前営業日トピックス
朝方、大手格付け会社が米国債の格下げを発表したことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。下げ一服後は戻す動きとなったものの、序盤から大幅下落となった日経平均株価が終盤に840円超まで下げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、欧州主要株価指数も序盤から大幅下落となったことから、ドル円・クロス円は一段の下落となった。
米国市場では、7月の米ADP雇用統計が市場予想を大幅に上回る結果となったことで、FRBの追加利上げ観測が強まったことや、米国の格下げも影響して米金利が上昇となり、ドルも主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、一時143.48まで上昇したものの、その後は米金利が低下に転じたことから、上値の重い動きとなった。
米株式市場では、前日引け後に大手格付け会社が米長期国債の格付けを引き下げたことを受けて投資家心理が悪化したことや、米金利が上昇したことから、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きが続き、一時前日比404ドル安まで下落する場面もあった。引けにかけて下げ幅を縮小し、348.16ドル安(-0.98%)で終了、4営業日ぶりに反落となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、310.46ポイント安(-2.17%)で終了した。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)早朝に格付け会社のフィッチが米国の外貨建て長期債格付けを「AAA」から「AA+」に引き下げることを受けて、ドルは序盤から下落となり、ドル/円は序盤の143.34から142.75まで下落した。向こう3年間に予想される財政悪化に加え、一般政府債務が高水準で増加していることが指摘された。下げ一服後は、値を戻す動きとなり、さらに時間外取引で米長期金利が上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(2)午後に入り、大幅下落で始まった日経平均株価がさらに下げ幅を拡大して一時前日比848円安まで下落したことで投資家のリスク回避の動きも強まり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。また、アジア株の下落を受けて、欧州主要株価指数も軒並み大きく下落したことから、リスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きt歩なった。
(3)米国市場では、序盤に発表された7月の米ADP雇用統計が市場予想の19.0万人を大幅に上回る32.4万人となったことを受けて、FRBの追加利上げ観測が強まったことや、米国の格下げが発表されたことも影響して米金利の指標となる米10年債利回りが4.017%から4.122%まで上昇するなど、米金利が軒並み上昇となり、ドルも主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の142.72から143.48まで上昇したものの、前日の高値の143.55には届かなかった。その後は、米金利が低下に転じたことから、ドル/円は143.06まで下落したものの、終盤にかけては再び底固い動きとなった。
本日のトピックス
前日の大手格付け会社による米長期債の格下げを受けて、市場混乱への警戒感が広がったことで米債券売りとなり、米金利が上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。また、ADP雇用統計が予想を大幅に上回る結果となり、景気後退懸念が後退したこともドルの支援材料となった。ただ、週末の米雇用統計を控えていることや、指値オペの上限を引き上げたこともあり、ドル/円の上値は限定的となっており、1日の海外時間で付けた高値143.55が上値のポイントとなるだろう。昨日の海外市場では、高値が意識されて高値には届かなかったことから、週末の雇用統計発表までは上値の重い動きが続く可能性も指摘されている。
本日の海外市場では、英国の金融政策発表が予定されており、政策金利の引き上げが予想されている。市場予想では、0.25%の利上げ予想が全体の70%、0.50%の利上げ予想が30%となっており、利上げの幅が注目されている。一方、米国では、チャレンジャー人員削減数、新規失業保険申請件数、ISM非製造業景況指数の発表が予定されており、週末の米雇用統計を見る上で注目されている指標であり、結果を受けて動きが出る可能性もあることから、結果とマーケットの反応に注目したい。
8/3の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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20:00 | 英国 |
英中銀MPC(金融政策決定会合)結果 ![]()
金融政策委員会(MPC 〜Monetary Policy Committee)は、イングランド銀行に設置されている委員会であり、総裁、副総裁(2名)、チーフ・エコノミスト、エグゼクティブ・ディレクター、4名の外部委員からなる9名の委員で構成されている。毎月上旬に開催され、政策は木曜日の会合後に発表を行う。
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5.25% | 5.00% |
前回は市場予想を上回る0.50%の利上げが決定され、13会合連続の利上げとなり、利上げ開始以降4.90%の利上げ幅となった。7/19に発表された英国の消費者物価指数は、予想以上の鈍化となり、2022年3月以来の低水準となった。ただ、依然として高水準が維持されており、今回も引き続き利上げ予想が大勢となっている。金利先物市場では、今回0.25%の利上げを100%織り込む水準であり、9月までに2回、年内には0.25%の利上げを3回織り込む水準となっている。 | ||||
23:00 | 米国 |
7月ISM非製造業景況指数 ![]()
ISM非製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数であり、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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53.0 | 53.2 |
前回は市場予想を上回り、2月以来の高水準となった。業況指数、新規受注が拡大したことが影響したが、インフレと経済の見通しに対しては慎重な見方が示されたとの指摘も。今回は、前月から低下が予想されており、景気の判断基準の50は引き続き維持されると見られている。 |