前営業日トピックス
ドル/円は、前日の海外市場で149.93まで上昇したことで、政府・日銀による為替介入への警戒感が意識され、東京市場では序盤から上値の重い動きとなった。さらに、日経平均株価が大幅に下落したことも加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後は、米長期金利が上昇したことから、ドルは底固い動きとなった。一方、欧州通貨は対ドルで上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が強弱まちまちの結果となったことから、値動きは限定的だった。注目された講演で、パウエルFRB議長は追加利上げの可能性に言及したこと受けて、米金利上昇とともにドル/円は一時149.96まで上昇した。しかし、その後に慎重な姿勢を示すとドルは一転して下落となり、ドル/円は149.69まで下落するなど、その後も発言を受けてレンジ内で乱高下する動きとなった。
米株式市場では、パウエルFRB議長が講演を控えて序盤から小動きの展開となった。パウエルFRB議長は講演で追加利上げの可能性に言及し、米長期金利が上昇したことを受けて、主要株価指数は軒並み下落した。しかし、政策に対する慎重姿勢を示したことから上昇に転じる場面もあった。その後は、米長期金利が高止まりしていることもあり、引けにかけて主要株価指数は軟調な動きが続いた。ダウ平均株価は、FRB議長の発言後に一時前日比187ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて終盤に296ドル安まで下落した。引けにかけて下げ幅を縮小したものの、250.91ドル安(-0.75%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは128.12ポイント安(-0.96%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の堅調な動きが一服し、ドルは序盤から上値の重い動きとなった。ドル/円は、海外時間の終盤に149.93まで上昇したことで、日本の政府・日銀の為替介入への警戒感から上値の重い動きとなった。その後、日経平均株価が序盤から大幅下落となり、前日比530円超下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(2)その後は、時間外取引で米長期金利が前日の海外市場の水準を上回ったこともあり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなったが、対円では安値の149.66から149.84まで値を戻したものの、上値の重い動きが続いた。欧州時間に入っても米長期金利の高止まりが続いたことから、ドル/円は堅調な動きとなった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで堅調な動きが続いたことから、対円でも堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された新規失業保険申請件数が予想予想の21.0万件を下回る19.8万件に改善したものの、フィラデルフィア連銀景況指数が市場予想の-7.0を下回る-9.0に悪化するなど、強弱まちまちの結果となったことから、序盤の値動きは限定的だった。その後、パウエルFRB議長の講演で「力強い経済の追加証拠があれば利上げに値する可能性」と追加利上げの可能性に言及したこと受けて、米長期金利の指標となる10年債利回りが一時4.99%台と5%の大台に迫り、2007年7月以来の高水準を付けるとともに、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなり、ドル/円は一時149.96まで上昇して10/3以来の高値を更新した。
(4)しかし、「リスクや累積利上げ踏まえFOMCは慎重に進めている」としたことや、「地政学的緊張は非常に高まっており主なリスクに」と地政学的リスクに言及するとドルは一転して下落となり、ドル/円は149.69まで下落するなど、その後も発言を受けてレンジ内で乱高下する動きとなった。
本日のトピックス
昨晩、注目されたパウエルFRB議長の講演では、タカ派とハト派まちまちの発言となったことから、米金利やドルはレンジ内で乱高下する展開となった。その中で、ドル/円は一時149.96まで上昇したものの、為替介入ラインと見られている150円台乗せとはならなかった。一方、米長期金利の指標となる米10年債利回りは、4.99%台まで上昇したものの、大台の5%台乗せとはならなかった。
米長期金利の水準から考えると、ドル/円は150円台に乗せてもおかしくない水準といえるが、現状では150円台手前で上値の重い動きが続いており、150円台乗せにはかなり強い心理が働いていると見られる。そのため、150.00を突破した時の動き(短時間で押し戻されるのか、一段の上昇となるのか)が注目される。
本日の米国市場では、主要な米経済指標の発表がないものの、複数のFRB高官の発言が予定されている。ただ、昨日のパウエルFRB議長の発言を受けて乱高下したものの、上下30銭以内の狭いレンジだったことから、かなりインパクトの強い内容でなければ反応は限定的と見られている。なお、明日以降はブラックアウト期間に入ることから、当局者の発言はFOMC終了までなくなることから様子見ムードが強まり、31日の日銀金融政策決定会合の結果発表、11/1のFOMC結果発表までは動きにくい状況か。