前営業日トピックス
前日の海外市場の堅調な動きを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。さらに、米長期金利が上昇したことから、ドルは堅調な動きとなったが、上昇一服後は上値の重い動きとなった。また、日経平均株価が大幅下落となったことも圧迫要因となり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。その中で、オーストラリアの雇用統計が冴えない結果となったことから、豪ドルは主要通貨に対して下落した。その後、ドルが欧州通貨などに対して下落となり、ユーロやポンドは対円でも堅調な動きとなった。欧州時間では、中国が人民元の介入拡大を指示との報道を受けて、ドル売りが優勢となった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から主要通貨に対して下落した。序盤に発表された米経済指標が軒並み良好な結果となったことを受けて、ドルが反発する場面もあったが、上昇は一時的となり、その後も軟調な動きが続いた。下げ一服後は、米長期金利が上昇したことからドルは堅調な動きとなり、ドル/円は安一時146.30まで上昇した。ただ、終盤にかけて米長期金利が低下したことなどもあり、ドル/円は再び145.64まで下落した。
米株式市場では、前日のFOMCの議事要旨を受けてFRBの追加利上げへの警戒感が高まったことが引き続き材料視され、主要株価指数は軟調な動きとなった。さらに、米小売り大手の四半期決算が冴えない内容となったことや、米長期金利が上昇したことも圧迫要因となった。ダウ平均は、序盤に前日比122ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて325ドル安まで下落した。引けにかけてやや下げ幅を縮小し、290.91ドル安(-0.84%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、157.70ポイント安(-1.17%)で終了し、3日連続で1%超の下落となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の堅調な流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、時間外取引きで米長期金利が上昇したことも加わり、ドル/円は序盤の146.24から前日の海外時間に付けた146.41を上抜けて146.57まで上昇し、昨年11/10以来の高値を更新した。しかし、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比457円安まで下落したことが圧迫要因となり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。一方、オーストラリアの雇用統計が冴えない結果となったことから、豪ドルは主要通貨に対して下落となり、豪ドル/円は序盤の93.99から93.22まで下落した。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を大幅に縮小したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。さらに、米長期金利が上昇したことがドル下支え要因となった。その後、上昇していた米長期金利が低下したことに敏感に反応して、ドルは主要通貨に対して下落した。ユーロやポンドなどは対ドルで上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。その後、欧州時間に中国が人民元の介入を拡大するように指示したとの報道を受けてドル売りが優勢となり、ドルは主要通貨に対して下落した。
(3)米国市場では、ドルが主要通貨に対して売られた流れを引き継ぎ、序盤からドルは軟調な動きとなった。序盤に発表された新規失業保険申請件数が市場予想の24.0万人から23.9万人と下回ったことや、フィラデルフィア連銀景況指数が市場予想の-10.4から12.0と大幅に上回るなど、軒並み良好な結果となったことを受けて、ドルは反発する場面もあった。しかし、上昇は一時的となり、その後も軟調な動きが続いた。下げ一服後は、FRBの追加利上げ観測が強まったことや、米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.272%から4.325%まで上昇して昨年10月以来、約10ヵ月ぶりの高水準を更新したことからドルも堅調な動きとなり、ドル/円は序盤の安値145.62から146.30まで上昇した。ただ、終盤にかけて米長期金利が低下に転じたこともあり、ドル/円は再び145.64まで下落した。
本日のトピックス
ドル/円は、ここまで8営業日連続で前日の高値を上回る展開が続いており、昨日も一時146.57まで上昇して2022年11/10以来の高値を更新した。日米の金利差拡大が続いていることからドル買い・円売りが続いているが、ここにきて日本の政府・日銀の介入への警戒感から上値の重い動きも見られている。
本日の東京市場では、145.80台から始まっており、前日の高値146.57からは70銭以上下落している。ここから上昇して再び高値を更新する動きとなるのか、調整局面となるのか注目されている。特に、昨日は中国が人民元の介入を拡大するように指示したとの報道を受けて、人民元買い・ドル売りが強まったことから、ドルが主要通貨に対して下落する動きとなっており、引き続きドルは上値の重い動きも予想されている。
前回の為替介入を実施した水準であることから、政府・日銀の介入警戒感が根強いものの、現状では介入は実施するのは難しいと見ている。現状では、介入における十分な効果が得られないということが理由である。そのため、ドルは底固い動きが続く可能性も考えられる。