前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったものの、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが強まっており、ドル円・クロス円は序盤から狭いレンジ内の動きが続いた。
米国市場では、5月の生産者物価指数が予想以上に鈍化したことから、FOMCで政策金利が据え置かれるとの見方が強まり、米金利低下とともにドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。その後、FOMCでは予想通り政策金利の据え置きが決定されたものの、0.25%の利上げが年内2回実施される可能性が示唆されたことを受けて、米金利が上昇に転じたことからドルも堅調な動きとなった。
米株式市場では、FOMCで予想通りの金利据え置きが発表されたものの、FOMCメンバーの見通しで年内2回の利上げが示唆されたことから、利上げ長期化による景気悪化を警戒した売りが優勢となった。ただ、引けにかけては下げ幅を縮小した。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比428ドル安まで下落した。終盤にかけて下げ幅を縮小し、232.79ドル安(-0.68%)で終了、7営業日ぶりに反落となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、半導体株が買われたことが下支え要因となり、一時マイナス圏まで下落したものの、53.16ポイント高(+0.39%)とプラス圏を回復して終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の堅調な動きが一服し、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。日経平均株価が序盤から堅調な動きとなっているものの、5月の米消費者物価指数の結果を受けて、今晩のFOMCでの利上げ見送り観測が強まっており、来月以降の政策を予想する上で、声明やパウエルFRB議長の会見での発言を見極めたいとの思惑が強まっている。
(2)午後に入り、日経平均株価が一段の上昇となり、一時前日比646円高まで上昇したものの、ドル円・クロス円は限定的な動きが続いた。
(3)米国市場では、前日の5月の米消費者物価指数に続き、5月の生産者物価指数も前年比で市場予想の1.5%を下回る1.1%と予想以上の鈍化となったことから、FOMCで政策金利を据え置かれるとの見方が強まり、金利低下とともにドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
(4)FOMCでは予想通り政策金利の据え置きが決定されたものの、FOMCメンバーの予想であるドット・チャートで年内の2回の利上げの可能性が示唆されたことを受けて、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.755%から3.846%まで上昇するなど、米金利が上昇に転じたことからドルも堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の139.98から139.28まで下落したものの、その後は140.17まで上昇した。ただ、140円台では売りが入るなど、上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
昨晩の米国市場では、前日に発表された米消費者物指数に続いて5月の米生産者物価指数も予想以上の鈍化となり、FOMCでの金利据え置き観測が高まり、ドル売りに反応した。FOMCでは、予想通り金利据え置きとなったものの、メンバーの予想であるドットチャートでは、年内2回の利上げが示唆されたことからドルは一転して堅調な動きとなった。
ただ、マーケットでは予想外のタカ派的な据え置きだったことで、年内2回の利上げには懐疑的な見方が広がっている。現在、金利先物市場でも年内の0.25%の利上げの折り込み度合いは1回も満たない織り込み度合いとなっている。そのため、来月の消費者物価指数や重要な経済指標の結果が利上げの有無を左右するとみられている。
本日は、ECB理事会の結果発表や、複数の重要な米経済指標の発表が予定されており、結果が注目されている。特に、ECBの政策発表では、0.25%の利上げが見込まれており、さらに年内2回の利上げが織り込まれていることから、声明やラガルドECB総裁の会見での発言に注目したい。
6/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
5月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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-0.1% | 0.4% |
前回は市場予想を下回ったものの、3ヵ月ぶりにプラスに改善した。高インフレや借り入れコスト上昇の中でも消費の堅調さが示された。特に、低失業率と賃金の伸びが下支え要因となったと見られている。今回は、再びマイナスが予想されており、改善は一時的だったことが示されると見られている。 | ||||
21:30 | 米国 |
6月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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-15.1 | -31.8 |
前回は、予想以上にマイナス幅が拡大し、2ヵ月ぶりにマイナスに落ち込んだ。新規受注が-28.0(前月25.1)、出荷が-16.4(23.9)と大幅にともに大幅低下したことが影響した。一方、6ヵ月予想は小幅上昇となり、2ヵ月連続の上昇となった。今回は、マイナス幅の縮小が予想されており、今年に入り新規受注と出荷の振れ幅が毎月大きくなっており、今回も両指数の結果が注目されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(6/10までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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25.0万件 | 26.1万件 |
前回は市場予想を大幅に上回り、3週連続の増加で2021年10月以来の高水準となった。メモリアルデーの祝日が含まれていた週であったことから、休み明けに申請件数が急増したとの見方もあったが、レイオフがすでに昨年の4倍になっていると発表され、求人件数の減少も影響して雇用減少につながり始めたとの見方も。今回は、前週から減少が予想されているが、今年に入ってから先週までの平均である22.6万件を大幅に上回ると見られている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ユーロ/ドルは、一目均衡表の雲下限ラインを上抜けて雲の中に入り込む展開となっている。さらに、基準線も上抜けていることから、ここから一段の上昇となり、雲上限ラインを目指す展開となるのか、再び雲を下抜けて軟調な動きとなるのか注目されている。
目先の動きを見る上で注目されているオシレーターのMACDでは、両線クロスして両線が上向きとなっており、さらに乖離幅の拡大が続いている。さらに、この形状を維持したまま、両線がともにゼロポイントを上抜ける場合には一段の上昇を示唆する形状となることから、今後の形状にも注目したい。
上値のポイント
(1)1.0865 (2)1.0919 (3)1.0966
下値のポイント
(1)1.0816 (2)1.0805 (3)1.0774
気まぐれ投資コラム
ECBの政策発表、エコノミスト予想は利上げ予想が100%
ECBは、ここまで7会合連続で利上げを決定しており、政策金利を合計3.75%引き上げている。ユーロ圏の消費者物価指数は、前年比で6.1%と昨年10月のピークの10.7%から鈍化しているが、依然として緩やかな低下に留まっており、利上げを停止する程ではないとの見方が優勢となっている。
そのため、ECBは今回と次回7月まで政策金利の引き上げを継続し、その後に据え置くとの見方が優勢となっている。特に、ラガルドECB総裁が「物価の上昇率がピークに達したとするのは時期尚早」との見方を示した上で、「利上げは必要」との見方を示している。
このことから、エコノミスト予想では、今回の0.25%の利上げが100%となっている。また、金利先物市場では、今回0.25%の利上げを92%織り込む水準となっており、年末まで0.25%の利上げ2回を織り込む水準となっている。
※出所:SBILMがデータを基に作成
※出所:データを基にSBILMが作成