前営業日トピックス
東京市場では、前日の米経済指標が良好な結果となったことで、FRBの利下げ開始時期の後ずれ観測が引き続き材料視され、ドルは序盤から堅調な動きとなった。一方、中東情勢への懸念から日経平均株価が大幅下落となったことから、欧州通貨はドルや円に対して軟調な動きとなった。欧州時間では、米長期金利が上昇したことから、底固い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が冴えない結果となりドルは下落したものの、FRB副議長が「インフレ長期化なら高金利の維持も長期化へ」と発言したことを受けて、米長期金利の上昇が続いたことからドルの下値は限定的となり、ドルは堅調な動きが続いた。しかし、ドル/円は155円台に近づいたことで、オプション絡みの円買い・ドル売りが観測されたことや、日本政府・日銀の介入警戒感への警戒感も加わり、ドル円・クロス円は急速な下げとなった。ただ、米長期金利が上昇したことから、ドルは再び堅調な動きとなった。
米株式市場では、良好な米企業の四半期決算を好感して序盤は底固い動きとなったものの、米長期金利の上昇や中東情勢を巡る警戒感が上値を圧迫した。さらに、パウエルFRB議長や複数のFRB高官の発言を受けて,利下げ開始時期が後退するとの観測が強まったことも影響した。ただ、前日まで下落が続いたことから、値頃感の出た銘柄が買われたこともあり、ダウ平均はプラス圏を維持して終了した。 ダウ平均は、序盤から堅調な動きとなり、前日比257ドル高まで上昇した。しかし、その後は上げ幅を縮小する動きとなり、一時21ドル安まで下落する場面もあった。その後は底固い動きが続き、63.86ドル高(-0.17%)で終了。一方、ナスダックは19.77ポイント安(-0.12%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤から日経平均株価が760円超下落したものの、前日の米経済指標が良好な結果となったことでFRBの利下げ開始時期の後ずれ観測が強まったことや、時間外取引で米長期金利が上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の154.13から154.42まで上昇したものの、前日に付けた154.44には届かなかった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したことから、対円でも軟調な鵜以後気となった。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大して910円安まで下落したことや、米長期金利の上昇も一服したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。欧州時間序盤では米長期金利が一段の上昇となったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された3月の米住宅着工件数が市場予想の148.5万件を下回る132.1万件となりドルは下落したものの、ジェファーソンFRB副議長が「インフレ長期化なら高金利の維持も長期化へ」と発言したことを受けて、米長期金利の上昇が続いたことからドルの下値は限定的となり、その後ドルは堅調な動きが続いた。ドル/円は、指標発表後の安値の154.57から154.77まで上昇したが、155円台に近づいたことで、オプション絡みの円買い・ドル売りが観測されたことや、日本政府・日銀の介入警戒感への警戒感も加わり、ドル円・クロス円は急速な下落となり、ドル/円は一時153.86まで下落した。
(4)下げ一服後は、パウエルFRB議長が「確信を得るまでにはさらに時間がかかる可能性が高い」と発言したことを受けて、米長期金利の指標となる米10年債利回り一時4.69%高まで上昇して昨年11月以来の高水準となったことからドルは再び堅調な動きとなり、ドル/円は154.78まで上昇して1990年6月以来約34年ぶりの高値を更新した。
本日のトピックス
昨日の米国市場では、ドル/円が154.78まで上昇して約34年ぶりの高値を付けたが、155円台に近付く場面では、円買い介入への警戒感や、オプション絡みのドル売り・円買いが観測されたことから、急速な下落となった。ここまで152円台近辺で円買い介入への警戒感が強まっていたが、その後の上昇局面では介入に踏み切ることがなかったことから、マーケットでは155円台での介入警戒感が強まっており、155円台に近付くと思惑が交錯して神経質な動きが予想される。
現状では、FRBの利下げ開始時期の後ずれ観測が強まっており、米長期金利が上昇している中では円買い介入の効果も一時的となる可能性もあり、実施できるかどうか懐疑的である。ただ、このままではドル/円がさらに一段の上昇となる可能性もあり、155円台では何らかの動きがあるとの見方も強まっている。
本日は米国の主要な経済指標の発表がないことから限定的な動きも予想されているが、引き続き155円台を試す展開となる可能性もあり、155円台乗せとなった場合の動きには注意も必要だろう。