前営業日トピックス
東京市場では、前日のECBフォーラムでの植田日銀総裁の発言を受けて、円買い介入への警戒感から円買いが優勢となった。下げ一服後は、欧米英中銀のトップが利上げを示唆したものの、日銀総裁は大規模緩和を維持するとしたことが改めて材料視され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、中国人民銀行が元安抑制のためにドル売りを実施しているとの報道を受けて、ドル円・クロス円は 軟調な動きとなった。
米国市場では、米GDP確定値が改定値から上方修正されたことを受けて、米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して上昇し、ドル/円は一時144.90まで上昇して昨年11/10以来の高値を更新した。ただ、145円台に近づいたことで介入への警戒感が強まり、ドルは上値の重い動きとなった。さらに、米中古住宅販売仮契約が予想以上に悪化したことも加わり、ドル/円は144.53まで下落した。しかし、日米の金利差拡大観測が改めて意識されて底固い動きとなり、終盤には再び144.80円台まで上昇した。
米株式市場では、ストレステストの結果が公表され、対象全ての銀行がストレステストを通過したことが明らかとなり、主要株価指数は堅調な動きとなった。さらに、米GDP確報値が上方修正されたことも支援材料となった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比295ドル高まで上昇した。ただ、その後は上値の重い動きとなり、269.76ドル高(+0.80%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、0.42ポイント安(0.00%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、四半期末、海外勢の半期末に絡む売買が交錯し、やや限定的な動きとなった。ただ、政府・日銀の円安牽制発言への警戒感などから円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は、序盤の高値144.47から144.14まで下落した。
(2)下げ一服後は、前日のECBフォーラムで日米欧英の中銀トップの発言を受けて、日本と欧米の金融政策の違いが改めて確認されたことや、金利差拡大観測から、円売りが優勢となり、ドル/円は144.70まで上昇した。その後、中国人民元の対ドル基準値が7ヶ月ぶりの安値水準となったこともあり、中国人民銀行のドル売りが観測されたことからドル/円は下落となり、クロス円も軟調な動きとなった。
(3)米国市場では、米GDP確定値が2.0%と改定値の1.3%から上方修正され、また新規失業保険申請件数が23.9万件と市場予想の26.5万件を下回り、労働市場の改善が示されたことを受けて、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.738%から3.865%まで上昇するなど、米金利が軒並み上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の安値144.16から144.90まで上昇して昨年11/10以来の高値を更新した。
(4)政府・日銀が昨年円買い介入を実施した水準である145円台に近づいたことで円買い介入への警戒感が強まり、ドルは上値の重い動きとなった。さらに、米中古住宅販売仮契約が-2.7%と前月の-0.4%を上回るマイナスとなったことも加わり、ドル/円は144.53まで下落した。しかし、日米の金融政策の違いが改めて意識されて底固い動きとなり、終盤には再び144.80円台まで上昇した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したものの、ドル/円の上昇に連れて対円では底固い動きとなった。
本日のトピックス
前日の海外市場では、ドル/円が一時144.90まで上昇して前回円買い介入が実施された145円台に迫る動きとなった。ただ、145円台近辺では、政府・日銀の介入への警戒感も高まり、上値の重い動きとなった。本日は、何度か145円台をトライする可能性も考えられるが、当局者の牽制発言も予想されているが、どこまで効果があるのか懐疑的となっている。牽制の効果が乏しい場合には、次のステップを踏む可能性もあり、警戒は必要だろう。また、国内勢の四半期末、海外勢の半期末であることから、ポジション調整の動きも考えられることから、想定以上に動きが出る可能性にも警戒したい。
本日の海外市場では、欧米の主要な経済指標の発表が予定されており、結果が注目されている。昨日同様に良好な結果となる場合には、FRBの利上げ期待が再び高まる可能性も考えられることから、結果に注目したい。
6/30の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
23:00 | 米国 |
6月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報)
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
|
63.9 | 63.9 |
前回の速報値では、市場予想を上回り、2月以来の高水準となった。特に、1年先の期待インフレ率が市場予想を大幅に上回り、2021年3月以来約2年ぶりの水準に低下したことが、消費者マインドの改善につながった。今回の確報では、速報から横ばいが予想されており、前回発表後にドルが上昇したこともあり、予想通りなら限定的な動きか。 |