前営業日トピックス
東京市場では、新規材料に乏しい中、米国の消費者物価指数の発表を控えて様子見ムードが強まっており、ドル円・クロス円は序盤から限定的な動きとなった。ドル/円は上下20銭以内の狭いレンジ内の動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された10月の米消費者物価指数で、前年比ベースで前月から大きく伸び幅が低下したことを受けて、FRBの利上げサイクルの終了観測が強まり、ドルは主要通貨に対して下落した。ドル/円は、一時150.68まで下落した。さらに、米長期金利の低下も加わり、ドルは一段の下げとなり、ドル/円も150.16まで下落した。
米株式市場では、10月の米消費者物価指数の下振れを受けて、FRBの追加利上げ観測が後退したことを好感して主要株価指数は軒並み大幅上昇となった。特に、米長期金利が低下したこと受けて、金利動向に敏感なナスダックは上げ幅を拡大した。ダウ平均は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比593ドル高まで上昇した。引けにかけてはやや上げ幅を縮小し、489.83ドル高(+1.43%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、326.64ポイント高(+2.37%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤からドル円・クロス円は小動きの展開となった。新規材料に乏しい中、米国の消費者物価指数の発表を控えて様子見ムードも強く、小動きの展開となった。その中で、日経平均株価が序盤から上昇したことや、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ドル/円は、序盤の151.61から151.78まで上昇する場面もあったが、午後に入ってもドル/円は上下20銭程度の狭いレンジ内の動きが続いた。また、鈴木財務相から円安について牽制発言があったものの、マーケットの反応は限定的だった。
(2)米国市場では、序盤に発表された10月の米消費者物価指数が前年比ベースで市場予想の3.3%を下回る3.2%となり、前月の3.7%からも大きく低下したことや、コア指数も市場予想の4.1%に対して4.0%と低下したことを受けて、FRBの利上げサイクルの終了観測が強まり、ドルは主要通貨に対して下落した。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.632%から4.429%まで低下したことも加わり、ドル/円は序盤の151.73から150.68まで下落した。また、FRB高官がインフレ目標達成に関して慎重姿勢を示したものの、マーケットでは利上げ終了観測が強まったことからドルは一段の下落となり、ドル/円も150.16まで下落して11/7以来の安値となった。
本日のトピックス
昨日の米国市場では、10月の米消費者物価指数が予想以上の低下となったことから、FRBの利上げサイクル終了観測が広がり、米金利低下とともにドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ドル/円は直前まで151.70台で推移しており、為替介入の警戒感が根強かったことも影響して下げが加速した可能性も考えられる。
ただ、150円台前半では値頃感の買い戻しなども入り、底固い動きとなっている。また、現状の日米の金利差などを鑑みると、ドル/円がさらに下落するとは考えにくいことから、為替介入などがなければ、再び堅調な動きとなる可能性が考えられる。
本日の海外市場では、英国やフランスの消費者物価指数、米国の生産者物価指数、小売売上高など主要な経済指標の発表が予定されていることから、結果とマーケットの反応に注目したい。また、マーケットではFRBの利上げサイクル終了観測が広がっている状況の中、本日も予定されている複数のFRB高官の発言内容にも注目したい。
11/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
10月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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-0.3% | 0.7% |
前回は市場予想を上回る伸びとなり、消費者の需要が底固いことが示された。13カテゴリー中8つで増加したことが影響した。今回は、前回の反動でマイナスへの低下が予想されており、予想通りの結果となる場合には6ヵ月ぶりのマイナスとなる。 | ||||
22:30 | 米国 |
11月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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-3.0 | -4.6 |
前回は市場予想を上回ったものの、前月の結果からは低下し、2ヵ月ぶりのマイナスとなった。雇用はプラスに改善したものの、受注残のマイナス幅が拡大したことや、新規受注がマイナスに落ち込んだことが影響した。今回は、マイナスが予想されており、2ヵ月連続のマイナスとなる場合には3月以来となり、製造業の冴えない結果が続いていることが示されると見られている。 |