前営業日トピックス
東京市場では、序盤から堅調な動きとなり、実需のドル買いが観測されたこともあり、ドル/円は一時145.07まで上昇して、昨年11月以来の145円台乗せとなった。しかし、その後は政府・日銀の円買い介入への警戒感が意識され、円買い戻しの動きが優勢となった。さらに、鈴木財務相の牽制発言も加わり上値の重い動きとなった。ただ、牽制発言が連日続いたこともあり、下値は限定的となり、その後は下げ幅を縮小した。
米国市場では、インフレ指標が低下したことを受けて、FRBの追加利上げ観測が緩和され、米金利低下とともにドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ドル/円は、144.20台まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで上昇したことや、米主要株価指数が軒並み上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。
米株式市場では、序盤に発表された5月のPCEデフレーターが2021年4月以来、2年1ヵ月ぶりの低水準となったことを受けて、FRBの利上げ長期化観測が和らぎ、米金利が軒並み低下したことから主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比344ドル高まで上昇した。引けにかけて上げ幅を縮小し、285.18ドル高(+0.84%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、196.59ポイント高(+1.45%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場で一段の上昇となった流れが一服し、ドルは序盤からやや上値の重い動きとなった。ただ、五・十日に当たり、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたことから、ドル/円は序盤の144.68から145.07まで上昇し、昨年11月以来の145円台乗せとなった。
(2)しかし、前回円買い介入が実施されたのが145円台だったことから、政府・日銀による為替介入への警戒感が高まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。また、鈴木財務相が「急速で一方的動きみられ、高い緊張感もって注視」、「為替円安で行き過ぎた動きには適切に対応する」と、円安を牽制する発言をしたものの、連日当局者からの発言が続いたこともあり、反応は限定的で底固い動きとなった。
(3)米国市場では、FRBが金融政策を判断する上で重視する5月のPCEデフレーターが、前月の4.3%から3.8%に低下となり、2021年4月以来、2年1ヵ月ぶりの低水準となったことを受けて追加利上げ観測が和らぎ、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.879%から3.7801%まで低下するなど、米金利低下とともにドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。その後、シカゴ購買部協会景気指数が市場予想の43.8を下回る41.5となったことを受けて、ドルは一段の下落となった。ドル/円は、序盤の144.74から144.21まで下落した
(4)その後、一時144.63まで値を戻す場面もあったが、終盤には再び144.20台まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで上昇したことや、米主要株価指数が軒並み上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。
本日のトピックス
先週末の東京時間に、一時145円台まで上昇して昨年11/10以来の高値を更新したが、その後は政府・日銀の介入警戒感からドルは上値の重い動きとなった。さらに、FRBが金融政策を判断する上で重視する米PCEデフレーターが前年比で2021年4月以来、2年1ヵ月ぶりの低水準となったことを受けて追加利上げ観測が和らぎ、米金利低下とともにドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
ただ、144円台前半では底固い動きが続いている。金利先物市場では、依然として年内0.25%の利上げ1回を織り込む水準であり、日米の金利差拡大が続くとの見方から、ドル/円は下げ難い状況と見られている。ただ、145円台では円買い介入への警戒感も根強く、上値も重い動きが予想されている。
4日は米国市場が米独立記念日で休場となり、週末には米雇用統計を控えていることから、週末までは方向性が付き難いことが予想されており、レンジ内の動きが続くと見られている。本日の米国市場では、6月の米ISM製造業景況指数の発表が予定されているが、市場予想と乖離する結果とならなければ反応は限定的と見られている。
7/3の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
6月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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47.1 | 46.9 |
前回は市場予想を下回り、小幅低下となった。原材料コストが1年ぶりの低下となったことなどが影響した。また、景気拡大・縮小の判断基準となる50を7ヵ月連続で下回っており、製造業の後退が続いていることが示された。今回は、前月から小幅上昇が予想されているが、依然として50を下回ると予想されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、約7ヵ月ぶりに145円台乗せとなったものの、高値更新後はやや上値の重い動きとなっている。ここから再び高値を更新して一段の上昇となるのか、一旦調整となるのか注目されている。
目先の動きを見る上で注目されているオシレーターのMACDでは、両線の乖離幅が縮小傾向となっており、やや上値の重い動きを示唆する形状となっている。ここから両線がクロスする場合には軟調な展開を示唆する形状となることから、両線の動きに注目したい。
また、より短期の動きを見る上で注目されるストキャスティクスでは、すでに両線がクロスして下向きとなっており、軟調な動きを示唆する形状となっている。
このことから、目先の下値のポイントとなる前日安値の144.21から144.13を下抜ける動きとなる場合には、一旦軟調な動きとなる可能性も可能性も考えられる。一方、直近高値の145.06を上抜ければ一段の上昇も考えられる。