前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、米長期金利が上昇したことや、下落して始まった日経平均株価がプラス圏を回復して上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は一時137.91まで上昇して12/15以来の高値を更新した。ただ、その後は米長期金利が低下したことで、ドル売り・円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表されたADP雇用統計が市場予想を上回ったことを受けて、ドルは底固い動きが見られたものの、米金利の低下が進んだことからドルも一段の下げとなった。その後、パウエルFRB議長が下院での議会証言で「3月の会合に関して何も決定していない」としたことを受けてドル売りが強まったが、その後はタカ派的な発言が続いたことで、米金利が上昇に転じてドルも堅調な動きとなった。
米株式市場では、前日の大幅下落を背景に、序盤は買いが先行したが、米雇用関連の経済指標がいずれも市場予想を上回ったことで、FRBの利上げ長期化観測が高まり、主要株価指数は下落に転じて下げ幅を拡大した。ただ、米金利が低下したことや、半導体株が買われたこともあり、ナスダックは底固い動きが続き、終盤にプラス圏を回復して終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)パウエルFRB議長が前日の議会証言で利上げペース加速の可能性に言及するなど、タカ派発言を受けて前日の海外市場でドルが上昇した流れを引き継ぎ、序盤からドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利が上昇したことも加わり、ドル/円は137.50まで上昇した。一方、ドル/円の上昇に加え、下落して始まった日経平均株価がプラス圏を回復して121円高まで上昇したことから、欧州通貨や資源国通貨も対円で堅調な動きとなった。
(2)その後も米長期金利の上昇に加え、午後に入り日経平均株価が上げ幅を拡大して160円高まで上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は一時137.91まで上昇し、昨年12/15以来の高値を付けた。その後は、米長期金利が低下したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(3)米長期金利の低下が続いたことから、ドル売り・円買いが優勢となり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、序盤からドルは軟調な動きとなった。序盤に発表された2月の米ADP雇用統計が市場予想を上回ったことを受けて、ドルは持ち直す場面もあったが、米金利の低下が進んだことからドルも一段の下げとなった。また、その後に発表された1月の米JOLT求人件数も市場予想を上回ったことから、一時上昇する場面もあった。ただ、パウエルFRB議長が下院での議会証言で「3月の会合に関して何も決定していない」としたことを受けてドルは一段の下落となり、ドル/円はADPの結果を受けて付けた序盤の高値137.37から136.48まで下落した。
(4)その後、パウエルFRB議長のタカ派的な発言が続いたことで、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.897%から3.993%まで上昇した動きに合わせ、ドルも堅調な動きとなり、ドル/円は終盤に137.35まで値を戻した。
本日のトピックス
昨晩のパウエルFRB議長の議会証言では、次回のFOMCでの利上げ幅に関しては、データを確認するまでは決定しないとしたことで、ドルは軟調な動きとなった。しかし、その後は改めて利上げペースが加速し、ターミナルレートは想定以上に上昇する可能性に言及したことで、米長期金利の上昇とともにドルも堅調な動きとなった。
東京市場では、序盤軟調な動きとなったものの、前日終盤の流れを受けて底固い動きとなっている。FRB議長は、経済データに関して、昨晩発表された求人件数、雇用統計、消費者物価指数、生産者物価指数に注目と指摘したことで、週末発表される米雇用統計の発表に一層の注目が集まっている。
本日の米国市場では、米新規失業保険申請件数、チャレンジャー人員削減数の発表が予定されており、前者は今回の雇用統計で発表される統計期間外の3/3までの1週間の結果発表であるが、後者は2月の結果であることから、注目したい。週末の米雇用統計を控えて様子見ムードが強まる可能性も考えられるが、本日の指標結果を受けて米金利に動きが出れば、ドルの動きにも影響する可能性も考えられる。
3/9の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(3/3までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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19.5万件 | 19.0万件 |
前回は市場予想を下回り、2週連続の低下となり、7週連続で20万件を下回り、労働市場の堅調さが示された。今回は、小幅増加が予想されているものの、引き続き堅調さが示されると見られている。 |