前営業日トピックス
東京市場では、3月の米消費者物価指数の発表を控えて様子見ムードが強まっており、ドル円・クロス円は限定的な動きとなった。ただ、ニュージーランド中銀の金融政策発表を受けて、NZドルは主要通貨に対して堅調な動きとなる場面もあった。午後に入っても、ドル円・クロス円は小動きの展開が続き、その後の欧州時間でも小動きの展開が続いた。
米国市場では、序盤に発表された3月の米消費者物価指数が市場予想を上回ったことを受けて、米金利上昇とともにドルも主要通貨に対して堅調な動きが続き、ドル/円は1990年半ば以来約34年ぶり高値を付けた。ただ、日本政府・日銀の円買い為替介入への警戒感の高まりから下落する場面もあったが、終盤には再び上昇した。
米株式市場では、米消費者物価指数の結果を受けて、FRBの早期利下げ開始時期が後ずれするとの見方から主要株価指数は序盤から軒並み軟調な動きとなった。また、中東情勢への警戒感が一段と高まったことも圧迫要因となった。ダウ平均は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比579ドル安まで下落した。終盤には下げ幅を縮小し、422.16ドル安(-1.09%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、136.28ポイント安(-0.84%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比237円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、五・十日に当たり、実需のドル買いが観測されたことから、仲値公示にかけてドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。米国時間に3月の米消費者物価指数の発表を控えて様子見ムードが強まっており、積極的な売買が手控えられていることから、午後に入っても限定的な動きが続き、ドル/円は狭いレンジ内の動きが続いた。一方、NZ中銀の金融政策で政策金利の据え置きが発表されたが、ニュージーランド経済の鈍化傾向を背景に利下げが前倒しされるとの見方が露がっていたが、声明が前回からほとんど変わらなかったとから、NZドルは発表後に主要通貨に対して堅調な動きとなった。欧州時間でも、米消費者物価指数の発表を控えて小動きの展開が続いた。
(2)米国市場では、序盤に発表された3月の米消費者物価指数が前年比総合で市場予想の3.4%を上回る3.5%となり、コア指数も市場予想の3.7%を上回る3.8%となったことを受けて、米金利の上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。特に、米長期金利の指標となる10年債利回りは一時4.56%台まで上昇、2年債利回りは一時4.98%台までそれぞれ上昇し、ともに昨年11月以来、約5ヵ月ぶりの高水準となった。これを受けて、ドル/円は、序盤の151.75から152.98まで上昇し、1990年半ば以来約34年ぶり高値を付けた。
(3)上昇一服後は日本政府・日銀の円買い為替介入への警戒感から152.63まで下落する場面もあったが、終盤には再び152.98まで上昇した。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで大きく下落したことから、対円でも軟調な動きとなった。
本日のトピックス
昨晩発表された3月の米消費者物価指数は、軒並み市場予想を上回ったことを受けて、FRBの利下げ開始時期が後退するとの見方から米長期金利が上昇し、ドルも主要通貨に対して上昇した。ドル/円は、一時153円台まで上昇して約34年ぶり高値を付けた。
東京時間では、神田財務官による牽制的な発言があったものの、変わらないトーンの発言と受け止められて反応は限定的だった。そもそも、日米の金利差が縮小しないうちは、円買い介入を実施したとしても一時的な円高となるだけで、マーケットに絶好の買い場を与えてしまうことになり、効果は限定的で円安の流れを止めることは難しいだろう。
そのため、介入を実施する場合には、タイミングが重要となる。特に、昨日のような上昇局面では介入の効果は限定的となり、介入の資金も拡大する。資金が少なく効果があるタイミングとは、下げ局面が有効と考えられる。現に、2022年の3回の円買い介入の2回は下げの局面で実施されている。そのため、下げ局面に移行するまでは介入には動きにくいのではないか。上昇が続く場合には、牽制的な発言で動きを抑えるだけとなる。前回の円買い介入時に、ドル/円は5円程度の動きとなったことから今後は注意が必要となり、タイミングを見極めたい。
本日の海外市場では、ECBの金融政策発表、米生産者物価指数の発表などが予定されている。ECBは据え置き予想だが、声明やECB総裁の会見での発言で今後の利下げの時期などのヒントがあるのか注目されている。一方、昨日の消費者物価指数が上振れしたことから、生産者物価指数の結果も注目されており、結果に敏感に反応する可能性が考えられることから注意も必要だろう。
4/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
3月生産者物価指数(前年比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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2.2% | 1.6% |
前回は、昨年9月以来の高い伸びとなり、コア指数も市場予想を上回った。エネルギー価格と食品価格の上昇が影響し、インフレの高止まりが示唆された。今回は、さらに伸び幅の拡大が予想されており、予想通りの結果なら2023年4月以来の高い伸びとなり、昨日の米消費者物価指数の結果を受けた動きもあり、当該指標結果のマーケットへの影響も注目される。 |