前営業日トピックス
東京市場では、下落して始まった日経平均株価が上昇に転じてプラス圏まで回復したことや、米長期金利が上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。午後に入り、日経平均株価が上げ幅を拡大したことを受けて、堅調な動きが続いた。さらに、英国の消費者物価指数が上昇したことを受けて英中銀の追加利上げ観測が高まり、ポンドが主要通貨に対して上昇したことから、ドル/円や他のクロス円もポンドの上昇に連れて堅調な動きとなった。
米国市場では、パウエルFRB議長の議会証言を受けて、金融引き締めの長期化観測からドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。しかし、より緩やかなペースでの金利引き上げが合理的との見方を示したことを受けて、米長期金利が低下に転じ、ドルも主要通貨に対して軟調な動きとなった。ドル/円は、序盤に一時142.37まで上昇したものの、その後は141.68まで下落する動きとなった。
米株式市場では、パウエルFRB議長が議会証言で改めて追加利上げを示唆したことから、米景気後退への警戒感から売りが優勢となった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比177ドル安まで下落した。その後、プラス圏を回復して一時44ドル高まで上昇する場面もあったが、終盤に再び下落に転じて102.35ドル安(-0.30%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、165.09ポイント安(-1.21%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤に前日比234円安まで下落した日経平均株価が上昇に転じて110円高まで上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利が上昇したことや、仲値公示にかけてドル買いが観測されたことも加わり、ドル/円は序盤の141.28から141.73まで上昇した。
(2)上昇一服後は、FRB議長の議会証言を控えてポジション調整の動きも見られ、ドル/円は141.52まで下落したものの、午後に入り、日経平均株価が265円高まで上昇したことや、米金利が一段の上昇となったことから、ドル円・クロス円は再び堅調な動きとなり、ドル/円は141.86まで上昇した。一方、英国の消費者物価指数が市場予想を上回る結果となり、インフレが高止まりしていることが示されたことから、英中銀の追加利上げ観測が高まり、ポンドは主要通貨に対して上昇した。また、ポンド/円の上昇に連れて、ドル/円や他のクロス円も堅調な動きとなり、ドル/円は142.17まで上昇した。
(3)上昇一服後は、FRB議長の議会証言を控えて調整の動きも見られた。米国市場では、パウエルFRB議長の議会証言の証言原稿が公表され、内容がFOMCと一致したことで、金融引き締めの長期化観測から米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
(4)質疑応答で「利上げのスピード感はそれほど重要ではない」、「より緩やかなペースでの金利引き上げが合理的」との見方を示したことで、年内の利上げは1回との見方も広がったことで、上昇していた米長期金利が低下に転じ、ドルも主要通貨に対して軟調な動きとなった。ドル/円は、序盤の141.75から一時142.37まで上昇し、昨年11/10以来の高値を更新した。しかし、その後は141.68まで下落する動きとなった。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで上昇が続いたことから、対円でも堅調な動きが続いた。
本日のトピックス
昨晩の海外市場では、パウエルFRB議長の議会証言を受けて思惑が交錯し、ドルは上下に振れる展開となった。ドル/円は、一時142.37まで上昇して昨年11/10以来の高値を更新したが、その後は上値の重い動きとなった。
この近辺から上側では日本政府・日銀の円買い介入への警戒感も強まる可能性が考えられることから、当面は142.25-142.50近辺を完全に上抜ける動きとなるのか注目される。ここを上抜ける動きとなるようなら、さらに一段の上昇となる可能性も考えられる。ただ、同時に介入警戒感も強まることが予想されることから、神経質な動きとなる可能性も考えられる。
本日の海外市場では、英中銀とトルコ中銀の金融政策発表が予定されており、両者ともに利上げが予想されている。金利先物市場では、英中銀による年内の利上を5回織り込む水準となっていることから、追加利上げに関する声明や当局者の発言が注目されている。一方、トルコ中銀は大幅な利上げが予想されており、予想通りの結果となるのか注目されている。
また、米国市場では、新規失業保険申請件数、中古住宅販売件数などの発表が予定されており、結果が注目されている。指標結果が良好なら、FRBの年内の複数回の利上げ期待が高まる可能性も考えられるが、冴えない結果なら利上げは年内1回との見方が強まる可能性も考えられる。そのため、指標結果とマーケットの反応に注目したい。
6/22の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:00 | 英国 |
英中銀 政策金利
金融政策委員会(MPC 〜Monetary Policy Committee)は、イングランド銀行に設置されている委員会であり、総裁、副総裁(2名)、チーフ・エコノミスト、エグゼクティブ・ディレクター、4名の外部委員からなる9名の委員で構成されている。毎月上旬に開催され、政策は木曜日の会合後に発表を行う。
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4.75% | 4.50% |
前回は、予想通り0.25%の利上げが決定され、12会合連続の利上げでトータル4.40%引き上げられた。英国の消費者物価指数は、昨年10月に11.1%とピークを付け後は今年4月に8.7%まで低下しているものの、英中銀の目標である2%を依然として大幅に上回っている。そのため、当面利上げを継続すると見られており、今回も0.25%の利上げが予想されている。なお、金利先物市場では、年内に0.25%の利上げを5回織り込む水準となっている。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(6/17までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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25.5万件 | 26.2万件 |
前回は市場予想を上回り、前週から横ばいで2021年10/29までの週以来の高水準が維持され、労働市場の軟化が示された。一方、失業保険継続受給者数は、前週の2/17までの週以来の低水準から増加となった。今回は、前週から減少が予想されており、6週間ぶりに減少となるのか注目したい。 | ||||
23:00 | 米国 |
5月中古住宅販売件数
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
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425万件 | 428万件 |
前回は市場予想を下回り、2ヵ月連続の減少で3ヵ月ぶりの低水準となった。在庫減少や借り入れコストの高止まりが引き続き圧迫要因となっている半面、新築住宅は予想外の増加となっている。今回は、引き続き減少が予想されているが、在庫に回復の兆しが見られるのか注目されている。 |
気まぐれ投資コラム
トルコ中銀、大幅利上げを決定か?
トルコ中銀は、ここまで3会合連続で政策金利を8.50%に据え置いている。トルコの大統領選でエルドアン氏が勝利したことを受け、新たな財務相、中銀総裁を指名したことで、政策を転換すると予想されている。
トルコの消費者物価指数は、昨年10月に85.51%と24年ぶりの高水準となったが、そこから7ヵ月連続の低下となり、5月には39.58%まで低下している。また、トルコ・リラは、今月に入りドルと円に対して史上最安値を更新しており、マーケットではリラ防衛などもあり、政策転換で政策金利である1週間レポレートを現行の8.50%から20.00%へ大幅に引き上げると予想されている。なお、予想通りの大幅利上げを決定する場合には、トルコ・リラの上昇につながるのか注目されている。
エコノミスト予想では、20.00%(11.5%の利上げ)予想が全体の38%、15.0%(6.50%の利上げ)予想と25.0%(16.5%の利上げ)予想がともに14%となっている。
※出所:SBILMがデータを基に作成