前営業日トピックス
東京市場では、下落して始まった日経平均株価が上昇に転じて上げ幅を拡大したことや、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後は、時間外取引で米長期金利が低下したこともあり、ドルは上値の重い動きとなったが、パウエルFRB議長の議会証言の内容を見極めたいとの思惑から様子見ムードが強く、値動きは限定的となった。欧州時間では、米長期金利の低下などもあり、ドル売り・円買いが優勢となる場面もあったが、下げ一服後には再びドルは堅調な動きとなった。
NY市場では、注目されたパウエルFRB議長の議会証言で、「正当化されれば利上げペース加速の用意がある」、「利上げの到達水準は想定より高くなる可能性が高い」との見方を示したことを受けて、米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円も序盤の136.04から137.20まで上昇して昨年12/20以来の高値を更新した。
米株式市場では、パウエルFRB議長が米議会上院での公聴会で、経済指標がインフレ圧力の高まりを示した場合には利上げを加速させる用意があるとの見方を示したことで、利上げが長期化して景気後退に陥るとの警戒感が広がり、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。さらに、米金利が軒並み上昇したことも圧迫要因となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。小幅安で始まった日経平均株価がプラスに転じて前日比160円高まで上げ幅を拡大したことや、時間外取引で米長期金利が上昇したことが影響し、ドル/円は序盤の135.88から136.18まで上昇した。
(2)上昇一服後、米長期金利が低下したことから、ドルも上値の重い動きとなり、ドル/円は136.83まで下落したものの、パウエルFRB議長の議会証言を控えて様子見ムードもあり、値動きは限定的だった。一方、豪中銀の金融政策発表で、予想通り0.25%の利上げが決定されたものの、追加利上げに関する声明が修正され、これがハト派的と受け止められ、豪ドルは発表直前の91.72から91.07まで下落し、2/23以来の安値となった。欧州時間に入り、米長期金利が一段と低下したことからドル売り・円買いが優勢となり、ドル/円は一時135.55まで下落し、クロス円も軟調な動きが続いた。
(3)米長期金利が下げ一服となり上昇に転じたことや、FRB議長の議会証言を控えてタカ派的な発言が予想されていることから、ドルは主要通貨に対して底固い動きとなった。
(4)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から堅調な動きとなった。パウエルFRBは、公聴会で「データで引き締めが正当化されれば利上げペース加速の用意がある」、「利上げの到達水準は想定より高くなる可能性が高い」との見方を示したことを受けて、米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。米長期金利の指標となる10年債利回りが3.916%から4.003%まで上昇し、政策金利の動向に敏感な2年債利回りは、序盤の4.852%から5.168%まで上昇して2007年7月以来の高水準を付けたことから、ドル/円も序盤の136.04から137.20まで上昇して昨年12/20以来の高値を更新した。一方、豪中銀が利上げを決定したものの、声明がハト派的だったことが影響して、豪ドルは主要通貨に対して下げ幅を拡大し、対円では1/23以来、対ドルでは2022年11/11以来の安値を更新した。
本日のトピックス
昨晩の米議会上院の公聴会で、パウエル米FRB議長が利上げペース加速の可能性に言及したことを受けて米金利が軒並み上昇となり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。東京時間に入ってもドルは堅調な動きが続き、ドル/円は一時137.50まで上昇して昨年12/16以来の高値を更新した。
さらに、FOMCメンバーの金利予想の金利が12月から大幅上昇する可能性や、3月FOMCまでに出る経済データが非常に重要との見方を示したことで、今後発表される経済指標の結果などが注目される。特に週末発表される米雇用統計の結果に注目が集まっている。
本日は、週末の米雇用統計の結果を予想する上で注目されているADP雇用統計や、労働市場の強さを見る上で参考にされる1月のJOLT求人件数の発表が予定されており、結果に注目したい。
3/8の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
22:15 | 米国 |
2月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
|
20.0万人 | 10.6万人 |
前回は市場予想を下回り、2021年1月以来の低い伸びとなった。寒波襲来など、広範な天候悪化が影響したと見られている。今回は、前月から改善が予想されており、天候悪化の影響が払拭すると見られている。 | ||||
0:00 | 米国 |
1月JOLT労働調査[求人件数]
JOLTS 労働調査(求人件数)は、米労働統計局が求人状況を測定するために実施する調査で、小売業や製造業など各業種の雇用データをもとに算出する統計。
|
1058.4万件 | 1101.2万件 |
前回は市場予想を上回り、3ヵ月ぶりの上昇で昨年7月以来の高水準となった。テクノロジー関連の求人が減少したものの、宿泊、外食、小売、建設などで増加したことが影響した。今回は、前月から減少が予想されているが、依然として昨年までの過去10年間の平均である678万件を上回っており、労働市場の需要が強いことが示されると見られている。 |