前営業日トピックス
前日の海外市場で大幅下落した流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開となった。また、米FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが強まったことから、限定的な動きが続いた。しかし、欧州時間では、日銀が来年金融政策の点検と見直しをする可能性との関係者の話が報道されたことを受けて、円買いが優勢となる場面もあった。
米国市場では、FOMCの結果発表を控えてドル/円は序盤から限定的な動きとなった。FOMCでは予想通り0.50%の利上げが発表されたことに加え、メンバーの金利見通しで2023年末時点が5.1%と引き上げられたことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇した。しかし、パウエルFRB議長のハト派的な発言が嫌気されて下落に転じた。ドル/円は、134.78から135.99まで上昇したものの、その後に134.80まで下落する場面もあった。
米株式市場では、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが強まり、序盤から小動きの展開が続いた。FOMCでは、0.50%の利上げが発表されたことに加え、FOMCメンバーの2023年末の政策金利予想が上昇したことで、金融引き締めの長期化観測が改めて意識されて売りが優勢となった。さらに、パウエルFRB議長が会見で利上げを継続する姿勢を強調したことも圧迫要因となった。ダウ平均株価は、序盤から底固い動きが続き、前日比287ドル高まで上昇したが、その後は下落に転じて下げ幅を拡大し、一時404ドル安まで下落した。引けにかけて下げ幅を縮小し、142.29ドル安(-0.42%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは85.92ポイント安(-0.76%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。ただ、仲値公示にかけての実需のドル売りが観測されたことから、上値の重い動きも見られた。その後は、米FOMCの結果発表やパウエルFRB議長の会見を控えて、内容を見極めたいとの様子見ムードが広がり限定的な動きが続いた。
(2)欧州時間では、日銀が来年に金融政策の点検と見直しをする可能性との関係者の話が報道されたことを受けて、円買いが加速する場面もあった。ドル/円は、一時134.53まで下落して12/5以来の安値を付けた。
(3)米国市場では、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが強まっており、ドル/円は序盤から限定的な動きとなった。一方、翌日にECB、英中銀の利上げが見込まれており、ユーロやポンドは序盤からドルや円に対して底固い動きとなった。そして、FOMCでは予想通り0.50%の利上げが発表されたことに加え、メンバーの金利見通しで2023年末時点が5.1%と前回の4.6%から引き上げられたことを受けてドルは主要通貨に対して上昇し、ドル/円はFOMC発表直前の134.78から135.99まで上昇した。
(4)その後、パウエルFRB議長が会見で「十分抑制的な金利に近づきつつある」、「2月の政策決定はデータ次第」と発言したことが嫌気されて下落に転じた。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.555%から3.457%に急落したことから、ドル/円は一時134.80まで下落する場面もあった。
本日のトピックス
昨日の米FOMCでは、0.50%の利上げと、FOMCメンバーの来年末時点の政策金利が5.1%に引き上げられたことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇した。ただ、その後の会見でパウエルFRB議長の発言がハト派的と受け止められたことから、一転してドルが下落する動きとなった。その後は引けにかけてもみ合いの展開が続いたが、東京市場でも序盤から方向性に乏しくレンジ内の動きが続いており、引き続き限定的な動きが続くと見られている。
本日の海外市場では、英中銀、ECBの金融政策発表が予定されており、ともに0.50%の利上げが予想されており、結果とマーケットの反応に注目したい。また、米国市場では、11月の米小売売上高、11月の米鉱工業生産など複数の主要な経済指標の発表が予定されている。米国の景気動向を見極める上で結果が注目されており、良好な結果なら利上げ継続が意識される展開も予想される。
12/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
12月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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-1.0 | 4.5 |
前回は市場予想に反して上昇となり、7月以来の高水準となった。新規受注がマイナスとなったものの、販売価格や雇用が大きく上昇したことが影響した。ただ、6ヵ月先の予想では景況指数が2ヵ月連続のマイナスとなるなど、先行きの不安が示された。今回は、再びマイナスへの低下が予想されており、製造業の不透明感が示されると見られている。 | ||||
22:30 | 米国 |
11月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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-0.2% | 1.3% |
前回は予想以上の伸びとなり、2月以来の高い伸びとなった。高インフレが続いており、景気見通しが悪化しているものの、モノへの需要が堅調であることが示された。マイナスが続いたガソリンスタンドがプラスの伸びとなったことなどが影響した。今回は、4ヵ月ぶりのマイナスとなると予想されており、個人消費が失速し始めるのか注目されている。 |