前営業日トピックス
東京市場では、ドル円・クロス円は序盤からやや上値の重い動きとなったものの、米長期金利の上昇などもあり、ドルは底固い動きも見られた。ただ、日経平均株価が前日比400円超下落したことから、クロス円は軟調な動きとなった。その後、日銀の金融政策決定会合の結果発表で政策の現状維持が発表されたこと受けて、円売りが優勢となった。さらに、植田日銀総裁の会見での発言を受けて円売りが強まり、ドル円・クロス円は一段の上昇となった。
米国市場では、序盤にドル/円は148.36まで上昇したものの、米製造業・非製造業PMIがまちまちの結果となったことや、米長期金利が低下に転じたことから、一時147.96まで下落した。しかし、下げ一服後は、日米の金利差拡大が改めて意識されたことや、FRB理事のタカ派発言を受けてドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は再び148.41まで上昇した。
米株式市場では、FRB理事が複数回の追加利上げを支持すると発言したことで、米金融引き締めの長期化が米景気を後退させるとの懸念から、主要株価指数は上値の重い動きとなった。さらに、全米自動車労組のストライキが長引くとの見方も圧迫材料となった。ダウ平均は、序盤から底固い動きが続いたものの、終盤に下げ幅を拡大して106.58ドル安(-0.31%)で終了し、7/10以来約2ヵ月ぶりの安値となった。一方、ナスダックは12.18ポイント安(-0.09%)と6/7以来約3ヵ月半ぶりの安値で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日銀の金融政策決定会合の結果発表を控えて様子見ムードが強まっており、ドル円・クロス円は序盤から限定的な動きとなった。その中で、時間外取引で米長期金利が上昇したことを受けて、ドルは序盤から主要通貨に対して堅調な動きとなった。一方、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比416円安まで下落したことから、クロス円はやや上値の重い動きとなった。
(2)午後に入り、日銀の金融政策決定会合で政策の現状維持が決定されたことを受けて、円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の147.51から148.26まで上昇した。また、日経平均株価が35円安まで下げ幅を縮小したことから、クロス円も上昇した。その後、植田日銀総裁の会見でYCC柔軟化の効果の見極めは時期尚早とするなど、発言がハト派的と受け止められ、日米の金利差拡大が続くとの見方から円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、一時148.42まで上昇した。
(3)米国市場では、ドル円・クロス円が序盤から堅調な動きとなり、ドル/円は148.36まで上昇した。ただ、米製造業が市場予想の48.2を上回る48.9となったものの、非製造業PMIが市場予想の50.7を下回る50.2とまちまちの結果となったことや、序盤から上昇していた米長期金利が低下に転じたことから、ドル/円は一時147.96まで下落した。
(4)下げ一服後は、日米の金融イベントが終了して政策の方向性の違い明確となり、日米の金利差拡大が改めて意識されたことや、ボウマンFRB理事が「さらなる利上げが適切となる可能性が高い」、「複数回の追加利上げが望ましい」との見方を示したことを受けてドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は再び148.41まで上昇した。ただ、この日の高値の148.42や前日高値の148.46が意識され、終盤やや伸び悩んだ。
本日のトピックス
先週、FOMCと日銀の金融政策決定会合が終了し、改めて日米の金融政策の方向性が確認されたことで、日米の金利差拡大が続くとの見方から、ドル/円は堅調な動きが続く可能性が考えられる。ただ、上昇局面では政府・日銀の介入警戒感が高まる可能性もあり、神経質な展開も予想されている。ただ、マーケットでは、為替介入は150円台までは可能性が低いと見られており、ジリ高の展開が続く可能性が考えられる。
その中で、米国の利上げを見極める上で、米国の経済指標の結果に注目が集まると見られており、今週発表される主要な米経済指標の結果が注目(明日から週末まで)される。本日の海外市場では、主要な経済指標の発表がないことから、限定的な動きが予想されているが、FRBの追加利上げ期待を背景に、米長期金利の動きに次第ではドルが堅調な動きとなる可能性も考えられる。ただ、米金利が上昇する場合には、株式市場への影響も懸念されており、株式市場の動きにも注目したい。