前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、中国人民銀行が外貨預金準備率を2%引き下げると発表したことを受けて、人民元買い・ドル売りが優勢となり、ドルが対円でも下落したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、米雇用統計の発表を控えて積極的な売買が手控えられたことから、下げ一服後は限定的な動きとなった。
米国市場では、8月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったものの、失業率が昨年2月以来の高水準に悪化したことを受けて、ドルは軟調な動きとなった。さらに、非農業部門雇用者数の過去2ヵ月分が11万人下方修正されたことや、賃金の伸びが鈍化したこともドルの圧迫要因となった。下げ一服後は、当局者のタカ派発言や、米製造業PMI、ISM製造業景況指数、建設支出が市場予想を上回る強い結果となったことも加わり、ドルは主要通貨に対して上昇に転じて堅調な動きとなった。
米株式市場では、米雇用統計の結果を受けて、労働市場の過熱感が和らぎFRBの追加利上げ観測が後退したとの見方が広がり、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ただ、米長期金利の上昇が続いたことや、FRB当局者のタカ派発言も加わり、主要株価指数はその後軒並み下落に転じた。終盤にかけて持ち直したものの、ナスダックは前日まで上昇が続いたこともあり、利益確定の動きに押されて小幅安で終了した。ダウ平均株価は、序盤に前日比257ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて一時1.21ドル高まで上げ幅を縮小した。終盤にかけては底固い動きが続き、115.80ドル高(+0.33%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、32.16ポイント安(-3.16%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。その後、下落して始まった日経平均株価が上昇に転じ、前日比150円超上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなる場面もあった。ただ、中国人民銀行が外貨預金準備率を2ポイント引き下げて、現行の6%から4%にすると発表したことを受けて、ドル売り・人民元買いが優勢となり、ドルは対円でも下落したことから、クロス円にも波及した。
(2)下げ一服後は、日経平均株価が上げ幅を拡大し、226円高まで上昇したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。その後は、米雇用統計の発表を控えて様子見ムードも強まり、限定的な動きが続いた。
(3)米国市場では、8月の米雇用統計で景気動向を敏感に示す非農業部門雇用者数が市場予想の+17.0万人を上回る+18.0万人ったものの、失業率が市場予想の3.5%を上回る3.8%と昨年2月以来の高水準に悪化したことを受けて、ドルは軟調な動きとなった。さらに、非農業部門雇用者数の過去2ヵ月分が11万人下方修正されたことや、賃金の伸びが鈍化したこともドルの圧迫要因となった。ドル/円は、発表直前の145.15から144.44まで下落して8/11以来の安値となった。
(4)下げ一服後は、FRB当局者のタカ派発言に加え、米長期金利の上昇が続いたことや、その後に発表された米製造業PMIが市場予想の47.0を上回る47.9となり、ISM製造業景況指数が市場予想の47.0を上回る47.6と、さらに建設支出も市場予想の0.5%を上回る0.7%といずれも強い結果となったことも加わり、ドルは主要通貨に対して上昇となり、ドル/円も上昇に転じて146.29まで上昇した。
本日のトピックス
東京市場では、前週末の海外市場の終盤流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開で始まった。米雇用統計では、まちまちの結果となったものの、米長期金利の上昇や当局者のタカ派発言などが影響してドルは主要通貨に対して反発となった。
8月中旬以降、ドル/円は8/29に一時147円台まで上昇する場面があったものの、146円台中盤近辺で上値の重い動きが続いており、引き続き146円台中盤を高値に上値の重い動きが続く可能性も考えられる。147.00円以上では、日本政府・日銀の介入警戒感が根強いことも影響していると考えられる。
マーケットでは、米雇用統計の発表が終了したことで、マーケットの注目は13日発表の米消費者物価指数の発表に移っている。そのため、物価動向に関する米当局者の発言などに影響を受ける可能性も考えられる。ただ、金利先物市場では、9月のFOMC(9/20)での0.25%の利上げの織り込み度合いは、現時点で約7%、11月が約33%となっており、米雇用統計発表前(12%、37%)から低下している。
年内のFRBの利上げの可能性が低くなっていることもあり、余程の強気な材料が出ない限り、8月中旬から続いている146円台中盤近辺を上抜けて上昇する可能性は低いと考えられる。本日の米国市場は、Labor Day(レイバーデー)の祝日となることから、海外市場では限定的な動きが予想されている。