前営業日トピックス
東京市場では、FRB高官のハト派的な発言を受けて下落した海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。しかし、米下院で債務上限停止法案が可決したとの報道を受けて、下落して始まった日経平均株価が上昇に転じて上げ幅を拡大したことや、米長期金利が上昇したことから、ドル円・クロス円も堅調な動きとなった。ただ、上昇一服後、米長期金利が低下したことから、ドルは上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された5月の米ADP雇用統計が市場予想を大幅に上回ったものの、米単位労働コストが大幅に下方修正されたことや、新規失業保険申請件数が前月から増加したことを受けて、米金利の低下とともにドルは主要通貨に対して下落した。さらに、FRB高官が前日に続きハト派的な発言したことも圧迫要因となり、ドル/円は一時138.43まで下落した。その後は、週末の米雇用統計を控えて様子見ムードも強まり、終盤まで小動きの展開が続いた。
米株式市場では、顧客情報管理大手の冴えない四半期決算決算が嫌気され、主要株価指数は売りが先行した。ただ、ADP雇用統計が良好な結果となったことや、米下院で債務上限関連法案が可決されてデフォルトへの警戒感が和らいだこと、さらに来週のFOMCでの利上げ観測が和らいだことも加わり、その後は堅調な動きが続いた。ダウ平均株価は、序盤に前日比203ドル安まで下落したものの、その後は買いが優勢となり、一時259ドル高まで上昇した。引けにかけて上げ幅縮小し、153.30ドル高(+0.47%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、165.69ポイント高(+1.28%)で終了した。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場で米FRB高官が6月のFOMCでの利上げ見送りを示唆したことから下落した流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。下げ一服後は、米下院が債務上限法案を可決との報道を受けて、下落して始まった日経平均株価が上昇に転じて一時前日比297円高まで上昇したことや、時間外取引で米長期金利が上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は序盤の安値138.96から139.54まで上昇した。
(2)午後に入り、米長期金利が上げ幅を拡大したことから、ドル/円は139.95まで上昇し、クロス円もドル/円の上昇に連れて堅調な動きとなった。ただ、上昇一服後は、上昇していた米長期金利が低下したことから、ドルは上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された5月の米ADP雇用統計が市場予想の+17.0万人を大幅に上回る+27.8万人となったことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇した。しかし、米単位労働コストが大幅に下方修正されたことや、新規失業保険申請件数が前月から増加したことを受けて、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.659%から3.562%まで低下するなど米金利が軒並み低下したことから、ドルも主要通貨に対して下落した。ドル/円は、ADP後の高値の139.88から138.43まで下落し、さらにフィラデルフィア連銀総裁が前日に続き「少なくとも6月は利上げ見合わせを」と発言したことも圧迫要因となった。その後は、週末の米雇用統計を控えて様子見ムードも強まり、終盤まで小動きの展開が続いた。
本日のトピックス
今週に入り、FRB高官のハト派発言を受けて、それまでのタカ派発言が続いたことで、利上げ期待が高まっていたが、一転して金利据え置き観測が高まり、ドルは軟調な動きとなった。その中で、経済指標結果が良好な結果となれば、再び利上げ期待が高まる可能性も指摘されている。
昨日発表されたADP雇用統計は、市場予想を大幅に上回る良好な結果となったことで、本日の米雇用統計にも注目が集まっている。ADP同様に良好な結果となる場合には、利上げ期待が再び高まる可能氏もあり、その場合にはドルの押し上げに寄与する可能性も考えられる。
ただ、140円台では、先の財務省、金融庁、日銀の三者会談実施による介入への警戒感が高まる可能性もあり、上値の重い動きとなることも考えられる。一方、米雇用統計が冴えない結果となる場合には、利上げ期待がさらに後退してドルの圧迫要因となる可能性も考えられる。そのため、指標結果には注目したい。