前営業日トピックス
東京市場では、新規材料に乏しい中、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開となった。仲値公示にかけて実需のドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は一時142.26まで上昇した。しかし、鈴木財務相の発言を受けて円買いが優勢となり、さらに一時104円高まで上昇していた日経平均株価が下落に転じて281円安まで下落したことから、ドル円・クロス円も下落に転じた。ただ、ドル/円は141.59まで下落したものの、下げ一服後は再び142円台まで値を戻す動きとなった。欧州時間では、再び円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が良好な結果となったことから、FRBの追加利上げ観測が強まり、米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。しかし、その後上昇していた米金利が低下に転じたことから、ドルも上値の重い動きとなった。ドル/円は、一時141.75まで上昇したものの、その後に141.22まで下落するなど、上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、序盤に発表された5月の米住宅着工件数が市場予想を大幅に上回ったことから、FRBが利上げを継続するとの観測が強まり、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。ただ、21-22日のパウエルFRB議長の議会証言を控えて発言内容を見極めたいとの様子見ムードも高まり、下げ幅は限定的だった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比383ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小し、245.25ドル安(-0.71%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、22.28ポイント安(-0.16%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の米国市場が休場だったことから新規材料に乏しく、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開となった。その後、中国人民銀行が事実上の利下げを決定したことを受けて、中国景気の回復期待が高まり、一時170円安まで下落した日経平均株価が上昇に転じて104円高となり、ドル円・クロス円も堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の141.85から142.25まで上昇し、昨年11/22以来の高値を更新した。一方、6月の豪中銀の理事会の議事要旨で、予想外だった利上げに関して、思惑が交錯した結果だったことが明らかになると、豪ドルは主要通関に対し大きく下落した。
(2)上昇一服後、鈴木財務相が閣議後会見で、米国の外国為替報告書について、為替政策について米国を含む各国通貨当局と緊密な意思疎通を図るとしつつ、必要であれば適切に対応していくと発言したことや、西村経産相も為替の水準についてコメントは控えるとたものの、過度な変動、投機的な動きには注意しないといけないとの見方を示したことから円買い戻しが優勢となった。さらに、時間外取引で米長期金利が低下したことや、日経平均株価が下落に転じて前日比281円安まで下落したことも加わり、ドル/円は141.59まで下落し、クロス円も大きく下落した。しかし、下げ一服後は再び堅調な動きとなり、ドル/円は142円台まで値を戻した。ただ、欧州時間に入ると、米金利が一段の低下となったことや、欧州主要株価指数が軟調な動きとなったことから、、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを受けてドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ただ、5月の米住宅着工件数が市場予想の140.0万件を大幅に上回る163.1万件と、1年ぶり1ヵ月の高水準となったことからFRBの追加利上げ観測が強まり、米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
(4)その後、上昇していた米金利が低下に転じたことから、ドルも上値の重い動きとなった。ドル/円は、序盤の安値141.29から一時141.75まで上昇したものの、その後は141.22まで下落するなど、終盤まで上値の重い動きとなった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したことから対円でも序盤から軟調な動きとなった。ただ、終盤に対ドルで持ち直したことから、対円でも底固い動きとなった。
本日のトピックス
昨日の海外市場では、パウエルFRB議長の議会証言を控えて、ポジション調整の動きなどもあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。本日の海外市場では、パウエルFRB議長の議会証言での発言内容が注目されており、それまでは様子見ムードが強まり、限定的な動きが予想されている。
先日のFOMCのドットチャートでは、年内2回の利上げ予想が示されたが、パウエルFRB議長がインフレ抑制のための利上げを継続との見解を示せば利上げ期待が再び高まり、ドルは一段の上昇となる可能性も考えられる。ただ、多少なりともハト派的な見解を含める場合には、引き続き上値の重い動きとなるだろう。現状では、ドットチャートの結果もあり、利上げ終了を示す可能性は少ないと見られており、ドルの一方的な下落とはなり難いと考えられる。
ドル/円で142.50を超えるドルの上昇となる場合には、日本の当局者の牽制発言など、政府・日銀の介入警戒感が意識される可能性もあり、神経質な動きとなる可能性も考えられる。