前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の堅調な動きが一服し、ドルは序盤から軟調な動きとなった。また、米消費者物価指数の発表を控えたポジション調整も見られた。一方、日経平均株価が715円超上昇したことから、欧州通貨や資源国通貨はドルや円に対して堅調な動きとなった。ただ、米消費者物価指数の発表を控えて様子見ムードも高まったことから、欧州市場では限定的な動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された12月の米消費者物価指数が市場予想を上回ったことを受けて、米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、一時146.42まで上昇し、昨年12/11以来の高値を付けた。一方、欧州通貨や資源国通貨も対円で堅調な動きとなり、特にユーロ/円は12/1以来の高値を更新した。ただ、上昇一服後は米金利が低下に転じ、終盤には低下幅を拡大した。
米株式市場では、序盤に発表された米消費者物価指数が市場予想を上回ったことを受けて、FRBの早期利下げ観測が後退したことから、主要株価指数は軟調な動きとなった。さらに、米長期金利が上昇したことも圧迫要因となった。しかし、その後に米金利が低下に転じたことや、本格化する米企業決算への期待から買い戻しが優勢となり、終盤にはプラス圏を回復した。ダウ平均は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比271ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小する動きとなり、終盤にプラスまで回復し、15.29ドル高(+0.04%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、0.53ポイント高(0.00%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の堅調な流れが一服し、ドルは序盤から軟調な動きとなった。ドル/円は、序盤の145.81から145.33まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したことや、日経平均株価が序盤から前日比650円超上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価が前日比715円高まで一段の上昇となったものの、米消費者物価指数の発表を控えて一旦利益確定などポジション調整の動きもあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ドル/円は145.28まで下落した。ただ、米国時間に12月の米消費者物価指数の発表を控えて様子見ムードも高まっており、その後は限定的な動きが続いた。
(3)米国市場では、序盤に発表された12月の米消費者物価指数が前年比で市場予想の3.2%を上回る3.4%となり、コア指数も予想の3.8%を上回る3.9%となったことや、米新規失業保険申請件数が市場予想の21.0万人を下回る20.2万人と良好な結果となったことを受けて、米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、発表直後に付けた145.16から146.42まで上昇し、昨年12/11以来の高値を付けた。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したものの、ドル/円の上昇に連れ高となり、ユーロ/円も12/1以来の高値を更新した。
(4)上昇一服後は、米金利が低下に転じ、終盤に低下幅を拡大したことを受けてドル円・クロス円は軟調な動きとなり、ドル/円は終盤にかけて145.28まで下落した。
本日のトピックス
前日の海外市場で発表された12月の米消費者物価指数が市場予想を上回る結果となり、FRBの早期の利下げ観測が後退との見方から米長期金利の上昇とともにドルは堅調な動きとなった。金利先物市場では、3月の利下げの折り込み度合いが一時低下したものの、依然として3月の米利下げ期待が根強く、その後は織り込み度合いが上昇し、米長期金利も低下に転じたことから、ドルは軟調な動きとなった。
一方、米消費者物価指数の発表後に複数のFRB当局者から早期の利下げに対する牽制発言もあったが、マーケットのムードは変わらなかった。3月まではあと2回の消費者物価指数の発表があることから、現時点で政策の判断をするのは時期尚早との見方もある。また、日本の金融政策に対する思惑もあり、ここからの動きが注目される。
本日の海外市場では、12月の米生産者物価指数の発表が予定されており、結果が注目される。ただ、米国市場が3連休(月曜日はキング牧師の記念日で休場)を控えていることもあり、限定的な動きも予想されている。
1/12の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
22:30 | 米国 |
12月生産者物価指数(前年比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
|
1.3% | 0.9% |
前回は市場予想を下回り、2ヵ月連続の低下となっており、インフレ圧力が一部で弱まっていることが示された。今回は、上振れが予想されており、今回横ばいが予想されているコア指数のと結果とともに注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、140.252の安値から上昇に転じ、一目均衡表の転換線と基準線を上抜けて一段の上昇となるなど、堅調な動きとなった。ただ、一目均衡表の雲下限ラインを前にやや上値の重い動きとなっており、ここから雲を上抜けて一段の上昇となるのか、雲に上値を抑えられて上値の重い動きとなるのか注目されている。
目先の動きを見る上で注目されているオシレーターのMACDでは、両線が上向き継続中で堅調な動きを示唆する形状となっている。しかし、両線の乖離幅が縮小に転じている。ここから先行するラインがゼロライン近辺で失速して下向きに転換、さらに両線がクロスするようなら、ドル/円は下向きに転換する可能性もあり、目先の両線の形状に注目したい。一方、より短期の動きを見る上で注目されるストキャスティクスでは、両線が70%以上の水準で推移しているが、明確に下向きとなるかどうかに注目したい。
このことから、目先は上値の重い動きとなる可能性も考えられる。目先の上値のポイントは、一目均衡表の雲下限ラインとなり、本日は146.206に位置しているが、来週末の145.328まで低下が続くことから、このタイミングでの上抜けとなるのか注目したい。
一方、下値の重要なポイントは、一目均衡表の基準線となり、本日は143.776に位置しているものの、来週末には143.327まで低下する。
上値のポイント
(1)145.216 (2)146.206 (3)146.402
下値のポイント
(1)144.945 (2)144.314 (3)143.422
気まぐれ投資コラム
ドル/円の長期サイクル分析
ドル/円は、週足ベースの長期チャートで16.5年サイクルを見ることがでる。この16.5年サイクルの中には、3つの約5.5年サイクルが存在し、3つ目のサイクルは6年超となる傾向となっている。2011年11月に16.5年サイクルの最終ボトムを付け、新たな16.5年サイクルに突入し、現状では3つ目のボトムサイクルを進行中と考えられる。
現在、16.5年サイクルの3つ目のボトムサイクルを進行中とするならば、16.5年サイクルの最終ボトムは2028年5月(±6ヵ月)と予測できる。特に、16.5年サイクルでは、3つ目のボトムは、1つ目のボトムと2つ目のボトムを下回るパターンであることから、99円台、102円台の前2つのボトムを下回るボトムが想定される。
一方、トップサイクル(16.5年サイクルの最初5.5年サイクルのトップと最後の5.5年サイクルのトップを結ぶサイクル)は、8平均8年1ヵ月サイクルとなっており、現行の16.5年サイクル上の直近のトップが2023年11月だったことから、次の16.5年サイクルの最初の5.5年サイクル内で付けるトップは2031年12月と予測できる。
※出所:データを基にSBILMが作成