前営業日トピックス
東京市場では、序盤から日経平均株価が大幅な下落となったことを受けて、リスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、日経平均株価が下げ幅を大幅に縮小したものの、終盤にかけては再び下げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、欧州時間でも円買いの動きが続き、ドル/円は序盤の高値144.20から142.88まで下落した。
米国市場では、序盤に発表された6月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を下回ったことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。ただ、賃金が市場予想を上回る結果となり、インフレ鈍化には時間を要するとの見方が広がったことから、米金利上昇とともにドルは上昇に転じる場面もあった。ただ、非農業部門雇用者数が2ヵ月分で大幅に下方修正されたことや、米長期金利が低下したことも影響して、ドルは主要通貨に対して下落となった。
米株式市場では、序盤に発表された米雇用統計で雇用者数の伸びが前月から鈍化したことや、賃金の伸びが市場予想を上回り、FRBの利上げが長期化するとの見方が広がり、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。その後、米金利が低下に転じる場面ではプラス圏まで持ち直す場面もあったが、終盤には再び下落に転じて主要株価指数は軒並みマイナス圏に沈んだ。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなったものの、その後は上昇に転じて一時前日比114ドル高まで上昇した。ただ、終盤にかけて再び下落に転じ、187.38ドル安(-0.55%)で終了。一方、ナスダックは18.32ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤から円買いが先行し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、海外市場の株安を背景に、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比445円安まで下落したことも円買い要因となった。その後、日経平均株価が下げ幅を縮小し、64円安まで下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の高値144.05から143.80まで下落した後、144.20まで上昇した。
(2)その後、上昇していた米金利が低下に転じたことや、日経平均株価が終盤にかけて再び下げ幅を拡大して384円安目で下落したことから、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。さらに欧州時間に入っても円買いの動きが続き、ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、ドル/円は序盤の高値144.20から142.88まで下落した。
(3)米国市場では、序盤に発表された6月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想の+22.5万人を下回る+20.9万人となったことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。ただ、失業率が前回の3.7%から3.6%に改善したことや、賃金の伸びが前月比前年比ともに市場予想を上回る結果となり、インフレ鈍化には時間を要するとの見方が広がり、米金利上昇とともにドルは上昇に転じる場面もあった。
(4)非農業部門雇用者数では、過去2ヵ月分が11万人下方修正されたことで前月からの実質の伸びが+9.9万人となったことや、米10年債利回りが約8ヵ月ぶりの高水準となる4.089%から4.017%まで低下したことも影響して、ドルは主要通貨に対して下落となった。ドル/円は、雇用統計発表直前の143.10から142.59まで下落後、一時143.42まで持ち直したものの、終盤にかけて142.07まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨もドル/円の動きに連れて、対円では高値から下落したものの、対ドルで上昇したこともあり、その後は対円でも底固い動きとなった。
本日のトピックス
先週末の米雇用統計では、賃金の伸びが予想を上回ったことで、FRBの追加利上げ観測が高まり、米金利が上昇してドルが買われた一方、非農業部門雇用者数の伸びが前月から鈍化したことや、2ヵ月分の伸びが大幅に下方修正されたことで労働市場の鈍化懸念も高まり、ドル売りも見られた。
マーケットでは、雇用統計はまちまちの結果となったことで、FRBの利上げを判断することが難しく、12日の米消費者物価指数の結果次第との見方が強まっている。また、12日までは米国の主要な経済指標の発表がないことから、発表までは限定的な動きも予想されている。ただ、米当局者の金融政策に関する発言には敏感に反応する可能性もあり、注意も必要か。