前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比390円超下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。午後に入り、ドル円・クロス円は一段の下落となったものの、低下していた米長期金利が上昇に転じたことから、ドル買い・円売りが優勢となった。ただ、欧州時間では、欧州主要株価指数が軒並み大幅下落となったことや、上昇していた米金利が低下したことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、最近のFRB高官のタカ派発言を受けて米金利の上昇が続いていることから、ドルは序盤から堅調な動きとなった。さらに、FRB理事が「6月か7月の利上げを支持する可能性」と発言したことを受けてドルは一段の上昇となり、ドル/円は一時139.41まで上昇して年初来高値を更新した。一方、欧州通貨や資源国通貨は、ドル/円の上昇に連れて対円で堅調な動きとなった。
米株式市場では、米債務上限問題を巡る協議が難航しており、引き続き債務不履行に陥る可能性が意識されて主要株価指数は序盤から売りが優勢となった。また、米金利が上昇したことも圧迫要因となった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比303ドル安まで下落した。引けにかけて下げ幅を縮小して255.59ドル安(-0.77%)で終了、4営業日続落となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、76.09ポイント安(-0.61%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が下落して始まり、一時前日比360円超下落したことから、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利が低下したことも加わり、ドル/円は序盤の138.64から138.37まで下落した。一方、ニュージーランド中銀が予想通り0.25%の利上げを決定したが、声明で「キャッシュレートのピークは5.50%と見込む」、「2024年3Qからの利下げ開始見込む」としたことがハト派的と受け止められ、NZドルは大きく下落し、対円では発表前の86.52から85.43まで下落した。
(2)午後に入り、日経平均株価が390円超と下げ幅を拡大したものの、その後は底固い動きとなったこともあり、ドル円・クロス円も底固い動きとなった。ただ、その後円売りが優勢となると、ドル円・クロス円は一段の下げとなり、ドル円/は138.23まで下落した。ただ、低下していた米長期金利上昇に転じたことから、ドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は138.62まで上昇し、クロス円も堅調な動きとなった。欧州時間では、欧州主要株価指数が軒並み下落して始まったこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、主要な米経済指標の発表がなく新規材料に乏しい中、最近のFRB高官のタカ派発言が続いていることを受けて米金利上昇が続いており、ドルは序盤から堅調な動きとなった。さらに、ウォラーFRB理事が「今後のデータは6月の利上げを裏付ける可能性がある」「6月か7月の利上げを支持する可能性」と発言したことを受けて米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.665%から3.745%まで上昇となり、ドルは一段の上昇となった。ドル/円は、序盤の138.36から139.41まで上昇して年初来高値を更新、昨年11/30以来の139円台乗せとなった。一方、欧州通貨や資源国通貨は、ドル/円の上昇に連れて対円で堅調な動きとなった。
本日のトピックス
昨日の海外時間では、米FRB当局者のタカ派発言を受けて米長期金利が上昇となり、ドルは堅調な動きとなった。ドル/円も堅調な動きとなり、年初来高値を更新する動きとなった。しかし、本日のアジア時間では、米国の債務上限問題を巡る協議が難航していることを受けて、大手格付け会社が米国の「AAA」格付けを「ウォッチネガティブ」の対象としたとの報道を受けて、ドルは一時下落となり、ドル/円は序盤の139.47から138.84まで下落した。
FRBの追加利上げ観測が高まっているものの、債務上限問題を巡る債務不履行リスクがあることから、ここからのドルの動きが注目される。金利先物市場では、次回のFOMCでの0.25%の利上げを36%織り込む水準であり、1週間前の13%から上昇している。一方、債務上限問題に関しては、イエレン米財務長官が6/1にも財務省の資金が枯渇する可能性が高いとの見方を示したこともあり、今週から来週にかけて協議が合意に達するのかどうか注目されており、協議に関する報道に一喜一憂する可能性も考えられる。さらに、週末までは米国の主要な経済指標の発表が続くことから、指標結果を受けて追加利上げ期待が高まるのかどうかも相場を左右する可能性があることから、指標の結果にも注目したい。
5/25の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
第1四半期GDP(前期比年率/改定値)
GDPは、一定期間内に米国内で生み出された財とサービスの付加価値の額を合計したもので、国内の経済規模を測るための指標の一つ。GDPの伸び率は、経済成長率を表す指標として重要視されている。そして、個人消費はGDPのおよそ7割を占めることから、構成指数の中では特に重要視されている。
|
1.1% | 1.1% |
前回は市場予想を下回る減速となり、個人消費は前期から上昇したものの、設備投資や在庫が低調だったことが影響した。今回の改定値は、横ばいが予想されており、前回改善した個人消費は堅調さが維持されるのか注目されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(5/20までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
|
24.8万件 | 24.2万件 |
前回は市場予想を下回り、前週から3週ぶりの減少となった。不正申請の影響で前回増加していた地区が大幅減少となったことが影響した。今回は、先週から小幅増加が予想されているが、虚偽申請の影響が残っているとの見方もあり、結果が注目される。 | ||||
23:00 | 米国 |
4月中古住宅販売仮契約(前月比)
中古住宅販売仮契約は、全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売の仮契約を指数化したもの。2001年を100として表す。仮契約は通常1-2ヵ月以内に本契約に移行するため、仮契約指数は中古住宅市場の先行指数とされる。
|
1.0% | -5.2% |
前回は予想外の低下となり、昨年9月以来の大幅なマイナスとなった。需要が強いとの見方もあるが、在庫不足が影響しているとの見方も指摘されている。今回は、改善が予想されているが、住宅市場の鈍化傾向からの改善が示されるかどう注目されている。 |