前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の堅調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。特に、神田財務官の円安牽制発言を受けて下落したものの、反応は限定的だった。その後は、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったことや、米長期金利が上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、上昇一服後は上値の重い動きとなり、円買い介入への警戒感が意識されたことや、米長期金利の低下などもあり、ドル円・クロス円は再び下落に転じて軟調な動きとなった。ただ、欧州時間にかけては、米金利が上昇に転じたこともあり、ドル円・クロス円は値を戻す動きとなった。
米国市場では、序盤からドル円・クロス円は軟調な動きとなったものの、8月の米ISM非製造業景況指数が予想外に強い内容となったことを受けて、米長期金利の上昇とともにドル買いが優勢となり、ドル/円は一時147.75まで上昇した。一方、ユーロは対ドルで6/8以来の安値を付けたが、対円ではドル/円の上昇に連れて堅調な動きとなった。
米株式市場では、序盤に発表された8月のISM非製造業景況指数が市場予想を上回ったことや、原油価格の上昇を背景にインフレ懸念が強まる中、FRBの追加利上げ観測が意識され、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。さらに、中国当局が一部でアップル製品への規制を強めたとの報道などもあり、ハイテク株中心のナスダックは下げ幅を拡大した。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比350ドル安まで下落した。ただ、終盤にかけては下げ幅を縮小し、198.78ドル安(-0.57%)で終了した。一方、ナスダックは148.48ポイント安(-1.06%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の堅調な動きが一服し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、神田財務官が「足元では投機的な行動みられる」との発言を受けて円買いとなり、ドル/円は序盤の147.72から147.37まで下落した。その後は、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、前日比240円超上昇したことや、時間外取引で米長期金利が上昇したことを受けて、ドル円・クロス円堅調な動きとなり、ドル/円は147.82まで上昇して前日の高値147.80を上抜けて昨年11/7以来の高値を更新した。
(2)上昇一服後は、政府・日銀の円買い介入への警戒感が意識されたことや、中国人民銀行が元の対ドル基準値を市場予想より大幅に元高水準に設定したことに伴う元買い・ドル売りもドルの圧迫要因となった。さらに、米長期金利が低下に転じたことから、ドル売り・円買いが優勢となり、ドル/円は147.02まで下落した。ただ、下げ一服後は再び米長期金利が上昇に転じたことから、ドルは堅調な動きとなり、ドル/円も147.60まで値を戻した。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、8月の米非製造業PMIが市場予想の51.0を下回る50.5となったこと加わり、ドル/円は序盤の高値147.41から147.13まで下落した。しかし、その後に発表された8月の米ISM非製造業景況指数が市場予想の52.5を上回る54.5と強い内容となったことを受けて、米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.238%から4.301%まで上昇して一時8/23以来の高水準となるなど、米金利が軒並み上昇したことを受けてドル買いが優勢となり、ドル/円は一時147.75まで上昇した。一方、ユーロは対ドルで一時1.0703まで下落して6/8以来の安値を付けたが、対円ではドル/円の上昇に連れて堅調な動きとなった。
本日のトピックス
昨日発表された8月の米ISM非製造業指数が予想外に強い内容となったことで、FRBの年内の追加利上げ観測が高まり、米長期金利が上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ただ、前日から147.80台では上値の重い動きが続いていたこともあり、引き続き上値を抑えられた。
政府・日銀の円買い介入への警戒感も根強く、積極的にドル/円を買い続け難い水準でもある。ただ、昨日も日本の当局者の発言があったものの、これまでの発言内容とほとんど変わらないこともあり、牽制の効果は弱まっている。現状では、FRBの追加利上げ観測が高まっていることから、それなりの強さの発言内容でない限り、円売りの流れを抑えられないと見られている。
本日の米国市場では、新規失業保険申請件数、非農業部門労働生産性の発表が予定されており、昨日同様に強い内容となる場合には、追加利上げ期待がさらに高まる可能性もあることから、結果とマーケットの反応に注目したい。また、ここまで上値を抑えられていた147.80台を上抜けて148円台乗せとなるのか、また日本の当局者からの牽制発言があるのかにも注目したい。