた場面で円買い為替介入を実施した。この時は、一時的にドル/円は急速な下落となったものの、日米の金利差が拡大している状況で、介入の直前までの2ヵ月間で約15円程度の上昇局面であっため、下落した場面では再びドル買い・円売りが優勢となり、その1ヵ月後の10/21には151円台まで上昇した。
そして、10/21に2回目の円買い介入を実施、また週明けの10/24に3回目の円買い介入を実施した。この3回の円買い介入の総額は約9.2兆円規模となり、1回目と2回目の間に1-2回程度の覆面介入(実施したことを明らかにしない)が実施されたとの見方もあった。
155円台まで上昇しているが、為替介入の実施は?
現状では、米国のインフレ率がやや上昇していることや、米雇用統計など経済指標の結果が良好であることから、FRBの利下げ開始時期の後退観測が強まっている。金利先物市場では、今年1月にFRBの0.25%の利下げを年内6回織り込んでいた。しかし、米国の物価の上昇傾向や、良好な経済指標、当局者のハト派発言により、現在では年内1回の利下げを織り込む程度まで後退している(米国の金利の現状維持が続く)。
現状のような日米の金利差が拡大している状況下で介入を実施しても、一時的な下落に留まる可能性も考えられる。効果的な介入を実施するなら、下げ始めの局面などタイミングが重要となってくる。また、日銀の金融政策発表や来週のFOMC,米雇用統計を控えており、結果次第でドルが強くなる可能性もあることから、このタイミングでの実施は考え難い。ただ、少ない資金で効果的介入を考えるならば、日本のマーケットの休場が含まれるゴールデンウイーク中の市場参加者が少なくなっているタイミングに実施する可能性も考えられる。そのため、連休を含めた本日から再来週までの期間は注意が必要だろう。
※出所:FX総合分析チャート