前営業日トピックス
東京市場では、下落して始まった日経平均株価が上昇に転じて上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利が上昇したこともドルの下支え要因となった。しかし、午後に入ると円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。一方、豪中銀が予想外の利上げを発表したことを受けて、豪ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。その後は上値の重い動きが続いたものの、低下していた米金利が上昇に転じたことや、欧州主要株価指数が下げ幅を縮小する動きとなったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、米国の主要な経済指標の発表がなく新規材料に乏しい中、米金利の上昇を受けてドルが堅調な動きとなった欧州市場の流れを引き継ぎ、序盤から堅調な動きとなった。ドル/円は、一時139.99まで上昇したものの、140円台近辺では戻り売りなどに押され、終盤まで上値の重い動きとなった。
米株式市場では、新規材料に乏しく序盤から売りが先行したものの、値頃感のある銘柄に買いが入ったことが下支え要因となり、底固い動きとなった。ただ、翌週の米消費者物価指数の結果を見極めたいとの思惑もあり、値動きは限定的で主要株価指数は小幅高に留まった。ダウ平均株価は、序盤に前日比68ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて一時163ドル安まで下落した。終盤にかけて持ち直し、10.42ドル高(+0.03%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは46.99ポイント高(+0.36%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ただ、序盤に前日比283円安まで下落した日経平均株価がプラスに転じて137円高まで上昇したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ドル/円は、序盤の139.61から139.32まで下落した後、139.66まで上昇した。
(2)午後に入り、日経平均株価が317円高まで上昇したものの、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。一方、オーストラリア中銀が市場の据え置き予想に対して0.25%の利上げを決定したことを受けて、豪ドルは主要通貨に対して上昇となり、豪ドル/円は発表直前の92.47から93.15まで上昇した。欧州時間では、時間外取引で米長期金利が低下したことや、欧州主要株価指数が下落したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、米国の主要な経済指標の発表がなく新規材料に乏しい中、元FRB副議長を務めたクラリダ氏が「米金融当局は今回のサイクルで再び利上げする」との予想を示したことに反応して米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.667%から3.731%まで上昇するなど、米金利が軒並み上昇したことを受けて、序盤からドルは堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の139.53から139.99まで上昇し、また欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したものの、ドル/円の上昇に連れて対円では堅調な動きとなった。
(4)上昇一服後、ドル/円は140円台近辺では戻り売りなどに押され、さらに上昇していた米長期金利が低下したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
ここまでFRB高官の発言を受けて利上げ観測が高まり、米金利上昇とともにドルも堅調な動きとなっていたが、先週末の米雇用統計や週明けISM非製造業景況指数の結果を受けて、6月のFOMCでの利上げ観測が後退した。ここまでタカ派発言をしていた高官の意見が聞きたいところだが、先週の4日から高官らが公的発言を控えるブラックアウト期間となっているため、FOMCまでは高官の発言がない。そのため、利上げの有無を見極める上で来週13日に発表される5月の米消費者物価指数の結果が注目されており、結果次第では今後の金融政策の方向性が明確になる可能性もあり、それに伴って大幅な動きとなる可能性も考えられる。
本日の米国市場では、4月の米貿易収支の発表が予定されているが、マーケットの注目が来週の米消費者物価指数に向いていることから、反応は限定的となる可能性が指摘されている。ただ、赤字額が大幅に拡大する場合には、米経済の先行き不安が高まる可能性もあり、結果とマーケットの反応に注意したい。