前営業日トピックス
東京市場では、FRB議長の議会証言を受けて年内の利上げに関して思惑が交錯したことでドルが下落した流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開となった。日経平均株価も序盤から限定的な動きとなったことも影響した。ただ、欧州時間では、米長期金利が上昇したことから円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された新規失業保険申請件数が悪化したことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。しかし、パウエルFRB議長が「今年あと2回の利上げが適切となるだろう」と発言したことを受けて米金利の上昇とともにドルは主要通貨に対して上昇した。ドル/円は、序盤の安値141.77から143.23まで上昇し、昨年11/10以来の高値を更新した。一方、ユーロ圏の消費者信頼感指数が予想以上に改善したことを受けて、ユーロ/円は2008年9月以来の高値を更新した。また、英中銀が予想上回る大幅利上げを決定したことから、ポンドも対円で上昇した。
米株式市場では、パウエルFRB議長が改めて年内2回の利上げの可能性を示唆したことから、FRBの利上げ長期化観測を背景に景気の先行きを懸念した売りが先行した。ただ、値頃感の出た銘柄が買い戻されたことからプラス圏に改善する動きも見られた。ダウ平均は、序盤に前日比116ドル安まで下落したが、その後はプラス圏まで回復するなど底固い動きとなった。ただ、終盤に再びマイナス圏に落ち込み、4.81ドル安(-0.01%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、前日下落したハイテク株が買い戻されたことから堅調な動きが続き、128.41ポイント高(+0.95%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日のパウエルFRB議長の議会証言で、利上げ継続が示唆されたものの、一方で慎重な姿勢が示されるなど、金融政策の方向性に懐疑的との見方もあり、ドル円・クロス円は序盤から狭いレンジ内の動きとなった。また、日経平均株価がプラス圏とマイナス圏を往来する展開となったことも影響し、ドル/円は上下30銭以内のレンジ内の動きとなった。
(2)午後に入っても限定的な動きが続き、ドル円・クロス円はレンジ内の動きとなった。ただ、時間外取引で米長期金利が上昇したことなどを受けて円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は欧州時間では堅調な動きが続いた。一方、英中銀が市場予想を上回る0.50%の利上げを決定したことから、ポンドは大きく上昇したものの、今後の政策の思惑が交錯して乱高下となる場面もあった。
(3)米国市場では、序盤に発表された新規失業保険申請件数が26.4万件と市場予想の25.9万件を上回る結果となったことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。しかし、したことを受けて、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.703%から3.806%まで上昇するなど、米金利が軒並み上昇したことから、ドルは主要通貨に対して上昇した。さらに、米中古住宅販売件数が430万件と市場予想の425万件を上回ったこともドルの押し上げ要因となった。ドル/円は、序盤の安値141.77から143.23まで上昇し、昨年11/10以来の高値を更新した。一方、ユーロ圏の消費者信頼感指数が-16.1と市場予想の-17.4を上回る改善となったことや、英中銀が予想の0.25%を上回る0.50%の大幅利上げを決定したことから、ユーロやポンドも対円で上昇し、ユーロ/円は2008年9月以来の高値を更新した。
本日のトピックス
前日の海外市場では、パウエルFRB議長が「今年あと2回の利上げが適切となるだろう」と発言するなど、改めて追加利上げを示唆したことから米金利が上昇となり、ドルは主要通貨に対して上昇した。ドル/円は、143円台まで上昇して2022年11/10以来の高値を更新した。米国の追加利上げ観測に加え、英国など主要国が昨日利上げを決定し、さらに追加利上げ観測も広がっていることから、日本との金利差が一段と拡大する可能性もあり、さらに円売りが進む可能性が考えられる。
昨日からここまで日本政府・日銀からの牽制発言などがないことから、このまま143円台で値固めができればさらに一段の上昇の可能性も考えられる。ただ、東京時間に入ってやや牽制を警戒する動きなのかやや上値の重い動きとなっている。牽制発言があれば、一旦調整となる可能性もあり、神経質な展開が続く可能性も考えられる。
本日の海外市場では、ユーロ圏、ドイツ、米国の6月の製造業・非製造業PMIの発表が予定されている。特に、速報であることから、結果に対して比較的動くケースが多いことから、結果とマーケットの反応に注目したい。