前営業日トピックス
中国で新型コロナウイルスの規制に対する異例の抗議活動が相次いでいることなどから、リスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きが続いた。ただ、欧州時間に入ると低下していた米長期金利が上昇に転じたことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から主要通貨に対して堅調な動きとなった。米長期金利の上昇に加え、米金融当局者のタカ派発言もドルの押し上げ要因となり、ドル/円は序盤の138.22から139.01まで上昇した。一方、ユーロは欧州時間に一時対ドルで1.0497まで上昇して6/29以来の高値を更新したものの、その後はドルや円に対して下落が続いた。
米株式市場では、中国の新型コロナウイルス政策に対する抗議行動が拡大し、同国の景気減速を懸念した売りが先行した。さらに、複数のFRB高官のタカ派発言に加え、米長期金利の上昇も圧迫要因となった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きが続き、終盤に前週末比547ドル安まで下落した。引けにかけて下げ幅を縮小し、497.57ドル安(-1.45%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、176.86ポイント安(-1.58%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前週末の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、日経平均株価に加え、中国で新型コロナの感染拡大やゼロコロナ政策に対する抗議活動が各都市で行われていることなどを受けて中国株が軒並み下落したことから、投資家のリスク回避の動きから円買いが優勢となった。また、時間外取引で米長期金利が低下したことも加わり、ドル円・クロス円は一段の下落となった。ドル/円は、序盤の高値の139.42から138.34まで下落した。
(2)下げ一服後は、値を戻す動きとなり、ドル/円は138.75まで値を戻したものの、米長期金利の低下が続いたこともあり、ドル/円は137.49まで下落する動きとなり、ドル/円の下落に連れてクロス円も軟調な動きとなった。
(3)欧州時間に入り、米長期金利が上昇に転じたことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から主要通貨に対して堅調な動きとなった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが欧州時間の3.618%から3.716%まで上昇し、この動きに合わせてドルは主要通貨に対して堅調な動きが続いた。
(4)FOMCの投票権を保有しているニューヨーク連銀総裁が「インフレ抑制のため一段の行動を取る必要」「追加利上げは経済のバランス回復に役立つ」と発言し、セントルイス連銀総裁が「金利は5〜7%レンジの下限に到達する必要」「FOMCは2024年に入っても利上げ続ける必要も」など、タカ派発言もドルの押し上げ要因となり、ドル/円は序盤の138.22から139.01まで上昇した。一方、ユーロは欧州時間に一時対ドルで1.0497まで上昇して6/29以来の高値を更新したものの、米国時間ではドルや円に対して下落が続いた。
本日のトピックス
中国のコロナ政策に対する不満から各都市で抗議活動が行われており、同国経済の鈍化懸念が広がっている。このことが改善し始めている物価に影響するとの見方もあり、世界的な株価下落にもつながっている。さらに、米当局者が利上げ継続の可能性に言及したことがドルの押し上げに寄与しており、この流れが続くのか注目されている。
東京市場では、前日の欧米の株価下落を受けて、日経平均株価が序盤から200円超下落しており、ドル円・クロス円もやや上値の重い動きとなっている。ただ、米長期金利の上昇傾向が続く中で、ドルは主要通貨に対して堅調な動きが続くのか注目されてる。その中で、本日の米国市場では11月の米消費者信頼感指数の発表が予定されており、インフレの圧迫を背景に消費者のマインドの低下が続くのかどうか注目されている。
11/29の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国」 |
11月消費者信頼感指数
消費者信頼感指数は、米国のCB(Conference-Board=コンファレンスボード「全米産業審議委員会」)という民間の調査機関が発表する消費者マインドを指数化したもの。5,000人の消費者にアンケート調査を行い、現在と半年後の景況感、雇用、所得の項目で回答した結果を指数化している。
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99.9 | 102.5 |
前回は市場予想に反して低下となり、3ヵ月ぶりの低水準となった。期待指数、現況指数がともに低下し、特に現況指数は2021年4月以来の低水準となっており、インフレの高止まりに加え、経済の先行き見通しに対する懸念が消費者のマインドを低下させたと見られている。今回は、さらに低下が予想されており、低下した現況・期待指数に加え、前回上昇した1年先の期待インフレにも注目したい。 |