前営業日トピックス
東京市場では、日銀の金融政策発表で政策を現状維持としことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、イールドカーブ・コントロール(YCC)の操作をより柔軟にするとし、事実上長期金利の上昇を容認するとしたことから、株価が大幅下落となり、リスク回避の円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は急速な下落となった。その後、値を戻す動きも見られたが、欧州時間には再び上値の重い動きとなった。
米国市場では、米PECデフレーターが大幅に低下してインフレ懸念和らぐ中、米主要株価指数が堅調な動きとなり、リスク志向の動きからドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後に発表されたミシガン大消費者信頼感指数が、速報から低下したことから上値の重い動きが見られたものの下値は限定的となり、ドル円・クロス円は終盤まで堅調な動きが続いた。
米株式市場では、序盤に発表された米PECデフレーターや雇用コスト指数が予想より低下したことから、FRBの利上げサイクルが終了するとの観測が高まり、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比282ドル高まで上昇した。その後、上げ幅を縮小し、176.57ドル高(+0.50%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、266.55ポイント高(1.90%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ただ、日銀の金融政策発表を控えて値動きは限定的となり、レンジ内の動きとなった。
(2)午後に入り、日銀の金融政策発表で、マイナス金利と長期金利の目標はゼロ%程度で現状維持としたが、イールドカーブ・コントロール(YCC)の操作をより柔軟にするとし、指値オペを0.5%から1.0%引き上げた。事実上、長期金利の上昇を1.0%近辺まで容認するとしたことから、日本の長期金利が上昇となり、さらに日経平均株価が下げ幅を拡大して一時前日比850円超下落した。これを受けて円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は急落となった。ドル/円は、政策発表直後に付けた高値の141.12から138.05まで下落した。その後、日経平均株価が引けにかけて131円安まで下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
(3)市場では、FRBが政策判断で重視するPECデフレーターが3.0%と2021年3月以来、2年3ヵ月ぶりの低水準に低下してインフレ懸念和らぐ中、ダウ平均が一時前日比282ドル高まで上昇するなど、米主要株価指数が軒並み上昇したことから、リスク志向の動きからドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、その後に発表されたミシガン大消費者信頼感指数が市場予想の72.6に対して71.6となり、速報の72.6からも低下したことでドルは上値の重い動きが見られた。ただ、前月から大幅な改善が維持されていることから下値は限定的となり、ドル円・クロス円は終盤まで堅調な動きが続いた。
本日のトピックス
日米の金融政策発表が終了したことで、今週は米経済指標の結果が注目されるだろう。特に、週末に雇用統計の発表を控えているなど、主要な米経済指標の発表が続くことから、結果が注目されている。ただ、6月のドットチャートで年内2回の利上げが示されたものの、先週のFOMC後のFRB議長の会見での発言がややハト派的と受け止められたことから、ドルは軟調な動きとなった。ただ、先週末にはインフレ関連指標の鈍化が示されたことから、ドル買い・円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は再び堅調な動きとなった。ここからは、米国の追加利上げの後退観測もあり、ドルの上値は限定的との見方もあり、ここまでの利上げの影響で米経済の鈍化が示される場合には、ドルは軟調な動きとなる可能性も考えられる。
本日の海外市場では、ユーロ圏の第2四半期のGDP、消費者物価指数の発表が予定されており、結果が注目されている。一方、米国市場では主要な経済指標の発表がないことから、株式市場や金利の動きなどが注目されている。
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、一目均衡表の雲下限近辺から雲上限近辺まで上昇したものの、上値の重い動きとなっている。ここから上値のポイントとなる一目均衡表の雲上限ラインと基準線を上抜けて一段の上昇となるのか、上値を抑えられて再び軟調な動きとなるのか注目されている。
目先の動きを見る上で注目されているオシレーターのMACDでは、両線上向きに転換したものの、乖離幅は小幅で緩やかで上向きが続いている。そのため、やや参考にし難い形状となっている。
目先の上値のポイントは、雲上限の141.127、基準線の141.152となり、ここを上抜ける場合には、一段の上昇も考えられ、その場合の上値目標の計算値は142.769と計算できる。
一方、下値のポイントは雲下限ラインの138.014(1日は138.591、2日138.815、3日138.956、4日139.040と連日上昇)となり、ここを下抜ける場合には137.240が次の下値のポイントとなる。137.240を下抜ける場合にはさらに一段の下げとなり、その場合の下値の目標の計算値は134.133となる。