前営業日トピックス
東京市場では、序盤からドル円・クロス円は軟調な動きとなったものの、実需のドル買いに加え、米長期金利が上昇したことに伴い、ドルは堅調な動きとなった。ドル/円は、一時140.29まで上昇し、クロス円もドル/円の上昇に連れ高となった。また、序盤に前日比247円安まで下落した日経平均株価がプラス圏を回復したことも下支え要因となった。欧州時間では、米長期金利が低下したことから、ドルは主要通貨に対して下落した。
米国市場では、序盤に発表された10月の米小売売上高が市場予想を上回る伸びとなったことを好感してドル買いとなったものの、その後に発表された10月の鉱工業生産がマイナスに落ち込んだことを受けて、米長期金利の低下とともにドルは下落に転じた。ただ、その後は終盤までレンジ内の動きが続いた。
米株式市場では、序盤に発表された米小売売上高が市場予想を上回る伸びとなったことで買いが入る一方、四半期決算で小売り大手の業績見通しが下方修正されたことが嫌気されて売りが出るなど、方向感の乏しい動きとなった。ただ、ナスダックは前日の大幅上昇の反動もあり、序盤から軟調な動きが続いた。ダウ平均株価は、序盤から前日の終値を挟んだ展開が続き、狭いレンジ内の動きが続き、39.09ドル安(-0.12%)で終了した。一方ハイテク株中心のナスダックは174.75ポイント安(-1.54%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)ロシアのミサイルがNATO加盟国のポーランドに着弾したと報じられたことが引き続き材料視され、地政学的リスクの高まりからリスク回避の円買いが先行し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。仲値公示にかけては実需のドル買いが観測されたことからドルは堅調な動きとなった。
(2)バイデン米大統領がポーランドに着弾したミサイルはロシアが発射したものではない可能性があるとの見方を示したことで、時間外取引で米長期金利が上昇となり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は序盤の安値138.73から140.29まで上昇した。一方、クロス円はドル/円の動きに連れ高となった。ただ、上昇一服後は、米長期金利の低下などもあり、ドルは上値の重い動きが続いた。
(3)米国市場では、序盤に発表された10月の米小売売上高が市場予想を上回る伸びとなったことを好感してドル買いとなったものの、その後に発表された10月の鉱工業生産がマイナスに落ち込んだことを受けて、米長期金利の低下とともにドルは下落に転じた。ドル/円は、小売売上高発表直前の139.49から140.04まで上昇したものの、その後は139.05まで下落する動きとなった。
(4)その後は終盤までレンジ内の動きが続いた。一方、欧州通貨や資源国通貨は、序盤は対ドルで下落したことから対円でも軟調な動きとなったが、その後対ドルで持ち直したことから、対円でも底固い動きが続いた。
本日のトピックス
昨日の米国市場では、経済指標が強弱まちまちの結果となったことから、ドルは方向感の乏しい動きとなった。マーケットでは、FRBの利上げペースの減速や、利上げに伴う米景気の後退が注目されている。利上げペースの減速は徐々に織り込まれていることから、当局者の発言には徐々に限定的な反応となっている。ただ、米経済指標では良好な指標結果も確認されていることから、経済指標の結果に敏感に反応する展開が続いている。本日の米国市場では、雇用や住宅など主要な経済指標の発表が予定されていることから、結果とマーケットの反応が注目されている。
11/17の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
10月住宅着工件数
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
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141.2万件 | 143.9万件 |
前回は市場予想を下回り、約20年ぶりの高水準にある住宅ローン金利が需要を減退させていることが示された。一方、着工件数の先行指標となる許可件数は2020年8月以来の低水準となった8月の結果から増加した。今回は、前月から減少が予想されており、引き続き住宅市場の鈍化が示されると見られている。 | ||||
22:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(11/12までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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22.2万件 | 22.5万件 |
前回が市場予想を上回り、4週ぶりの高水準となった。ただ、引き続き労働市場の堅調さが示された。今回は、小幅減少が予想されており、引き続き労働市場の堅調さが続くと見られている。 | ||||
22:30 | 米国 |
11月フィラデルフィア連銀景況指数
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀の管轄であるニュージャージー、ペンシルバニア、デラウエアの製造業の景況感などを指数化した経済指標で、最も早く公表される製造業の景況指数の一つである。ISM製造業景気指数の先行指標としても注目されている。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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-6.0 | -8.7 |
前回は市場予想を下回り、2ヵ月連続のマイナスで製造業の悪化が続いていることが示されたなった。 |