前営業日トピックス
東京市場では、ウォラーFRB理事のタカ派的発言を受けて、ドルは序盤から堅調な動きとなった。さらに、米国長期金利の上昇も押し上げ要因となった。ただ、上昇一服後は、実需のドル売りなどもあり、反落する場面もあった。午後に入ると、ドルは再び堅調な動きとなったが、対ドルで下落したこともあり、クロス円は上値の重い動きとなった。欧州時間では、日米の金利差拡大が改めて意識されて円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、米国の主要な経済指標の発表がないものの、序盤からドルは堅調な動きとなった。ただ、その後、ブレイナードFRB理事が「利上げペースの減速が適切になる」と発言したことを受けてドル売りが優勢となった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したものの、対円ではドル/円の下落や米主要株価指数の下落を受けて軟調な動きとなった。
米株式市場では、最近の上昇を受けて、序盤は利益確定売りが先行した。しかし、米当局者が利上げペースの減速が適切になると発言したことを受けて堅調な動きとなったものの、終盤にはインフレ抑制の必要性に言及したことが改めて材料視され、主要株価指数は下落に転じた。ダウ平均株価は、下落して始まったものの、その後は堅調な動きとなり、一時前日比216ドル高まで上昇した。しかし、終盤に下落に転じて211.16ドル安(-0.63%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、127.11ポイント安(-1.12%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、ウォラーFRB理事が「FRBは次回政策会合で利上げペースの減速を検討する可能性がある」との見方を示したが、「それをインフレ抑制に向けたFRBの取り組みの軟化と受け止めるべきでないと」述べたことを受けて、ドル買い・円売りが優勢となった。ただ、ドルは仲値公示にかけて実需のドル売りが観測されたこともあり、ドル/円は序盤の高値139.95から138.79まで下落したものの、時間外取引で米長期金利が上昇したことがドルの下支え要因となった。
(2)その後は新規材料に乏しい中、米長期金利が高値水準を維持したことから、ドル/円は底固い動きとなった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで軟調な動きとなったことから、対円でも上値の重い動きとなった。欧州時間に入り円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、米国の主要な経済指標の発表がない中、アジア時間早朝のウォラーFRB理事のタカ派発言が改めて意識され、序盤からドルは堅調な動きとなった。ただ、その後、ブレイナードFRB理事が「利上げペースの減速が適切になる」と発言したことを受けてドル売りが優勢となった。ドル/円は、序盤の高値140.71から139.65まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したものの、対円ではドル/円の下落や米主要株価指数の下落を受けて軟調な動きとなった。
本日のトピックス
前日の欧州市場では、ドル/円は堅調な動きとなったものの、米国時間では軟調な動きとなった。FRBの利上げペースの減速への思惑がドルの圧迫要因となっているが、利上げ幅が小さくなっても年内は利上げが継続されることで日米の金利差拡大が続くとの見方から、ドル/円は底固い動きが続くと見られている。ただ、ここまでのドル/円の上昇が大きかったことで、調整が意識されているとの見方もあり、当面は思惑が交錯して上下に動きが出ると予想される。特に、変動幅も大きくなる可能性もあることから、目先の方向性には注意も必要だろう。
本日の米国市場では、10月の米生産者物価指数、11月のNY連銀製造業景気指数の発表が予定されており、物価の低下が予想されている一方で、製造業の悪化が続くと見られていることから、結果とマーケットの反応に注目したい。
11/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
11月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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-6.0 | -9.1 |
前回は予想外の低下となり、3ヵ月連続のマイナスとなり、製造業の先行き懸念が高まったことが示された。新規受注は横ばいとなったものの、出荷がマイナスとなったことや雇用が低下したことが影響した。また、6ヵ月先の予想も3ヵ月ぶりのマイナスとなった。今回は、マイナス幅の縮小が予想されているものの、4ヵ月連続のマイナスが予想されており、製造業への懸念が高まる可能性も考えられる。 | ||||
22:30 | 米国 |
10月生産者物価指数(前年比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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8.4% | 8.5% |
前回は市場予想を上回ったものの、3ヵ月連続の低下となり、2021年7月以来の低水準となった。ただ、依然として高水準を維持しており、インフレ圧力の緩和にはかなり時間がかかると見られている。今回は、前月から低下が予想されているものの、小幅に留まると見られており、依然としてインフレ緩和は緩やかであり、引き続き積極的な利上げが維持されるとの見方が維持される可能性も考えられる。 |