前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外時間に植田日銀総裁の発言を受けて円売りが強まった流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、終盤に前日比400円超上昇したことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。ただ、英国の消費者物価指数の結果を受けて、ポンドは主要通貨に対して大幅な下落となった。
米国市場では、序盤に発表された米住宅着工件数が予想以上の減少となったことから、ドルは軟調な動きとなった。ドル/円は、一時139.39まで下落したものの、その後は低下していた米長期金利が上昇に転じたこともあり、139.99まで上昇した。ただ、140円の大台近辺での売り圧力も強く、さらに米金利が再び低下したことから、ドル/円は再び139.51まで下落した。
米株式市場では、米大手金融の良好な決算発表を好感して主要株価指数は序盤から買いが優勢となった。さらに、FRBによる利上げの早期終了観測が強まっていることも引き続き材料視された。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比282ドル高まで上昇した。その後は、上げ幅を縮小して109.28ドル高(+0.31%)で終了。8営業日続伸となり、終値ベースでは2022年4/20以来、約1年3ヵ月ぶりの高値となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、4.38ポイント高(+0.03%)で終了し、3営業日続伸で昨年4/4日以来約1年3ヵ月ぶりの高値となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外時間に、植田日銀総裁が「2%のインフレ達成にはまだ距離がある」と発言したこと受けて、日銀が来週の金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロールを修正するとの観測が後退し、円売りが優勢となった流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。ドル/円は、海外時間に付けた139.14を上抜けて一時139.20まで上昇したものの、その後は上昇一服となったことや、上昇して始まった日経平均株価が上げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(2)その後、日経平均株価が再び上げ幅を拡大し、終盤に400円超上昇したことや、引き続き植田日銀総裁の発言を受けた思惑が交錯して円売りが優勢となった。ドル/円は、欧州時間序盤にかけて139.99まで上昇した。ただ、140円近辺では売りも多く、その後ドル/円は失速した。一方、英国の消費者物価指数が市場予想を下回ったことを受けて、ポンドは主要通貨に対して下落となり、ポンド/円は、発表直前の181.47から180.27まで下落する動きとなった。
(3)米国市場では、米金利の低下に加え、序盤に発表された米住宅着工件数が市場予想の148.0万件を下回る143.4万件となり、予想以上の減少幅となったことも加わり、ドルは軟調な動きとなった。ドル/円は、序盤の139.81から139.39まで下落したものの、その後は低下していた米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.730%から3.793%まで上昇したこともあり、一時139.99まで上昇した。ただ、140円台の大台回復とはならず、売りに押されて再び失速となった。さらに、米金利が再び低下したことから、ドル/円は再び139.51まで下落した。一方、英中銀の追加利上げ観測が後退したことで、欧州時間からポンド売りが続いており、ポンド/円は179.83まで下落するなど、ポンドは主要通貨に対して下落した。
本日のトピックス
ドル/円は、昨日の欧州時間と米国時間にそれぞれ139.99まで上昇したが、140円台回復とはならずにいずれも失速する展開となっている。依然として日米の金融政策に対する思惑が交錯する中で、明確な材料もないことから、大台回復には慎重な見方もある。やはり、来週日米欧の金融政策の発表を控えていることもあり、積極的に仕掛ける動きとはなり難いと見られており、レンジ内の動きが予想されている。
本日の海外市場では、トルコ中銀、南ア中銀の金融政策発表が予定されており、ともに利上げが予想されている。ただ、前者は上げ幅の予想がまちまちとなっていることから、利上げの幅にも注目したい。一方、米国では、新規失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀景況指数、中古住宅販売件数の発表が予定されており、冴えない結果となるようなら、FRBの利上げの早期終了観測が強まる可能性も考えられる。マーケットでは、年内1回の利上げが織り込まれているが、前回のFOMEのメンバー予想で指摘された年内2回の利上げの可能性は低いと見られている。
7/20の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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20:00 | トルコ |
トルコ中銀 政策金利
なし
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18.00% | 15.00% |
前回は6.50%の利上げで政策金利を15.0%へ引き上げた。トルコの消費者物価指数は、昨年10月の80.51から低下が続き、今月5日に発表された6月の統計では38.21%まで低下している。ただ、地震の被害を賄うための税金の引き上げが実施されていることなどが影響し、インフレ率は再び上昇すると見られている。そのため、今回も利上げが決定されると予想されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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24.1万件 | 23.7万件 |
前回は市場予想を下回り、前週からも改善となった。そして、直近3ヵ月の平均の24.2万件を下回っており、やや改善の兆しが示された。今回は、前週から増加が予想されているが、当面は平均値を前後する展開が見込まれている。 | ||||
22:20 | 南アフリカ |
南ア中銀 政策金利
なし
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8.50% | 8.25% |
前回は予想通り0.50%の利上げが決定され、10会合連続の利上げとなり、利上げ開始から4.75%幅の引き上げとなった。南アフリカの消費者物価指数は、ピークの7.8%から6.3%まで低下していることもあり、ここまでの利上げの効果を見極めるために、一旦利上げを停止すると見込まれている。ただ、インフレ率の鈍化ペースが依然として緩やかであることから、さらに利上げを実施するとの見方もあり、結果が注目されている。 |