前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。さらに、五・十日で実需のドル売りが観測されたことも圧迫要因となったが、下値は限定的だった。欧州時間では、欧州主要株価指数が上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された11月のADP雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を下回ったものの、その後に発表された米第3四半期GDP改定値が市場予想を上回ったことからドルは堅調な動きとなった。しかし、パウエルFRB議長が「早ければ12月に利上げペース緩める可能性」と指摘したことを受けて、ドルは下げ幅を拡大した。ドル/円は、序盤の安値138.68から139.90まで上昇したものの、終盤にかけて137.65まで下落した。
米株式市場では、序盤から上値の重い動きが続いたものの、パウエルFRB議長が12月にも利上げ幅を縮小する可能性を示唆したことで米景気後退への懸念が和らぎ、主要株価指数は買いが優勢となった。特に、下落が続いたナスダックは前日比4%以上の大幅上昇となった。ダウ平均株価は序盤から軟調な動きとなり、一時前日比268ドル安まで下落した。ただ、その後は上昇に転じて上げ幅を拡大し、737.24ドル高(+2.18%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、484.22ポイント高(4.41%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤からドル円・クロス円は堅調な動きとなったものの、五・十日であることから、仲値公示にかけて実需のドル買いが見られた。しかし、仲値通過後は実需のドル売り・円買いが観測されて一段の下げとなった。
(2)午後に入り、新規材料に乏しい中、日経平均株価がマイナス圏での推移が続いたことからドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。また、パウエルFRB議長の講演を見極めたいとの様子見ムードが広がったことも影響し、全般的に小動きの展開が続いた。ただ、欧州時間に入り、欧州主要株価指数が序盤から堅調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。序盤に発表された11月のADP雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落する場面もあったが、その後に発表された米第3四半期GDP改定値が市場予想を上回ったことからドルは堅調な動きとなった。
(4)上昇一服後は上値の重い動きとなり、さらにパウエルFRB議長が講演で「早ければ12月に利上げペース緩める可能性」と指摘したこと受けて、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.783%から3.596%まで低下したことから、ドルも下げ幅を拡大した。ドル/円は、序盤の安値138.68から139.90まで上昇したものの、終盤にかけて137.65まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したものの、対円ではドル/円の下落に連れて軟調な動きが続いた。
本日のトピックス
前日の海外時間にパウエルFRB議長が12月に利上げペースの縮小の可能性に言及したことから、ドルは主要通貨に対して下落した。東京市場では、海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、ドル/円は一時8/26以来の安値まで下落しており、引き続き軟調な動きが予想されている。
本日の米国市場では、米新規失業保険申請件数、11月のISM製造業景況指数の発表が予定されており、最近の米大手企業の人員削減の影響もあり、一部では悪化も予想されていることから、指標の結果に注目したい。
12/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(11/26までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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23.5万件 | 24.0万件 |
前回は市場予想を上回り、8/12までの週以来3ヵ月ぶりの高水準となり、特に大手企業の人員削減の影響が続いていることが影響し、労働市場の減速傾向が示された。今回は、前週から小幅減少が予想されているが、大手企業の人員削減の影響が続くとの見方もある。 | ||||
0:00 | 米国 |
11月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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49.7 | 50.2 |
前回は市場予想を上回ったものの、前月から0.7ポイント低下して2020年5月以来、2年5ヵ月ぶりの低水準となった。ただ、製造業の景気拡大・縮小の判断基準となる50は29ヵ月連続で上回った。今回は、先行指標とされるフィラデルフィア連銀指数が2020年5月以来の低水準となり、特に雇用指数の低下が影響したこともあり、当該指標も30ヵ月ぶりに50を下回ると予想されている。 |