前営業日トピックス
東京市場では、スイスの金融大手の経営不安を背景に、逃避的な円高となった前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、日経平均株価が前日比590円超下落したことも影響した。その後、スイス中銀から最大500億スイスフランを借り入れるとの報道を受けて、ドル円・クロス円は反発したものの、上値は限定的となった。
米国市場では、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。しかし、米大手銀行が経営危機に陥った地銀への支援を検討との報道を受けて、下落して始まった米主要株価指数が上昇に転じたことから、投資家のリスク回避の動きが後退し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米金利上昇も加わり、ドル/円は一時133.83まで上昇した。一方、ECBが予想通り0.50%の利上げを決定したこと受けて、ユーロはドルや円に対して堅調な動きとなった。
米株式市場では、金融機関の不安が広がる中、ECBが大幅利上げを決定したことで金融システムに対する不安感が高まり、主要株価指数は序盤からは軟調な動きとなった。しかし、経営危機に陥った米地銀を米金融大手が支援するとの報道を受けて、金融システムに対する不安感が後退して買いが優勢となった。ダウ平均は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比303ドル安まで下落した。しかし、その後は上昇に転じて上げ幅を拡大し、371.98ドル高(+1.17%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、283.23ポイント高(+2.48%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、スイスの金融大手の経営不安が明らかになったことを受けて、前日の海外市場で投資家のリスク回避の動きが強まったことが影響して、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、欧米の主要株価指数が大幅下落となったことを受けて、日経平均株価が大幅下落して始まり、一時596円安まで下落したこともドル円・クロス円の圧迫要因となった。
(2)その後、クレディ・スイスがスイス中銀から最大500億スイスフランを借り入との報道を受けて、金融不安に対する懸念が一旦落ち着くとの見方が広がり、ドル円・クロス円は反発となった。ただ、米銀行の経営破綻に続き、スイス金融大手の経営不安が明らかとなったことで新たな不安が出る可能性も懸念されていることから上値は限定的となり、その後は重い動きが続いた。
(3)米国市場では、米国の3銀行の経営破綻やスイス大手銀行の経営不安など、欧米の金融システム不安を背景に、リスク回避の動きとなった欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、米金利低下も加わりドル/円は一時131.72まで下落した。
(4)複数の米大手銀行が経営危機に陥った地銀への支援を検討との報道を受けて、下落して始まった米主要株価指数が上昇に転じたことから投資家のリスク回避の動きが後退し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米長期金利の指標となる米10年債が3.363%から3.582%まで上昇するなど米金利上昇も加わり、ドル/円は133.83まで上昇した。一方、利上げに対して慎重な見方が広がる中、ECBが予想通り0.50%の利上げを決定したこと受けて、ユーロはドルや円に対して堅調な動きとなった。
本日のトピックス
昨日の海外市場では、金融システム不安が広がる中でECBが予想通り0.50%の大幅利上げを決定したことで、来週のFOMCでも利上げが決定されるとの見方が強まり、米金利の上昇につながった。さらに、経営不安の米地銀に大手銀行11行が支援を表明したとの報道を受けて、金融不安への懸念が和らぎ、下落して始まった米主要株価指数が上昇に転じたことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
東京市場でも、海外市場の株高を受けて日経平均株価は序盤から堅調な動きとなったが、時間外取引で支援を表明された米地銀の株価が急落したことから、やや上値の重い動きも見られており、不安定な動きが続いている。金融システム不安の残る中、本日は週末であることから、積極的な売買が手控えられる可能性もあり、限定的な動きも予想されている。
米国市場では、ミシガン大学消費者信頼感指数、景気先行指数の発表が予定されていることから結果には注目だが、金融システム不安につながるような報道、またはその逆の報道が出る場合にも、引き続き敏感に反応する可能性が考えられることから報道には注意したい。
3/17の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
23:00 | 米国 |
3月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
|
67.0 | 67.0 |
前回は市場予想を上回り、3ヵ月連続の上昇となり、2022年1月以来の高水準となった。堅調な労働市場を背景にした賃金の上昇が消費者のマインドを押し上げていることが示された。3月の速報は、前月から横ばいが予想されており、労働市場が失速しなければ、消費者の楽観的な見方が続くとの見方もある。 |