前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の堅調な動きが一服し、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、序盤に260円超上昇した日経平均株価が下落に転じ、一時680円超下落したことから、欧州通貨や資源国通貨は一段の下落となった。一方、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなったことから、対円でも堅調な動きとなり、ドル/円は一時143.44まで上昇する場面もあった。ただ、欧州時間では、時間外取引で米金利が低下したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤にFRB高官のハト派的な見解を示したことを受けて、ドルは序盤から軟調な動きとなった。さらに、その後に発表された米製造業PMIが冴えない結果となったことを受けて、ドルは一段の下落となった。しかし、サンフランシスコ連銀総裁が「今年あと2回の利上げは非常に妥当な予測」と発言したことから、米金利上昇とともにドル買い・円売りが優勢となり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。一方、欧州通貨や資源国通貨もドル/円の上昇に連れて堅調な動きとなった。
米株式市場では、欧米の6月製造業PMIが軒並み下振れたことを受けて、世界的な景気減速への懸念が高まり、主要株価指数は売りが先行した。さらに、FRB高官のタカ派発言を受けて米利上げ長期化観測が意識されたことも圧迫要因となった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比300ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小し、219.28ドル安(-0.65%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、138.09ポイント安(-1.01%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の堅調な動きが一服し、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。ドル/円が143円台まで上昇して昨年11月以来の高水準となるなど、円売りが加速したことから、政府・日銀が円安進行を牽制するとの思惑が交錯したことも影響した。さらに、序盤に前日比268円高まで上昇した日経平均株価が下落に転じてマイナス圏まで下落したことも圧迫要因となった。
(2)その後、ドルが主要通貨に対して上昇したことから、ドル/円は、序盤の安値142.82から143.22まで上昇して前日の海外市場で付けた高値の143.23を上抜けて、143.44まで上昇した。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで下落したことや、日経平均株価が下げ幅を拡大して689円安まで下落したことから、対円でも軟調な動きが続いた。ただ、その後は米長期金利が低下したこと受けて、ドルは上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、欧州時間から米金利の低下が続いたことや、アトランタ連銀総裁が「年内の利上げ見送りを支持」との見解を示したことを受けて、ドルは序盤から軟調な動きとなった。さらに、その後に発表された米PMIで製造業が46.3と3ヵ月ぶりの低水準、非製造業が54.1と今年初めて低下したことを受けて、ドルは一段の下落となった。しかし、サンフランシスコ連銀総裁が「今年あと2回の利上げは非常に妥当な予測」と発言したことを受けて、米金利上昇とともにドル買い・円売りが優勢となり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の143.29から142.69まで下落したものの、終盤にかけては143.87まで上昇し、昨年11/10以来の高値を更新した。一方、欧州通貨や資源国通貨もドル/円の上昇に連れて堅調な動きとなり、ポンド/円は2015年12月以来の高値を更新した。
本日のトピックス
東京市場序盤に、神田財務官が「為替相場は安定的に推移するのが望ましい」、「足元は急速で一方的だとみられる」、「行き過ぎた動きには適切に対応したい」と発言したことを受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ただ、マーケットでは、当局者からの牽制的な発言が予想される水準との見方が広がっていたことから、反応は限定的となった。ただ、介入への警戒感も高まりつつあることから、143円台後半では上値の重い動きが続く可能性も考えられる。
今週は、明日から週末にかけて主要な経済指標の発表が予定されていることから、結果が注目されており、さらにFRB当局者の発言も予定されており、発言の内容にも注目されている。本日の米国市場では、主要な経済指標の発表がないことから、限定的な動きが予想されている。