前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が堅調な動きとなり、投資家のリスク選好の動きからドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたことも押し上げ要因となった。ただ、仲値通過後は一旦下落に転じたものの、午後に入り、再びドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、米雇用統計を控えていることもあり、上値は限定的となった。
米国市場では、序盤に発表された5月の米雇用統計がまちまちの結果となったことを受けて、発表直後はやや乱高下となった。ただ、FOMCでの利上げ期待が高まると、米金利が軒並み上昇幅を拡大するとともに、ドルも主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、一時140.07まで上昇したものの、140円台では上値を抑えられ、引けにかけて上値の重い動きとなった。
米株式市場では、米債務上限関連法案の採決が上下両院で可決し、デフォルトが回避されたことを好感して序盤から買いが優勢となった。さらに、米雇用統計で、失業率が悪化したことや、賃金の伸びが鈍化したことで、インフレの減速を示唆しているとの見方も加わり、主要株価指数は一段の上昇となった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比743ドル高まで上昇した。その後も高値圏を維持したまま、701.19ドル高(2.12%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、139.38ポイント高(1.07%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、海外市場終盤に流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開となった。その後、日経平均株価が上昇して始まり、前日比270円超上昇したことや、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたことから、ドルは一段の上昇となり、ドル/円は序盤の安値138.66から139.06まで上昇した。仲値通過後は、上昇一服となり、ドル/円は一時138.60まで下落し、ドル/円の動きに連れてクロス円も軟調な動きとなった。
(2)午後に入り、米上院で債務上限停止法案が可決されたとの報道を受けて、日経平均株価が上げ幅を拡大して前日比355円高まで上昇したことから、ドル円・クロス円は再び堅調な動きとなった。ただ、米雇用統計の発表を控えて様子見ムードも高まっており、上値は限定的だった。
(3)米国市場では、序盤に発表された5月の米雇用統計で、景気動向を敏感に示す非農業部門雇用者数が市場予想の+19.5万人を大幅に上回る+33.9万人となったものの、失業率が0.3ポイント上昇して3.7%となったことや、物価上昇に影響を与える平均時給が前年比4.3%と前月の4.4%から鈍化したことを受けて、発表直後ドルはやや乱高下となった。
(4)ただ、利上げ終了との見方が後退してFOMCでの一段の利上げ期待が高まると、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.597%から3.696%まで上昇するなど、米金利が軒並み上昇幅を拡大するとともに、ドルも主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、雇用統計発表直後の安値138.74から一時140.07まで上昇したものの、140円台では上値を抑えられ、引けにかけて上値の重い動きとなった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したものの、ドル/円の上昇に連れて対円では堅調な動きとなった。
本日のトピックス
先週末の米雇用統計で、雇用者数の伸びが市場予想を大幅に上回ったことを受けて、上昇した海外市場の動きを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。ただ、失業率が悪化したことや、物価上昇に影響を与える賃金の伸びが鈍化したことを受けて、6月の利上げ期待が後退したことから、ドルの上昇が一服する可能性も考えられる。しかし、7月の利上げ期待が高まっていることから、下値は限定的と考えられる。
今週は、本日発表予定の5月のISM非製造業景況指数鹿主要な経済指標の発表がないことから、限定的な動きが予想されている。ただ、来週は消費者物価指数、FOMCなど重要な米国の経済指標の発表が続くことから、それを控えたポジション調整の動きが進む可能性も考えられる。
6/5の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
5月ISM非製造業景況指数
ISM非製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数であり、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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52.4 | 51.9 |
前回は市場予想を小幅に上回る結果となったものの、業況指数が約3年ぶりの低水準となった。ただ、4ヵ月連続で景気拡大・後退の判断基準となる50を上回っており、堅調さを維持している。今回は、前月からさらに上昇が予想されており、業況指数の改善が見られるのか注目されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ユーロ/ドルは、一目均衡表の雲を下抜けて一段の下落となっており、先週下げ一服の動きが見られたものの、上値の重い動きとなっており、ここから一段の下落となるのか、上昇に転じるのか注目されている。
目先の動きを見る上で注目されているオシレーターのMACDでは、両線の乖離幅が縮小しており、クロス間近となっている。そのため、クロスして上昇に転じる形状となるのか注目したい。ただ、さらに短期の動きを見るストキャスティクスでは、両線がクロスしていることから、短期的に下向きを示唆する形状となっている。このことから、日柄的には2-3日程度は上値の重い動きが続く可能性も考えられ、その後に上昇に転じる展開か。
目先の下値のポイントは、直近安値の1.0635となり、ここを下抜ける場合には一段の下げとなる可能性も考えられる。一方、上値のポイントは雲下限ラインの1.0805となり、ここを上抜ければ一段の上昇も考えられる。